オペ室では時々しか登場しないので、知識を忘れかけた時の記憶トリガー用に。ただIABPバルーンの先端の場所をTEEで確認するだけじゃまずかろうて。
@何はともあれ入れる前に
・適応:心原性ショック、ACS、MIに伴うMV乳頭筋断裂、VSPなど、ハイリスクPCI、ハイリスクCABG、難治性心室性不整脈
・禁忌:2度以上のAR、重篤なAVシャント、大動脈解離、大動脈瘤、コントロールのつかない敗血症や出血、高度の末梢動脈疾患、補助人工心臓適応時(特にECG非同期駆動期)
・効果は多くても自己COの20-30%、長くても1週間くらいで抜去を考慮
・バルーンカテーテルは8.5-9.0Fr。バルーン部位は15-20cm。
・バルーンはヘリウムガスで膨らませる
・バルーンサイズの身長別、およその目安
・<150cm 30ml
・150-160cm 35ml
・160cm< 40ml
・透視が出来る部屋で挿入する。刺入部から第2肋間までの距離を目安に。
・基本的にSeldinger法で
@駆動
*IABP駆動前に、出来る限り洞調律にすることが重要。不適切なタイミングでは心負荷が増えるだけ。
・トリガー信号としてECG、大動脈圧、心臓ペーシングあり。
・基本はECGトリガー。電メス使用時には大動脈圧信号で。
・バルーンinflate(膨張)は大動脈弁閉鎖直後。心収縮期にinflateしたらafterload増えるだけで有害。
・至適タイミング見るべく2:1でIABP開始
<心電図トリガーの時>
・inflate - T波頂点よりやや遅れた地点
・deflate - QRS波の直前
<動脈圧波形トリガーの時>
~兎に角波形をしっかりみて調節するのが重要!誤ったタイミングでは心負荷増えるだけ。
・inflate:開始は動脈圧波形のdicrotic notchに合わせる
・deflate:deflateした時点の収縮期圧が最も低くなるよう、動脈圧波形を見ながら調節
・抗凝固:1:1駆動の際には必要ないかも知れないが、4:1や8:1駆動時には注意が必要。ACTで150-200秒にする
@離脱
・2:1を6-12時間、4:1を2-6時間厳重に監視、具合悪ければ8:1(この比率では殆ど補助効果は期待できないので、使うのはあくまでweaning時)でも様子見る
・中断数時間後に心原性ショックになることがあるので抜去後も注意して観察を。
・離脱基準:自己mAP≧70mmHg、PAWP≦18mmHg、CI≧2.0、反復胸痛なし
・抜去後は15-30分圧迫、その後圧迫器具を更に使用して確実に止血
@合併症
・血管性:下肢虚血、動脈損傷・解離、重篤な出血、血栓塞栓症(腸間膜動脈や腎動脈、脾動脈、上肢下肢)
・非血管性:神経障害(原因不明が多い。前脊髄動脈虚血?)、バルーン破裂(ガス塞栓になり危険!直ちに駆動停止しバルーンカテーテルを抜去)、血小板減少、溶血、内臓虚血
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参考図書
・補助循環マスターポイント102 改訂2版、メジカルビュー社、2009年 p46-57
・続 麻酔科臨床の書 -A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-、MEDSi, 2011年 p199-208