誤りを見つけ次第訂正します。試験までは適宜加筆します。
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@薬物全身クリアランス(CL, ml/min)=薬物処理速度(dX/dt) / 血中濃度(Css)
・薬物持続投与中で定常状態の時は薬物処理速度 = 持続投与量 となる
・例:6mg/hで持続投与して十分時間がたったあとの血中濃度が10ug/mlならばCLは
CL=(6 mg/h)/(10 ug/ml)=(6000÷60 ug/min)=(10 ug/ml)=10 ml/min
因みにクリアランスは…
・レミフェンタニル(RF):30-40(ml/min/kg) (血漿タンパク結合率:80%、脂溶性(*注)17.9)48A15
・フェンタニル:10-20 (血漿タンパク結合率:84%、脂溶性813)
・モルヒネ:15-30 (血漿タンパク結合率:20-40%、脂溶性1.4)
・RFの代謝は赤血球内の非特異的エラスターゼで主に行われる。偽性ChE欠損症でも、偽性ChEの基質にはならないため、影響を受けない。
・RFは添加物にグリシン(脊髄くも膜下投与で可逆的脱力を生じうる抑制性神経伝達物質)を含むため、硬膜外・脊髄くも膜下投与は禁忌。
*注:脂溶性はオクタノール/水分配係数で表示。数値が高いほど脂溶性が高い
→因みにペチジンでは39 (49A8)
・ブプレノルフィンはモルヒネ、フェンタニル、ペンタゾシンより脂溶性が高い。 46A11
@ケタミン
・2つの立体異性体S(+)とR(-)あり。S(+)の方が鎮痛強く副作用少ない。49A27他
・ケタミンの代謝産物ノルケタミンは活性20-30%程度
・ケタミンの作用部位:NMDA受容体、オピオイド受容体、脊髄後角の広作動域ニューロンの抑制
・代謝は肝ミクロソームの酵素、N脱メチル化によるノルケタミンの生成、その水酸化によるヒドロキシルノルケタミンの生成。グルクロン酸抱合を受けて尿中排泄。
・散瞳、眼振、流涙、流涎(りゅうぜん)、骨格筋緊張↑
・皮質(特に連合野)、視床を選択的に抑制、大脳辺縁系(海馬など)を刺激、内側延髄網様体への入力を抑制
・脂溶性はチオペンタールの5-10倍
・疼痛閾値を上昇させる血漿濃度は0.1μg/ml以上とされる 49B8
@プロポフォール
・GABAA受容体の活性化。
・3コンパートメントモデルでは、初期分布半減期1-8分、後期分布半減期30-70分、除去半減期4-23.5時間
・排泄半減期に性差なし。但し女性の方が分布容積が大きく、クリアランスも大きい。 47B7
・代謝:肝でのグルクロン酸抱合と硫酸抱合、ほぼ完全に代謝される(尿中未変化体<1%)
・プロポフォール注入症候群:5mg/kg/hを48時間以上。ミトコンドリアへの遊離脂肪酸輸送が障害され、ミトコンドリアの呼吸鎖が障害され、遊離脂肪酸の代謝不全を生じて発症する
*因みにチオペンタールの除去半減期は11.6±6.0時間
(チオペンタールは加齢により脳の感受性は変化しない。初期分布容量の低下のため必要量↓)
@アトロピン
・抗ムスカリン作用→気管支拡張→生理学的死腔↑
・発汗低下→体温上昇。特に小児
・迷走神経遮断→下部食道括約筋緊張低下
・BBBを容易に通過→大量投与で中枢を刺激して精神症状を起こす
・胎児心拍の変動を抑制 (0.01mg/kg程度では影響しない報告も。)
・胃液・胃酸分泌低下(比較的大量投与で)
@筋弛緩薬
・非脱分極性筋弛緩薬では力価が低いほど作用発現が早まる
・SCCは徐脈を生じうる(洞結節におけるムスカリン受容体を刺激)
・少量の非脱分極性筋弛緩薬投与後にSCCを投与すると、筋のSCCへの抵抗が高まる。SCCを50%増やそう
・Vbの代謝産物はVbの80%程度の筋弛緩作用をもつ
・ループ利尿薬:c-AMP産生↓ → ATP分解抑制→神経伝達物質の出力低下し筋弛緩作用遷延
・マンニトール:非脱分極性筋弛緩薬の代謝に影響なし
・抗けいれん薬(フェニトインやカルバマゼピン):神経筋接合部でACh放出を抑制。
→抗けいれん薬の長期投与で非脱分極性筋弛緩薬に抵抗性を示す。
・カルバマゼピンでVbのクリアランスは2倍に増強。
・体表面積の25%以上の熱傷で非脱分極性筋弛緩薬への抵抗性あり
・非脱分極性筋弛緩薬の効果を増強する麻酔薬の順に…
デスフルラン>セボフルラン>イソフルラン>ハロタン>笑気-バルビツレート-オピオイド>プロポフォール(これは作用に影響しない)
@筋弛緩薬に影響与える抗生剤
・大部分の抗生剤は神経筋遮断を生じうる
・アミノグリコシド、ポリミキシン、リンコマイシン、クリインダマイシン
→主に神経筋接合部前からのACh放出を抑制
神経筋接合部後におけるニコチン性ACh受容体の感受性も低下させる
・テトラサイクリン→接合部後における作用を示すだけ
・セファロスポリンやペニシリンは神経筋遮断の増強効果を示す報告なし。
・4-アミノピリジン(Kチャネル阻害薬)→ACh放出を促進して筋弛緩薬作用に拮抗。ただしCNS症状起こすため臨床で使用されない。
@ベクロニウム 45C4-5
・ACh受容体感受性は若年者と高齢者でそれほど変化しない。高齢者では排泄半減期が延長し、クリアランス低下による排泄遅延が認めれられる。(薬物動態パラメータの変化による作用時間延長)
・肥満患者での排泄遅延傾向は、肝クリアランスの低下を示唆する。肥満患者では除脂肪体重の20%増を基準とする。
・0.1mg/kg投与後の単収縮の10%回復時間は体温36.4℃で28分、34.4℃では64分。
・中等度の筋弛緩状態における拮抗速度の順 エドロホニウム>ネオスチグミン>ピリドスチグミン
強度の筋弛緩状態(TOFで1程度)ではネオスチグミン>エドロホニウム
・異なる種類の抗コリンエステラーゼ薬の併用は相補的でなく、相加的効果さえ示さないので推奨されない
・TOF1でネオスチグミン投与してTOF0.7まで回復するには23分かかる
@サクシニルコリン
・偽コリンエステラーゼで加水分解→活性なしのコハク酸とコリンに代謝。
*中間代謝産物のサクシニルモノコリンは腎排泄のため、腎不全でSCCの大量投与は避けるべき
*腎不全患者でSCCが蓄積することはなく、サクシニルモノコリンが蓄積する。
・尿毒症患者では偽コリンエステラーゼ活性の低下報告あり
@カルシウム 46A61など
・血中の40%Caは蛋白と結合
・アシドーシスでイオン化Ca↑、アルカローシスでイオン化Ca↓ → テタニー
・甲状腺機能異常ではCa代謝異常なし
・Caの99%は骨と歯に存在
・低Ca血症でChvostek徴候(VII刺激で顔面攣縮)、Trousseau徴候(血圧カフの加圧で手根攣縮)、喉頭痙攣、QT延長も
@硫酸マグネシウム
・胎盤移行性高い
・運動神経終末からACh放出↓、終板でのACh感受性↓、筋線維膜興奮性↓
・筋弛緩薬の作用増強(SCCも非脱分極性も)
・ブピバカインの心毒性↓、カテコラミン放出抑制作用、拮抗作用
・正常は1.5-2.0mEq/L, PIHに対する治療域は4-7mEq/L(2-3.5mmol/L)とされる
・高Mg血症で:
・徐脈、低血圧、伝導ブロック、心停止
・トロンビン減少、血小板機能低下
・腱反射低下、呼吸抑制・停止、筋力低下・麻痺
・傾眠、昏睡
・悪心、嘔吐
@ガバペンチン
・電位依存性Caチャネルにおけるα2δサブユニットと結合、興奮性神経の前シナプスにおけるCa流入阻害し、グルタミン酸などの興奮性アミノ酸の遊離抑制
・脳内GABA↑
@三環系抗うつ薬
・モノアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)の再取り込み阻害→CNSでのモノアミン作用を増強
・三環系抗うつ薬はエフェドリンの昇圧作用を増強
・三環系抗うつ薬の副作用は抗コリン作用によるもの、悪性症候群、心筋梗塞、骨髄抑制、SIADH、眼圧上昇
@薬に関連したその他の雑駁な知識
・モルヒネの体動時嘔気にはH1拮抗薬(ジフェントラミン)やジメンヒドリナート有効
・モルヒネの嘔気は静注より筋注時に頻度高い(嘔気中枢のCTZ刺激が鎮痛必要濃度よりも低濃度で生じる。血中濃度上昇が筋注時に、より緩徐なため)。
・経口モルヒネで嘔気が出て、坐剤へ変更しても緩和されない。
・硬膜外モルヒネの作用部位の大部分は脊髄とされる。 フェンタニルは脊髄±全身 48B39
・くも膜下オピオイドは交感神経を抑制しない 49A83他
・くも膜下オピオイドは運動神経を遮断しない
・ナロキソンはブトルファノールの呼吸抑制に拮抗する 47A11
・低分子ヘパリンの作用はプロタミンで拮抗できない
・ビタミンKでワルファリン拮抗するには4-24時間必要
・FFP10-15ml/kg投与でワルファリン拮抗
・ワルファリンは出血時間を延長させない。(出血時間:血小板機能と血管系の異常反映し、凝固系や線溶因子の影響を受けない)
・ヘパリンの分子量は3000-35000(平均12000)、低分子ヘパリンほど薬効が強い。
・ヘパリンはATIIIと結合してIX、X、XI、XII因子を不活性化。
・ヘパリン24-48時間投与でAT-IIIは正常比60%程度まで低下。
・アプロチニンはセライトとの接触による活性化を抑制するため、セライトACT↑。カオリンACTは正常。
・麻酔薬で腎血流量、GFR、尿量、尿中Na排泄を増加させるものはない(ケタミンは腎血流↑(?)だが、尿量↓。交感神経刺激作用による)
・グリベンクラミドは膵β細胞のATP依存性Kチャネルを抑制
・バルプロ酸はGABAトランスアミナーゼ(GABAの分解酵素)に結合しGABA再取り込み阻害→GABAの脳内濃度↑して抗痙攣作用
・デクスメデトミジン(α2アゴニスト。青斑核や脊髄に作用)の副作用:冠攣縮、血圧低下、徐脈、口渇に注意
・ドロペリドールはオピオイドの掻痒にも効果あり。キニジン様の抗不整脈作用。血管拡張作用(α遮断作用によって体血圧は軽度低下するが、PVRやPAPには影響しない)。因みに排泄半減期は2時間位。クリアランス14ml/kg/min、分布容積2L/kg
・ミダゾラム0.05-0.2mg/kg投与で1回換気量↓、呼吸数40%↑で、分時換気量は変化なし
・ミダゾラムは100-200ng/mlで催眠、健忘。50ng/ml1以下で覚醒 49B8
・離脱症候群をきたす薬剤:プロプラノロール(突然中止でHTや狭心症増悪)、クロニジン(HT増悪)
・アデノシンに拮抗作用示す薬剤(つまりアデノシンは多く必要):テオフィリン、カフェイン、テオブロミン
・アデノシン取り込み阻害作用を示すもの(つまりアデノシンは減量必要):ジピリダモール、カルバマゼピン、心臓移植後(除神経に伴う感受性亢進)
・ブチルスコポラミン(ブスコパン):ムスカリン受容体遮断で不整脈(房室伝導促進)あり。→エドロフォニウム(抗ChE薬としてブチルスコポラミン作用に拮抗、房室伝導促進を抑制)、フェニレフリン、エスモロールなどで治療を。 47C19
・麻酔薬の最大作用発現時間 45B9
レミフェンタニル=チオペンタール:1.6分
プロポフォール:2.2分
ミダゾラム:2.8分
フェンタニル:3.6分
@輸血
・type and screen:ABO(表と裏)、Rh(D)因子、不規則抗体の有無をあらかじめ調べる。交差適合試験は省略可能。
・FFP投与の適応:PT<30%、INR≧2.0、APTT基準値上限の2倍以上、低フィブリノゲン血症(<100mg/dl *因みに基準値は150-400mg/dl程度。700<で血栓傾向)
・血小板輸血直後の予測血小板増加数( /ul) = 輸血血小板総数 / [循環血液量(ml) x 10E3] x 2/3 |
・輸血血小板必要単位数(単位)= 血小板上昇期待数*(万/μL)×循環血液量(L)×0.75**
*輸血により上昇させたい血小板数
**血小板製剤1単位分の血小板数2×1010及び血小板が脾臓に捕捉されるための補正係数から求めた係数
・上昇Hb濃度(g/dL) = 投与Hb(g) / 循環血液量(ml) x 10E-2
例:RCC-LR2単位に53g程度のHbが含まれているので、50kgの人に2単位輸血すると53/35dL ≒ 1.5g/dL上昇するはず
・O型の人にはRCCはO型のみ、FFPとPCは全ての型の血液が使用可能
・大量出血時は不規則抗体陽性でも交差適合試験は必要ない。少なくとも生食法による主試験だけ行い、ABO型だけ間違えないように。 48C10
@GVHD
・供血者由来のTリンパ球が患者体内で増殖し患者組織を攻撃
・輸血1-2週間後に発熱と発疹、肝障害、下痢、下血
・骨髄無形成で汎血球減少。最終的に敗血症等で死亡
・凍結血漿やクリオプレシピレートによる発症報告はない
・放射線照射で予防可能
・白血球除去フィルターは効果期待できるが完全な予防策ではない
@栄養 49A77
・飢餓時には呼吸商↓ (呼吸商=CO2産生量/酸素消費量)。普段は0.8、長期飢餓で0.7、糖負荷で1.0に近づく
・アミノ酸輸液は脂肪輸液に比べてエネルギー消費量↑に。過剰なアミノ酸輸液は患者の呼吸負荷増大になる。
・過剰な糖負荷で炭酸ガス産生↑。人工呼吸器からの離脱妨げるかも。