このブログを検索

2010年4月30日金曜日

Training in Rena(其の二十六), 今週の出来事

4月28日(水)の記録
58分、8km(傾斜3-4、8k/h10分→11k/h5分、ウォーク5分、8.5k/h15分、ウォーク5分、9.0k/h 13分、11.5k/h 5分)計167.1km(2月 48km, 3月 56km, 4月 63.1km)
筋トレ:なし
水泳:なし

7月4日のロードレースは高温、上り坂で相当きつい気がする。一刻も早く体力の貯金を作りたい。
***
27日、F-T(大腿-後脛骨動脈)バイパスの麻酔を末梢神経ブロックでやってみた。
ワーファリン、バイアスピリン内服中のためASRAの2010のガイドラインに則ると深い部位の神経ブロックは避けたい。かといって透析、OMIと低予備能の患者の全身麻酔はできれば避けたい、と思い、主治医との相談の上行った。
麻酔はSNB(popliteal)とFNBの組み合わせだけなのだが、血管の誤穿刺だけはしないようにと平行法を遵守して施行。両麻酔ともばっちり効いていたため数時間の手術を挿管することなく乗り越えられた。もちろん鼠径部は麻酔が効かないので外科の先生に局麻してもらう。末梢神経ブロックでの管理が全身麻酔に比べて圧倒的によいところは血圧の管理が容易になる点。術後すぐ痛くならない点。反対に鎮静による呼吸抑制や不意の体動がデメリットか。
***
28日、Sugammadexを初めて使用してみた。200mgは9947円、500mgは23652円する。今までなら追加しようか否か悩むところで不動化させたくないために気軽に筋弛緩を追加してしまえそうなところが悲しいような気がした。
この薬剤の登場で「筋弛緩が切れなくて抜管できない」ということはなくなりそうである。そしてますます考えなくても麻酔ができるようになり、麻酔科医が失業の憂き目に合う日も近いのではないかと思う反面、いい薬剤が利用可能になったのだからその恩恵にあずかるべきとも考える。
***
今週学んだこと
・努力
・忍耐
・期限がある限り、自ら倒れずに立ち続ける。夢は叶う。自分が諦めさえしない限り
・事故が起きて内輪からは「それは仕方ないね」と思えるようなことでも、医療を知らない第3者からみたら突っ込みどころが満載なことがあること。そしてそれによって医師生命が絶たれる可能性もあること。

2010年4月25日日曜日

Training in Rena(其の二十五)、My Chemical Romance

ランニング:80分11.0km / 計159.1km(2月48km, 3月56km, 4月55.1km)
(傾斜3.0, 7.5k/hで30分、その後10分毎に傾斜0.5、0.5km/hずつアップし傾斜5.0, 10.0k/h)
筋トレ:なし
プール:300m(ウォーキング、泳ぎ)

走っている最中にiPodからMy Chemical Romanceの「Welcome to the Black Parade」が久しぶりに流れてきたので、思わず聴き入ってしまった。この曲の1分50秒過ぎからの展開はランニングにも合うのだが、アルバムに収録されている他の曲も聴きたくなり結局全部聴いてしまった。このアルバム「The Black Parade」は彼らがアメリカのバンドであるということを忘れてしまうほどウェットな名曲が多い。特に1~5曲目の「The End」「Dead!」「This Is How I Disappear」「The Sharpest Lives」「Welcome To The Black Parade」に至る流れは秀逸だ。
でもアルバムの中で一番好きなのは8曲目の「Cancer」だったりする。
ランニングには向かないが。

まったく毛色は違うがアメリカ発のウェットなバンドといえばKamelot。
彼らの「Abandoned」は女性ヴォーカルとのデュエットが非常によい。
この曲もランニングには全く向かないが。

***
当直明け。産婦人科をしている友人夫婦と久しぶりに会い、昼食を共にした。
元気そうで何より。感謝。

Brugada症候群と麻酔

一般知識
・心電図でtype1-3に分類される。coved型とsaddle back型がある。coved型が危険.他にQTc延長、右脚ブロック波形、V1-3のST上昇
・ST上昇の程度は日内変動あり、副交感神経の緊張で増強。夜間に発作が起こりやすい。
・運動と発作は関係ない。
・男女比は9:1。男が多い。
・発症は40歳くらいに多い。
・18-30%程度の患者でSCN5Aという遺伝子異常がある(SCN5Aは心筋の細胞膜上のNaチャネルのαサブユニットをコードしている。3p21に存在)
・Naチャネルの異常で発症するといわれるが、原因はまだ不明である。

術前評価
◎問診チェック事項
・本人に関して:VTの既往、失神の有無、夜間の呼吸苦の有無、電気生理学的検査でVTやVFの誘発の有無
・家族に関して:45歳以下の突然死の有無、coved typeの心電図異常をもつ家族の有無
→いずれも無く、自然タイプ1でなければ経過観察。但し心事故が発生する可能性は常に念頭に置く

上記があれば・・・
・循環器内科医にコンサルト
・器質疾患除外のためにTTEとHolter ECGを行う

麻酔
・体外式除細動器を準備
・不整脈発生直前にはST上昇が著明になることがあるのでモニター
基本的なコンセプト―迷走神経優位にしない
・除脈や迷走神経反射を避ける
・過換気も避ける
・避けたほうがよい薬剤:1a, 1c群抗不整脈薬、βブロッカー、ネオスチグミン、エドロホニウム、Caチャネルブロッカー、アデノシン三リン酸、アセチルコリン
・ネオスチグミンは真のBrugadaには使用しないほうがよい。(過去の症例報告をみるとBrugada型心電図を呈するもの全てに禁忌ではないようだ)
・Ib(メキシレチンやリドカイン)は大丈夫
・セボフルランは大丈夫
・ブピバカインはリドカインに比べプルキンエ線維と心室筋の脱分極rapid phaseを著明に抑制する。持続投与でcoved型ST上昇を示した1例報告あり。(他の薬が使えるのなら使わないほうがよい?更なる研究が必要か?)

・過去の臨床研究(63人のBrugada症候群患者をfollowした研究)では
 ・βブロッカーやアミオダロン投与群ではsudden deathを防げなかった
 ・ICD挿入群には死亡例がなかった。
という点から、適応症例にICDを挿入するのがbetterではないかとされる。

参考文献
・Brugada症候群様心電図を呈する患者の術前評価と麻酔管理. 麻酔 2007; 56:1398-1403.
・Brugada Syndrome and Anesthetic Mangement. J Cardiothorac Vasc Anesth 2006 Jun;20(3):407-13.
・Brugada syndrome. UpToDate(2010年1月14日の抄読会Y先生の発表)
専門医から学ぶ不整脈の臨床 Brugada 症候群の最近の考え方(麻酔薬との関連を含めて). 日本臨床麻酔学会誌 31(5), 771-778, 2011-09-15 (2012年6月15日追記)                     

2010年4月24日土曜日

AKB48の神曲たち

メンバーの名前も活動についても殆ど知識がない私がAKB48について語ると熱心なファンから爆発物やウイルスが届くかもしれず、人知れず恐怖があるのだが言論の自由は保障されているはずであり曲だけを聴いての感想。

メランコリックな曲調と背徳的な歌詞が多かった前作「SET LIST~グレイテストソングス2006-2007」に比べ、曲調も歌詞も随分とポップになり、老若男女(主に若い男だろうが)により受けやすい作品となっている。前作でいうところの「僕の太陽」のような「陽」サイドの曲が並んでいる。
一聴しただけでは前作より歌唱力はアップしているとは思ったが、「どの曲が神曲なんだ????」とクエスチョンマークが無限に浮かぶ。何かの間違いかもしれないと思いインシデントレポートを整理しながら数回聞いてみた。日当直で病院に軟禁状態なのも手伝ってなのか、何度か聞いていると耳が慣れてくるから不思議だ。「大声ダイヤモンド」や「10年桜」、「涙サプライズ!」「言い訳Maybe」などの曲はよい。曲としては前作に収録されていた「スカート、ひらり」「制服がが邪魔をする」「Virgin love」「転がる石になれ」のようなダークサイド寄りのものが好みだったが、本作は本作で素敵な仕上がりになっている。
そして思った。AKB48は動いている彼女たちを見て曲を楽しむものなのだ。タータンチェックの衣装をまとい、踊っている当代一のアイドルたちのステージパフォーマンスはよくトレーニングされており、圧巻であることは間違いない気がする。

反面教師

「東アジア共同体構想」や「外国人への参政権付与」等の政治理念から、この国の政治を任せるのは危険だと考えていたが、その懸念が的中したことは昨今の支持率に現れている。「支持率は気にしない」旨を発言している人もいるが、「国民の生活が第一」というスローガンは何処へ行ったのか。しかしメディアに出てくるリーダーの言動からも学ぶことはたくさんある。

・やっていることが万が一、この国のためになることだとしても嘘をつくのはまずい。信頼性が著しく損なわれる
・言い訳をしない。すると信頼性が著しく低下する
・できない目標は公言しない。できないと信頼性が著しく低下する
・税金は払わないといけない。自分がやっていないことを他人にやろうなどと言わない。そういうことをすると信頼性が著しく低下する
・「素直すぎる」対応はリーダーシップ欠如感を助長するのでほどほどにしたほうがよい。所詮100点満点のdecision makingはないのだから、八方美人であろうとするより、せめて良識ある人たちの信頼感を取り戻す努力をしたほうが生産的である
・間違っていると思ったら素直に謝り、方向性を転換する勇気も必要。間違った主張や首を傾げたくなる主張を繰り返していると信頼性が著しく低下する
・基地を移転すること自体が目的ではない。なぜあの地域に今まで基地があったのか考えたほうがよい。移転した場合、安全保障上東アジアの脅威からこの国を守る構想が果たしてあるのか。感情論に左右されて決断してはならない。自国民だけならまだしも、これまで安全保障上非常に親密だった国からの信頼性を著しく低下させ、ひいては有事の際の自国民の生命を危険に晒すだろう
・お金をばらまくこと自体が目的ではない。少なくとも将来に借金を残してまで
・無料か無料でないかは問題ではない。それにより排出されるエネルギーはどうするのか。CO2の25%削減は少なくとも国際的に公言してしまったのだから、それをどうするのか。どちらを守れなくても信頼性が著しく低下する
・仕分け人たちは仕分け作業をするよりも、仕分けを命じているリーダーに言うことがあるのではないだろうか。自分たちの信頼性も損なわれている

・政治生命を賭してうまくいかない場合、本人は辞任すれば事足りるだろうし刑事罰には問われないだろうし、食べるのにも困らないだろう。しかし国の方向性が間違えば、間接的に多くの人の生活が先細りし死亡しかねない。自己責任論が未だ幅を効かせているこの国で、自己責任による努力ではどうしようもないような人たちを上に持ち上げられるのは、社会の仕組みを変える一番の力を持つ政治の仕事である。どれくらいの覚悟で言葉を吐き出しているのだろうか。言葉が大事であることはどの職でも変わりないが、特に政治家には命といってよい程重要な筈である。2009年8月30日までは一言一言が信頼を高めていったが、8ヶ月弱経過した今では話せば話すほど信頼性が低下している。信頼の借金が多すぎて何かまともなことをやろうにも信頼してもらえない。事態は非常に深刻である。

(麻) 全身麻酔抜管後の嗄声に関する知識

術後嗄声の知識を整理しておこうと思い記す
・術後発生頻度は10-55%程度。報告によって差がある
・呼吸困難感の有無を確認。ある場合はSpO2モニタ。神経麻痺を念頭に置き速やかに対応。FOBで声帯の動きを観察。専門医への診察依頼
・まずは術操作に関連があるか確認。術操作の場合は難治性
・術後の反回神経麻痺は圧迫を受けやすい左側が多い
・体位による圧迫が原因のこともある
・反回神経は切れてない場合、圧迫麻痺では数カ月後自然治癒する可能性が高い、はやい場合なら1ヶ月以内に治癒することもある
・披裂軟骨脱臼は、治療開始が遅れるにつれ、輪状披裂関節に強直化が発生し整復困難となるため、治療開始時期が発声状態の予後を左右。発症10週まででは発声状態が改善する(麻酔科診療プラクティス17 麻酔科トラブルシューティング 文光堂. p300, 2005より)

***
UpToDate 「Endotracheal tube management and complications」によると
・声帯麻痺は数日から数ヶ月で回復する。一般的には声門下喉頭で気管チューブカフと甲状軟骨部部位において反回神経の前枝が圧迫されることで生じる。大きいサイズの気管チューブや多すぎるカフを避ける、気管チューブを動かさない、等で予防できるかもしれない。(Risk factors associated with prolonged intubation and laryngeal injury.Otolaryngol Head Neck Surg 1994 Oct;111(4):453-9.)
・カフ圧はエアリークを防ぐため18mmHg以上、粘膜壊死を避けるため25mmHg以下にすべきである。

***
阪大の先生方が報告した3093件の前向き研究「Prolonged hoarseness and arytenoid cartilage dislocation after tracheal intubation. Br J Anaesth. 2009 Sep;103(3):452-5」によると
方法
・対象はASA-PS1-2の手術室で抜管した患者18-77歳計3097名。
・チューブサイズは男8.0、女7.5mmで統一し、聴診でリークがなくなるまでカフを膨らませる
・嗄声の評価判定基準:術当日、1,3,7日後に患者と面接。患者の訴えがなくなり、評価した麻酔科レジデントが完全に回復したと判定した時点で回復と判定
・7日を超えて嗄声が続く場合は耳鼻咽喉科専門医により声帯を観察してもらう
結果
・0,1,3,7日後の嗄声率は49, 29, 11, 0.8%
・7日後の嗄声者25人のうちfollowできた18人の内訳
・3人は披裂軟骨脱臼(arytenoid cartilage dislocation)(発症率0.097%)で、全員外科治療で回復(68,144,177日後に回復)
・4人は声帯麻痺。3人は長期観察(35-121日)後に回復、1人は3年後も回復しなかった
・7人は病的変化なく2週間以内に回復した
・2人は手術による反回神経麻痺のため回復せず
・2人は声帯浮腫あり、26,97日後にそれぞれ回復
重回帰分析では嗄声期間延長に関与したものは
・有意:年齢と挿管期間
・有意ではない:性別、体重、Cormack grade、使用全身麻酔薬(笑気、セボフルラン、イソフルラン、プロポフォール)
考察
・過去の報告では女性の方が術後咽頭痛、嗄声が多いとされていた。今回それに当てはまらなかったのは女性で細いチューブを使ったためかもしれない
・披裂軟骨脱臼は過去のretrospective studyでは13698人中4人(0.029%)だった。正確な発生頻度の把握にはより大規模な前向き研究が必要だろう

***
そういえば先日の抄読会でラリンジアルマスクのカフ圧に関する論文が取り上げられていた。
Use of Manometry for Laryngeal Mask Airway Reduces Postoperative Pharyngolaryngeal Adverse Events: A Prospective, Randomized Trial. Anesthesiology. March 2010 - Volume 112 - Issue 3 - pp 652-657

・LMA classicによる合併症調査
・200人での前向き無作為二重盲検
・麻酔はPRFとfentanyl導入。desflurane維持、自発呼吸下。笑気は使用しない。
・・咽頭痛、嚥下困難、発声困難は13.4% VS 45.6%でカフ圧を40-44mmHgに調節した群で有意に低かった。調節しない群でのカフ圧はは114mmHg程度と高かった。
・満足度のVASは両群で有意差無し
・著者らはカフ圧計の使用を推奨している

***
「これでわかった!図解ラリンジアルマスク. 克誠堂出版 2009.」によると
・ LMAでカフを入れすぎないように注意。サイズ3,4,5は15ml注入を基本とし、必要なら5ml追加。それぞれのLMAに記載されている20ml,30ml,40mlは最大量であり、適切な注入量ではない。
・LMAのまれな合併症として長期の神経麻痺や声帯麻痺が報告されている

***
まとめると重要なことは以下の2点だろう。
・術前の患者さんへの説明と発生時のfollow up。
・漫然と気道管理を行わない

英単語
elucidate: 解明する、説明する

2010年4月22日木曜日

bicycle(其の一から其の四まで)

4月19日
ほぼ4ヶ月ぶりに自転車で通勤してみた。
1本目往路:45分48秒(5:24-6:10, 13.8km)
走り始めこそ寒かったが、8-9℃程度あったので徐々に暖まってきた。少しひんやりとした風が心地よかった。この日の日の出は5時4分。日の出直後の自転車はよい。
2本目復路:46分02秒
13時間麻酔の前後を自転車で挟んだのはちょっと体力的に厳しいものがあった。
まだまだ修練が必要。

4月21日
3本目往路:40分58秒(5:34-6:15) 
4本目復路:48分30秒, 計55.2km
26℃まで上昇。

査読原稿を修正したものを4月2日に送ったが、今日医局のボックスを覗いてみたら再度出版社から封筒が届いていた。もしや掲載の通知か?と思ったが、それにしては前回と同じようなCD-ROMが入っていたのが封筒の上からも分った。ドキドキしながら中を開けてみると…。
こんなに私の論文に付き合ってくださり査読者の先生には感謝いたします。もう一度書き直そう。

2010年4月21日水曜日

大腿静脈からの中心静脈カテーテル挿入

http://www.med.nagoya-u.ac.jp/anesth/cv/CVmanual.pdf
・伸展、軽度外転・外旋位にする
・通常右側(左総腸骨静脈は右総腸骨動脈と重なり血栓形成している可能性)
・穿刺部位はFAのすぐ内側、鼠径靭帯の1-2横指下。またはエコーで確認
 末梢に向かうほど静脈が動脈の背側へ移行し深部へ向かうため動脈穿刺になりやすい
・皮膚に対して30-40°で刺入。通常2-3cmで血液の逆流を認める
・ガイドワイヤーを10cm進める。その後30cm程度進める
・いったんワイヤーを抜き、再度逆流を確認
・ダイレータ挿入、その後カテーテル挿入
・挿入長は成人なら40-50cm(カテコラミンやCVP測定には横隔膜上まで)
・単なる輸液ラインなら15-20cmあればよい

合併症
・鼠径靭帯より上では後腹膜出血、腹腔穿刺

・鼠径靭帯直下では2/3の症例に静脈弁がありカテの送り込みが困難なことがある

2010年4月20日火曜日

神経発達期ラットへの吸入麻酔薬曝露

Volatile Anesthetics Rapidly Increase Dendritic Spine Density in the Rat Medial Prefrontal Cortex during Synaptogenesis. Anesthesiology 2010; 112:546 –56

背景:麻酔薬によって脳発達期のシナプス形成は阻害される。大脳皮質のシナプス形成発達時期である生後16日のラットを使用し、吸入麻酔薬の曝露時間によって神経細胞骨格(cytoarchitecture)が受ける影響を調査した。
方法:生後16日ラットにイソフルラン(1.5%)、セボフルラン(2.5%)、デスフルラン(7%)で30,60,120分間の曝露。麻酔導入後6時間後の内側前頭前皮質の第5層錐体細胞を取り出し、神経細胞骨格を評価。細胞死の有無はfluoro-Jade B染色とTUNNEL法で評価。神経細胞をNeurolucidaソフトウェアを使用して3D再構築を行い、細胞の 樹状突起を顕微鏡で観察した。
結果:同モデルでは2時間までの曝露ではどの吸入麻酔薬も神経細胞死や樹状構造の変化は見られなかった。一方で樹状突起の密度は上昇した。重要なこととして、薬剤と曝露時間によって樹状突起の密度にかなりの差が認められた。
結論:吸入麻酔薬は神経新生に対し、数時間以内の曝露でも影響を及ぼす。大脳皮質発達における正確な神経回路構築を傷害する。

ラットでは恐らく生後10日頃までが麻酔薬によるアポトーシスが起こりうる非常に重要な時期である。その後生後1ヶ月頃まではシナプス形成は活発ではあるが、その時期に麻酔薬が神経細胞骨格に与える影響は未だ解決されていない。

今回のラットの結果をヒトに当てはめるのは難しい。生後7日のラットはヒトでは妊娠32-36週に相当するとも17-20週程度とも報告されている。最近の研究では吸入麻酔薬による細胞死誘導効果はラットでは生後5-7日がピークとされる。生後16日ラットはヒトではおそらく生後数年間に相当するのではないか。と著者らは述べている。
 
この結果を受けて子供に吸入麻酔薬を使わないほうがいい、とはならないだろうが、ヒトにおいても恐らく何らかの影響を与えているだろう。



2010年4月18日日曜日

Training in Rena (其の二十四) 

ランニング:40分 5.1km / 計148.1km
 (傾斜5.0固定。8.0k/hにて)
筋トレ:なし
プール:ウォークと泳ぎで300m、息継ぎの練習
***
アメリカのNew Orleansといえばベニエ(beignets)が有名。私は昨年のASAの時にそのNew Orleansに4泊もしたにも拘らず、うっかり食べそびれてしまった。そのため自分用の土産に「お家で作れるベニエの素」(ホットケーキミックスのような粉、重い)を買い、作ろう作ろうと思ってずっと楽しみにとっておいた。だが、先日作ろうと思い取り出してよくよく見てみると賞味期限が切れていたではないか。
そんなちょっとした悔しさを思い出したのが今日、池袋西口で偶然「Cafe du Monde」の支店を発見したときだった。昼食後間もない時でお腹いっぱいだったためテイクアウトにしてもらったはいいが、家に着いて食べる頃には夕方で、ベニエはすっかりふにゃふにゃになってしまった。

(麻) LVAD(left ventricular assist device)はいつも突然やってくる

ということですぐ思い出せるように記す。

LVAD挿入時の経食道心エコーでのチェック項目

1. 装着前
・卵円孔開存:カラーレンジ30-40cm/sにおとして観察
     LVADが機能し始めるとLA圧はほぼゼロに→R-L shuntになり奇異性塞栓の危険あり
・AR: LVAD機能後にLVに血液逆流、ポンプの回転数増やしても全身への拍出増えない
  左心不全患者ではLVEDPの上昇と拡張期血圧の低下のため、ARを過小評価する可能性あり
・MS: LVADへの血流が制限される
・MR:離脱の可能性や十分な容量負荷が必要になる症例であれば、中等度以上なら修復必要。
・心腔内血栓:左心耳とLV心尖は血栓が生じやすい
・大動脈アテローム
・RV機能障害:RVが動いているかとTRの程度.術前にmoderate TR以上なら右心不全の増悪因子になるので修復術するべき
 4CのRV面積駆出率が20%以下であれば心肺後に右心不全を起こす可能性が高い

2. 挿入時
・脱血カニューラのポジション:心尖部中央かつMVから離れていること(4Cか2Cで確認)
・空気除去:装置内やカニュラ内にも空気あることあり。大量空気で必ず下行大動脈に空気見えるのでチェック。

3. 装置の駆動
・ RV機能評価
・ PFO
・ ARの有無

4. バイパス後
・ 低ポンプ流量の鑑別診断
  ・低容量:左室が十分減圧され、かつ完全に虚脱してなければ前負荷は適当。
  ・タンポナーデの有無、胸水の貯留の有無
  ・RV不全:TRの評価。右室拡大の程度、心房心室中隔の偏位。右心機能が低下していればLVADの前負荷低下とoutput減少につながるためnRVASも必要  
  ・脱血管と送血管の閉塞:脱血管(心尖部のインレットカニューレ)は僧房弁から直線的であることを確認。アウトレットカニューレが適切に開口していることも確認。
  ・肺塞栓

・mCVP 10-15mmhg, sPAP 15-30mmHgを目標に管理
・CPB離脱時にはドパミン5γ程度、ノルアドレナリン0.1-0.5γ程度で昇圧。容量負荷をゆっくり行う
・PHに対してはPDE3阻害薬やNO吸入
・離脱後の尿量低下にはANP使用
・術後抗凝固warfarin 2.5-4程度

LVAD離脱可能かの判定
・へパリン300u/kgを投与して施行
・DOA,DOB10γ以下でsBP90<, CI 2.0L/min/m2以上の維持が可能か
・ポンプ停止15分で臨床症状の変化なし、TTEでLVDd55mm以下、LVEF40%以上
・右心カテーテル挿入下に心肺運動負荷試験を行う方法も

参考文献
・補助循環マスターポイント102(改訂2版). MEDICAL VIEW. 2009
・実践周術期経食道心エコーマニュアル. エルゼビア・ジャパン. 2006
・慢性心不全患者の麻酔. LiSA 2009年3月号
・周術期における補助循環. 臨床麻酔 2010年4月号 p.701-707

2010年4月17日土曜日

Training in Rena(其の二十三)

今週は麻酔の時間が長めだったせいか、やる気が下降線だったせいか、気がつくとラストランから1週間経っていた。
4月11日(日)には最高気温24℃だったのが13→22→17→9℃と変化し金曜には7℃まで低下。

土曜の今朝ゴミを出すために外に出たら家々の屋根はうっすらと白化粧だった。最低気温2℃。
41年ぶりの遅い雪らしい。
***


ランニング:80分11.0km / 計143.0km
 (傾斜3.0固定。 7.5k/hで30分、その後10分毎に0.5km/hスピードアップし最終10.0k/h)
筋トレ:大胸筋、脊柱起立筋、腹筋

7.5k/h程度だと余裕をもって走れるが、後半徐々に負荷を上げてくるときつくなる。
最初はこれで走れるが
SlipknotのPsychosocial

60分を越えると音楽の力を借りないとまだまだ無理。
Dir en Greyの朔-saku- (世界で活躍する日本のロックバンド)
Sonata ArcticaのWolf and Raven (やっぱりこれが1番速く走れる)

「マラソンは毎日走っても完走できない ― 小出義雄」で紹介されているトレーニング法をアレンジすると
10kmレースの場合(1-3ヶ月用) 目標:50分以内

週3日のメニュー
土:60-90分 ビルドアップ走(後半にかけて徐々に負荷をかけていく走法)で10-15km
日:30-40分 ジョギング
月火:休
水:60分(ジョギング 10分+全力5分+walk5分)×3
木金:休

走った後に抄読会の資料を作成しているとどうにも睡魔に襲われる

2010年4月12日月曜日

Pain of SalvationのThe Perfect Element Part.1 と 雨の日に聴く曲

2000年発表のスウェーデンのバンド3作目。 プログレッシブメタルバンドの中で最も有名であろうDream Theaterのフォロワーと言われていた当時、本作は「バンド最高傑作」とかなりの高評価を得ていた。私もそれを聞いて興味本位で購入した覚えがある。確かその前年の1999年にDream Theaterが「Metropolis Pt 2: Scenes from a Memory」を発表しており、私は相当入れ込んで聴いていた。同アルバムに収録されている「The Spirit Carries on」は未だに聴き続けている名曲である。
そんな俄かプログレッシブメタルファンになったばかりだった私が手に取った本作。
3曲目の「Ashes」を聴いたときはかなりの衝撃だった。
この曲を初めて聞いたときも、今日のような冷たい雨が降っていたような気がする。

雨が似合う絶望バラードメタル
・Sentenced(フィンランド)のGuilt and Regret
・Dark Lunacy(イタリア)のSnowdrifts
・Amorphis(フィンランド)のI of  crimson blood

2010年4月11日日曜日

急性硬膜外血腫(AEDH)の麻酔メモ

・他部位の外傷や病態をチェック
 ・挿管に関する項目:頭蓋底骨折(経鼻挿管・胃管は禁忌)、頚椎損傷、舌や口腔内の損傷(喉頭展開時に視野が不十分になるかも)
 ・循環に関する項目:骨盤、四肢骨折、不整脈
 ・呼吸に関する項目:血気胸、神経原生肺水腫(肺静脈圧上昇、肺毛細管の膜透過性増加、交感神経作用物質の大量流出が関与)
・二次性脳損傷(受傷後に進展する脳の損傷)を最小限にするため以下を避ける
 ・低酸素血症、低血圧(脳灌流圧は60-70mmHg以上を維持)、貧血、高または低CO2血症(目標はPaCO2でおよそ35mmHg)、高熱
・頭部外傷にステロイドの使用はエビデンス不十分、殆ど行わない

・バルビツレートとプロポフォールはCMRO2(脳酸素代謝率)を低下、脳血液量(CBV)を減少、ICPは低下。
・ケタミンは血圧上昇、ICP上昇するので使わない
・亜酸化窒素はCBF増加。過換気でも低下しないので使わない

麻酔
・導入:propofol+fentanyl or remifentanil and rocuronium
 ・誤嚥に要注意。換気するとしても頭高位にしてcricoid pressure下に低圧で。
 ・術前の胃のCTがあればチェックしておく。
・維持:propofol+remifentanil, 適宜fentanyl
 ・ICPが高いことを考えると術中のMAPは90mmHg以上程度を目標に

 ・開頭前に輸血が手元に来ていることを確認。開頭後の著明な低血圧に要注意
 ・循環血液量は低下しているので、術野をよく観察し輸血のタイミングを逸しない
・退室:抜管は術者と相談。
 ・挿管のままの場合は過度の血圧上昇に備えpropofolとnicardipineをシリンジポンプでお持ち帰り

参考文献:脳保護・脳蘇生(坂部武史編集、克誠堂出版) 

Training outside(其の二十二)

今日は23℃まで上昇。桜もまだまだ見頃。舞い散る桜吹雪の中、石神井川沿いを走るのはとてもいい気分だった。

ランニング&ウォーキング:33分4.6km (計132.0km)
筋トレ:なし
プール:40分(平泳ぎとウォーキング)

久しぶりにプールに行った。自転車とランニングは練習で何とかなりそうだが、泳ぐのは根性だけでは何とかならない気がする。しかしトライアスロンに出場しようと思ったら泳ぎは必須。息継ぎもろくにできない私が果たして泳げるようになるだろうか。
調べたところ、1番短距離のトライアスロンの大会は「スプリントトライアスロン」というもので
 スイム750m,バイク20km,ラン5km
だそうだ。
750mというと25mプールを13往復。…道のりは長そうだが、まずは水に慣れることから始めよう。

4月5km 23分07秒
6月8km
7月10km
9月20km

2010年4月10日土曜日

意思決定力 ― 本田直之

良くも悪くもこれまで意志決定力を鍛える練習を、相当サボって生きてきた。なぜならこの国では、大人になるために標準的なレールがある程度決まっているからだ、と他人のせいにしてみる。

・最後に責任をとるのは自分という覚悟が備わっている人は、意思決定力が強い。(22)
・実質的に矢面に立ち、切羽詰るような経験をどれだけするか、が意思決定力を鍛える練習。(24)
・自分の判断が正しいという「信じる力」を強めるために、徹底的に準備をする。(29)
・「これからは、自分で意思決定しなければ人にコントロールされて、望んだライフスタイルが選べなくなる。そればかりか、時代に流されて職すら失うはめになる」(35)
・何のために意思決定をするのかを明確にする。(36)
・「やらない」という選択肢を常備しておく。踏みとどまることも、時には必要。(46)
・メリット、デメリットを思いつく限り書き出す。特に想定されるリスクは徹底的に書き出す。(100)
・意思決定に○×はないが、何度も繰り返しながら○に近づけていく意思決定はある。(122)
・失敗とは最悪の事態を経験する練習。(133)
・意思決定力のトレーニング:矢面に立つ経験を買って出る。小さな経験も無視しない。(146)

先日の術前外来診察時に痛感したのが、意思決定力の欠如である。欠如していることを気づけたこと自体へ感謝。また結論に至るところで様々なアドバイスを下さった人たちに心から感謝したい。生死に関わるかもしれないことを検討し、意思決定していくのも私の仕事である。逃げない、いや、逃げてもいい。でも真摯に向き合いたい。
困ったことが起きたときに上司に相談できるのは今のうちだけ。そんな機会は年を重ねるにつれて限定されてくる。常に自分が最終的な意思決定をしていくつもりでいきたい。意思決定するための経験や知識、自分の手や足の感覚が足りないと感じるときには、躊躇無く助言を求める ― そういうスタンスで仕事をしていきたい。自分以外に助言を求める場合には自分が出した答えをしっかりともった上で行う。何が問題か、問題でないか、を認識することが大事な気がする。

湯浅誠氏が「どんとこい、貧困!」で書いていた。貧困者の支援をなぜするのか。あまり理由はないが、それが楽しいから。楽しいからやるのだ、と。

仕事耳を鍛える ― 内田和俊

私が数ある音楽の中でヘヴィメタルを主食とする“メタル耳”になったのは恐らく高校3年生のときだったが、「仕事耳」とは面白いタイトルだなと思って手に取った本書。「聞く」のではなく「聴く」ことの重要性を説いた新書である。「聞いていても聴いていない」状態がいかに多いか、またどのように人の話を聴いた方がよいのか―それを分析、指導している。人の話の「聴き方」など、これまでの人生で教えてもらったことはないし、学んだ記憶もあまりない。「人の話はよくききましょう」というただの呪文みたいな合言葉みたいな言葉なら聞いたことはあるが、その実践方法は私にとっては謎のままだったが、本書を読むことでいかに人の話を普段聴いていないか、を痛感した。
指導していてよく思うのが、相手が相槌を打っているからといって理解しているわけではないということ。または、理解はしていてもそれを実行に移してくれるかは確実ではないということ。または、自分勝手に情報を選んで聞いているために曲解されて伝わることもままあるということ。まぁ自分自身を振り返ってもしょうがないことなのだが…。日本人による日本語同士のコミュニケーションなのに伝わらない。それは相手に対する洞察が足りないのが一因となっているのかもしれない。
人は前提の知識がないことを理解できない。実習で回ってきた学生や研修医にいきなり「挿管時に使うロクロニウムの量はどれくらい?」と聞いても理解できる筈がない。恐らく教えるために必要な技術は本書の筆者が説く「聴く」力が前提となる気がする。それは相手の言動から、相手がどの程度の理解や目標をもって行動しているかを汲み取り、直接話をすることでその裏づけを行い、相手に欠けている視点からアドバイスをすることが大事なのではないだろうか。彼我の立場を無視した知識や禁忌の押し付事項伝授の押し付けはおせっかいなことこの上ない。

・みんな同じ事を言っている には要注意。ある一人の意見を鵜呑みにしてはいけない。
・発見を妨げる最大の障害は、無知ではなく、知っていると錯覚することである - ダニエル・J・ブアスティン(92)

経験を積むと足枷になるのが、まさにこれだろう。やはり素直な心が大事なのだ。

Training in Rena(其の二十一)

ランニング:35分5.4km (計127.4km)
 傾斜3.0:9.0k/hで2km, 10.0k/hで1.0km,
 傾斜5.0:10k/hで1.0km
 傾斜3.0:9.0km/hで1.4km
筋トレ:なし

4月5km 23分07秒
6月8km
7月10km
9月20km

どんとこい、貧困 ― 湯浅誠

・溜めの小さい人が百の努力をして達成するものと、溜めの大きい人が努力して達成するものとでは、結果の大きさは違うかもしれない。(204)
・小さな結果しか出せなかった人はあまり努力をしなかったという見方が、自己責任論を増やし育てる培養器になっている。(205)
・関心は尊重につながる。(234)

生活最低費未満の世帯が230万世帯(全体の4.8%)になるという(2007年、厚生労働省まとめ)。
年越し派遣村の村長を務めた著者は東京大学卒業である。本書の中で著者は東京大学に入学してくる学生はお金や環境などのいろんな「溜め」があったからだと思う、と述べている。そういったものは本人の努力以前の前提条件だ。前提条件の「溜め」は自分で選べないものが多い。子供は生まれ育つ環境は選べない。選べない環境のまま大人になる。そうなると「溜め」がある環境で成長していれば得られただろう様々なスキルを身につけられないまま社会に放り出される。働く目的は、食べることや寝るところの確保のためだけになりかねない。「溜め」の少ない人に「頑張らなかったからそうなったんでしょう」と自己責任論をふっかけるのはあまりに暴力的だ。

2010年4月8日木曜日

Training in Rena(其の二十)

当直で1時過ぎまで脳外科の緊急手術に対応し、その後当直室に行こうと思っていたらソファで意識消失して朝を迎えてしまった。

ランニング:48分8.0km (計122.0km)

  傾斜3.0:8.0k/hで2km, 9k/hで2.0km, 10k/hで1.0km
→傾斜0:8.0km/hで0.5km
→傾斜1.0:9.0km/hで2.0km
→傾斜5.0:11k/hで0.5m 
筋トレ:腹筋、背筋、脊柱起立筋、胸筋

4月5km 23分07秒
6月8km
7月10km
9月20km
***

オルプリノンの復習
・薬効:心収縮増強、血管拡張作用、肺動脈圧低下、内臓血流増加、抗炎症作用、気管支拡張作用
・適応0.1-0.3γ
・初期ローディングしなくても30-60分で効果出現
・腎機能低下では0.1γから
・急性心不全症例では半減期延長。
・不整脈に注意
・十分な前負荷で投与
・AS,MSでは慎重投与
禁忌
・HOCM
・妊婦

2010年4月6日火曜日

スピード・オブ・トラスト ― スティーブン・M・R・コヴィー(其の一)

ハードカバーで500ページあるので、中々骨が折れるが、金言の宝庫だった。

・責任を持たせ、信頼していることを分らせること、それが人の一番の支えとなる。 ― ブッカー・T・ワシントン (42)
・信頼には二つの要素が作用している。人格と能力である。
 人格―他者に対する誠実さ、動機、意図。
 能力―才能、スキル、結果、実績 (44)
・「リーダーシップとは、信頼の構築を通じて結果を出すことである」つまり、信頼の確立を通じて現在の貢献と将来貢献する能力の両方を最大化することなのだ。(60)
・自分を信じることは成功の第一の秘訣。つまり、英雄であることの本質である。―ラルフ・ウォルドー・エマーソン (70)
・部下が上司を信頼しない理由は何か。殆どの場合、それは些細なことである。小さな不正直が積み重なって徐々に信頼を蝕んでいくのだ。(71)
・自分と約束したことを常に守っているか? (97)
・信念を持とう。価値観の中には定量化できないものがある。問題は成功にかかるコストではない。重要なのは、正しい方法で成功することだ。我々はまた、正しいこと(顧客との関係、品質、誠実さ、チームワーク、人に対する敬意、善良な市民意識、成功意欲、個人としての責任など)を大切にする姿勢を自らの行動で一貫して証明しなければならない。― ケネス・シュノールト(101)
・自分の価値観が明確であれば、意思決定は難しいことではない。 ― ロイ・ディズニー (104)
・自分のものの見方は正確かつ完全だと自分で思っているか。それとも新たな視点や考え方に耳を傾け、検討することに意欲的か。
・様々な人の視点を真面目に考え、その影響を喜んで受けようとするか。
・まだ気づいていない原則があるかもしれないと思っているか。新しい思考方法や習慣を身につける必要性が生じても、それに合わせた生き方をするつもりがあるか?
・学習し続けることの重要性を認め、実践しているか? (106)
・最も信頼を与える思惑は、お互いの利益を追求しようとすることだ。(119)
・どんな状況であっても、他者の良からぬ行動に対して、その根底には善意が存在した可能性があることを認識すべきである。(126)
・豊かさを選べる経済的根拠は何も無かったときでも、豊かであろうと決め、そして行動した。(134)
・私はいつも自分の無知に突き動かされて学習や仕事をしている。 ― ハーヴェイ・ゴルブ(161)

1番感銘を受けたのが、改めて出会ったこの言葉。
・「つまらないものなど一つとして存在しない。存在するのは無関心な人間だけだ」―チェスタトン卿(151)
ルーチンワークをする際に思考停止にならないように戒められる。

Training in Rena(其の十九)

今日はよい天気だった。
初めて行く外勤先で緊張していたのか、4時半に起きてしまった。
***
ランニング:36分5.0km (計114.0km)
(傾斜5.0:8.0k/hで2km→10k/hで1.0km→傾斜0:8.0km/hで0.5km,
 →傾斜5.0:8.0km/hで1.0km→傾斜5.0:11k/hで0.5m  
筋トレ:腹筋、背筋、胸筋

ルネのお姉さんに聞いたところ、ベルト上のランニングだとふくらはぎ辺りの「蹴り出す筋力」が路上に比べて増加しにくいとのこと。傾斜2-3程度で路上のトレーニングと同じくらいなのではないか、とも言っていた。だからというわけではないが、今日は傾斜をつけて走ることに。次々回出る予定のレースが標高差が激しいコースだからである。平日はどうしても短時間のトレーニングになってしまうので、だらだら走っても心肺機能はあまり向上しない。麻酔でいうとASA PS 1-2の健康な人の麻酔ばかりかけていても麻酔の腕の上達は緩やかで、敗血症性ショックや大動脈瘤破裂の緊急手術には対応できない(?)のと似ているだろうか。短時間でマラソンボディになるには心肺にしっかりと負荷をかける必要がありそうだ。

2010年4月4日日曜日

なまずの里, 吉川市(其の十八、5km Marathon )

3月23日から体調を崩し、年度末の送別会や職場の花見等を欠席し社交性ゼロの最近の私。おかげで走れる程度まで体調が戻り、念願叶い市民マラソン初出場を果たした。

自宅から電車を乗り継いで1時間ほどではあったのだが、寝坊してはかなわないと考え、前日は近くに宿をとることに。

迎えた4月4日朝。
土日ともに5時に起きるなんて滅多に無い快挙。宿を取った駅から電車に乗り、目的の駅で下車する人が、私の乗っていた車両全体の8割ほどはいただろうか。スポーティな老若男女の集団はちょっと異様である。おそらく人口6万5千人規模の市で日曜朝7時台にこれだけの人が下車することは殆ど無いに違いない。駅前には金のなまずがどっしりと存在感を示していた。

風が少し吹いていて寒い。駅前から無料送迎バスが出ていた。会場となった市民交流センターは、広い敷地内が参加者が持ってきたブルーシートで埋め尽くされていた。人人人。着替える場所にも苦慮。こんなことならプールの授業がある日の小学生みたいに、パンツの下にウェアを着込んでくればよかった。
寒いが、ウォーミングアップしないとどうしようもない。中にランニング用ウェアを着てダウンジャケットを羽織ったまま準備運動。

1回目は2729人だった参加者も今回で15回を数えるらしく、エントリー数は7689人とのこと。結局今回の大会直前に屋外を走ったのは3月21日の1回だけだった。しかもその後1回も走れていなかったため極度の不安を抱えての本番。なか13日のランニングである。
スタートラインは脚力別に分かれており、前から「15-20分」「20-25分」「25分以上」となっていた。妻とともに「25分以上」に並ぶ。スタート直前となると否が応にも緊張が高まる。スタートの混乱で転倒するんじゃないかとか、転倒させるんじゃないかとかどうでもよいようなことが頭の中を渦巻く。しかしいざ走り始めてみると、何も問題なかった。序盤こそ人を追い抜くときにどちらから走り抜ければよいのかと試行錯誤することがあったが、序盤の混雑を抜けると後は自分との戦いである。とはいえともに走る人たちがいる抜きつ抜かれつのレースが面白い。沿道の声援が嬉しい。コースの途中には、越谷市と吉川市を境する利根川水系の中川が南北に流れており、川沿いの満開の桜が出迎えてくれた。久しぶりのランニングだったからか気持ちよく走れた。左足関節の不調と風邪を訴えていた妻も完走することができた。

ランニング:23分07秒 5.0km(10:00-10:23) 計109.0km
天気:曇り 気温:14℃ 湿度:41%

次は2ヵ月後の大会。体調管理をしっかりして臨もう。
***
本が自室に溢れかえっており、平積みになった書物はどこに何があるかわからないため知識検索の対象外となり埃の温床と化して久しかったので、本棚を購入した。購入したはいいが、てっきり完成品が届くと思いきや、自分で組み立てるものであった。マラソンから帰ってきてちまちまとドライバーでねじ回しをする。これがなかなか楽しい。んで格闘30分で本棚が完成。部屋の片隅にごちゃっと固まっていた本を全て収納することができた。
昔よく読んでいた加藤諦三、三浦綾子の本がたくさん出てきた。
1つショッキングだったのが、同じ本が2冊あったこと。「上達の法則」という岡本浩一氏の著作。1冊は当直中の病院のコンビニで、もう1冊は古本で買ったに違いなかった。本を読むことを目的として読んでいたのか、同書がちっとも自分の血とも肉ともなっていない現実にがっくりした。

2010年4月1日木曜日

新年度

無心で最高の結果が出せる日まで精進を続けよう。
今年度も謙虚、感謝、素直な心を忘れないようにしよう。