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2008年9月29日月曜日

(麻) 第5回JB-POT受験記録

「第5回 日本周術期経食道心エコー認定試験」
JB-POTである。

8時20分過ぎには丸ノ内線淡路町駅に到着。
会場に行くと集中できないと思い近くのcafeで時間を過ごす。
店内には数人のJB-POT受験者と思われる人々が本を広げている。
私は店の外向きの窓側のカウンター席へ。
自分で作成した「TEE ノートブック」と昨日までにまとめた「ポッターメモ」「☆☆☆JB-POT過去問覚え書き」などを最初から見直していく。
・・・・。

飽きてきたので9時20分ごろ会場へI先生とともに向かう。
クロークでバッグを預け、試験場内へ。280人弱が受験するということでずいぶん広いところ。
会議室机(2人分の椅子がそれぞれに設置されている)が並べられており、各々の机には液晶画面(SHARPのAQUOS15インチ)が置かれている。
自分の席に着き、鉛筆が3本、消しゴム、電卓(これもSHARP)が置かれている。
ちょっと寒い。
かばんを預けてしまい、場内には何も持ち込めないので勉強内容を見直すものもなく、 ぼーっとすごす。
いよいよ時間が迫ってくる。

9時50分。
場内前方にN先生が現れる。
「新幹線のトラブルがあってまだ到着されていない方がいるので少し遅らせます」

10時15分、試験スタート。
当初聞いていたとおり午前中はビデオ問題。
1症例ごとに問が1~3題出題される。
液晶画面上に合図が出る
⇒ 問題文を30秒読む
⇒合図ののち液晶画面上にビデオによる症例提示(大体10-20秒くらいか) 
⇒合図とともに60秒の解答時間  
⇒そこで再度同じ症例のビデオが流される 
⇒30秒のポーズ 
⇒次の症例へ
の繰り返し。それが30症例繰り返される。問題は全部で45題出題。
6割というと27/45問正解しなければならない。

来年の自分のために思い出してみると(順不同)
1.大腿静脈からRAまで脱血用のカニューラを挿入している動画。
 カニューラは何本?位置は10cm抜いたほうが良い?
2.大動脈解離(A,B2種類の動画)
  Aは偽腔内に空気だらけ?人工心肺中?
  Bは大動脈クロスクランプ後によく見られる?体位は頭高位である?
3.大腿動脈と腋窩動脈からの偽腔送血の動画
  対応はどうすればよいか?すぐ低体温にすべきか。両側腋窩動脈送血にすべきか。送血量を減らすべきか
4.RAに進展する巨大腫瘤
  腫瘤内に血流がみられる。下大静脈は閉塞している。腎細胞癌か?
5.再弁置換MVR
  Antianatomicalかanatomicalか?スタックしてるのはどちらの弁か?
6.MVP 術後
  起こりうる合併症として最も考えにくいものは?
7.PCPSとIABPが入った患者のTEE
8.A,B2枚のドップラー画像。Bは何の条件をかえたか?
  ベースラインシフト?
9.AMIでCABGとなった81歳女性のTEE
  基部、中部、心尖部どこがhypokinesisかいろんな組み合わせの5択。
10.経胃中部短軸。冠動脈のどこが閉塞している?
  右冠動脈近位、遠位。左前下行枝近位、遠位。左回旋枝
11.僧帽弁逸脱
  交連像でどの弁尖が逸脱(P1だった)してる?
12.LAベントが入っているCPB離脱後の画像。矢印で示しているものはなにか。血栓か貯留型空気かベントか?
13.大動脈解離の画像。2,3の方向から見ている。ドップラーをいれたりしている。
 A,B2つの矢印が表示されて…Aはアーチファクトか、Bはフラップか?のような選択枝
14.人工物がある画像。この画像で…サイドローブはある、多重反射はある、などの選択肢で画像上にどのアーチファクトがあるかないかを問う
15.肺塞栓でショックの画像
 右肺に血栓がある。主肺動脈に血栓がある、はたまた左肺動脈?
 右室は容量負荷である、圧負荷である(画像で鑑別できないと正解できないと思われる)
16.4パターンの動画から…
 循環血液量減少の動画は? アナフィラキシーは動画は? の2連問。 
17.バルサルバ動脈瘤破裂の画像?
 左―右シャントが解答?
18.右房付近の正常構造物。bicaval viewなどでA,B,Cの矢印が画面上に現れて
 キアリネットワーク、ユースタキ弁、右房前壁、分界稜などから正しい組み合わせを選択する。
19.画像上にA,B,Cの矢印が現れて…
 右房、三尖弁、右室、左房、左室、僧帽弁などの組み合わせから正しいものを選択する(ちょっとLAが張ったLA,MV,LVの組み合わせだったような)
 → TGAの画像??そうだよなぁ、普通の組み合わせじゃボーナス問題だもんな
20.PFOの問題
 描出している断面は?(中部食道上下大静脈像) 診断は? の2連問
21.MSで術後の画像
 圧較差は改善している、とかの選択肢で間違っているものを選ぶ
22.大動脈解離でAR
 画像上見られない所見は
 術式は など3連問。
23.術後SAMの画像
 弁尖接合部が前より、後ろより?
 術前のリスクは・・・?
 治療は?(たしか選択肢にβブロッカーがあった)
24.左房近くの大きなエコーフリースペース
 このフリースペースは何か?
 (選択肢の中だと心膜横洞だとおもうんだけど、問題に出てたスペースの場所が
 左房に後ろだったから違うのかな?)
 エコーフリースペース近くの左房内構造物は何か(矢印で示している) 
 (アーチファクトはなかったから空気ではないと思うが…左心耳?クマジン綾?)

筆記編(順不同)
1.3枚の画像で粘液腫と線維腫と、乳頭状弾性線維腫の組み合わせを選択
2.ASD(静脈洞型)の画像で「静脈洞型」を選ばせる
3.AS,LVOTS,ARのドップラー3枚出されて正しい組み合わせを選ぶ
4.MRのPISA計算問題
5.周波数が与えられてて波長を計算する問題。
 5MHzだったら速度1540m/sとで1540÷5000000をしましょう
6.ASD(VSDだったか?)のパッチ閉鎖後のQp/Qsの計算問題。
 PA直径とLVOT直径、VTIが与えられている。CSA×VTIの比を出せばよい。
  (*専門医認定試験46C38にこの公式を使う問題が出題されている)
7.6の連問でPA圧とCVPが高いけど治療はどうすればいいの~。
 (NTGとかフェニレフリン、ドパミンとか選択肢にあった。)
8.左室の一回拍出量の計算問題。画像が4枚提示されていてLVOT径がちょっとちがう
 (1枚は2.1cm?2枚目はLVOT部分が拡大されている画像で2.2cm?だったかな)と、
 ドップラーの波形からVTIが出てるんだけど1枚は波形の内側をなぞっていて、
 もう1枚はドップラー波の一番外側をなぞってVTIを出している。それらから計算。
 ようするに正しい測定がそれぞれどちらかというのを聞いているのか?
9.拘束型心筋症と収縮性心膜炎の鑑別とかそれに付随する問題
10.三尖弁輪の心尖部下方移動は…mmでは正常(異常?)である
11.僧帽弁輪の収縮期下方移動は12mmは正常(異常?)である。
 拡張末期左室径は60mmは正常?
12.RCAとLMTはどちらがよりAVより?ほかの選択肢とで正誤判定問題。
13.近距離音場に関する設問。周波数が大きいと長くなる。とかそういう選択肢。
14.フェーズトアレイに関する問題
15.TOFに関する問題。術後のPSは経過でよくなりうる、とか
 大動脈騎乗を描出するのは四腔像が一番いいとか、
 心配離脱中に右室/左室圧比が0.6以上になることもあるとか
16.未治療IEに関する問題。弁接合部にできやすい。ジェット内にできやすい。
 弁尖の動きと関係なく高速に動く、10mm以上では塞栓のリスク高いとか・・・。
17.弁輪部膿瘍に関する問題。「抗生剤が効きにくい」という選択肢が正解だったかな。
18.ASDのAMPLATZERの適応としてよいものは?「25mmの二次孔欠損」が正解。
 Rimがなかったり、血栓あったり、1次孔欠損だったりは適応外。
19.深度を6cm⇒12cmにして、ほかの条件が変化しなかったと仮定した場合に
 フレームレートはどうなるか?1/2になるのかな?
20.リウマチ性MSのウィルキンススコアに含まれてない項目。「圧較差」が正解。
21.心臓のイラストで右室内が見えている。3つ矢印があってmoderator band, partial band(?),
 前尖、後尖などから正しい組み合わせを選ぶ。どっかでみたな・・。
22.ティシュドップラーについて。連続波ティシュドップラーとかいろいろあるとかないとか
23.いろんな病態のE/A比とか、DCTとか。16歳のE/A比>2ってどうなんですか?
24.中心周波数を上げるとMIは増加する(しません)、とか。
25.TEEのプローベは38度以下にしましょう(41度いかだよね)、とか
26.TEEを挿入するときはロックしましょう(するわけないですよね)、とか
27.TEE挿入時に血行動態で気をつけるべき病態
 巨大弓部大動脈瘤、PLSVC、巨大左房、総肺静脈還流異常症、右鎖骨下動脈狭窄(だったかな?)
28…あとは思い出せません。

私の感想。
・ビデオ問題は難しい。普段ほとんど座学だったから致し方ないか?  
・会場が寒くてトイレの心配で集中できなかった。ビデオ問題開始前には膀胱を空にしておくべきである。

(ビデオ対策)
・解けない問題は考えない。  
・選択肢を2択くらいまでに絞っておいて、次の問題で時間が余ったら思い出しつつやる。  
・すぐとける問題があったら、次の問題、その次の問題の選択肢を見ておく。  
・選択肢から予想して「映されるであろう断面」をあらかじめ問題用紙の余白に書いておくとか。
・記述問題はかなりハイペースで解くようにして80分かかり、見直しをハイペースでやってもちょっと足りないように感じた。もちろん途中退室される先生もいた。

・お弁当はおいしくなかった。

2008年9月27日土曜日

これにて終了のポッターメモ12

*赤字は第5回JB-POTの出題に関連していた個所です。記憶の範囲で。

◎MVPに関連して
SAM/LVOTO
   ・MVP施行者の16%以上に出現。
 ・主因は過剰な僧帽弁尖組織。
 術前リスクとしてはAL/PL(前尖長/後尖長) <1やC-sept(接合点と中隔の距離) <>  
   ・MVP術後に弁尖の接合点がより前方に位置する例、術後の長い前尖もリスクに。
 ・小さいリングを使うのはリスクになる。
 ・部分リングを使用した場合にはSAMはあまりみられない。

   治療はカテコラミン中止、容量負荷。α刺激薬。LVOT圧較差あればβ遮断薬も考慮する。
   ・
利尿薬は使わない!

・晩期僧帽弁形成不全
 ・再手術は腱索短縮術のTrenching法が用いられたときに必要となることが多い。
  (人工腱索移植術は長期成績が良い)

◎ARに関連して
・ドップラービームを適正に配置する際は
 ・速度は速く(4-5m/s)しておく
 ・ARはジェットが入ると大きくまじりけのない音色になる
 ・ドップラー信号のスペクトラル波形の輝度(濃度)はリークの重症度に比例する
 ・有意なARのある患者のLVOTの流速は1.5m/sを超えることがしばしばある
 
・severe ARではPHTは200ms以下、逆流ジェット勾配は3m/s以上
☆(逆流ジェット幅 / LVOT径) は 25~64%がmoderate *ME AO長軸で!
☆(逆流ジェット面積 / 室流出路面積)は 25~59%がmoderate *MEAO短軸で!
vena contracta(長軸で6mm以上もしくは短軸で面積が7.5mm2以上ならsevere)
MRの重症度とは対照的に前負荷・後負荷に依存しない。

◎ASに関連して
・カテ室で使われていたGorlinの式は
  大動脈弁口面積 = (心拍出量) / {44.3×(収縮期駆出時間)×(心拍数)×(平均圧較差の平方根)}
 のように心拍出量に直接比例している、圧較差の平方根に反比例している
・プラニメトリ法は低心拍出量または正常心拍出量を呈する患者で有効。
 弁石灰化が強いときは不正確。
 *低心拍出状態では他に TVI(LVOT) / TVI(AV) の式も重症度判定に使える(0.25以下で重症)
・圧較差は心カテでは…最大圧間の圧較差
       エコーでは…左室と大動脈の間の最大瞬間血流速度から計測
  そのため圧較差は エコー > 心カテ
・左心機能が落ちてれば、最大圧較差が50mmHgを超えるくらいの心拍出量は出せない…

◎人工弁に関連して
・ステントレス大動脈弁植込みの相対的禁忌は大動脈基部の膿瘍である
 ・ステントレス弁の性能は大動脈基部の形態次第。
・弁輪の大きさ(自己弁輪≦20mmは有用)、弁輪の面での弁葉の不揃い、大動脈基部の拡張。
・上行大動脈が拡張していないこと、STJの径がステントレス弁の直径に等しいか10%以内の差で
 あることを確認

◎右心系の評価に関連して
・僧帽弁と三尖弁の弁輪面の長軸の間隔が8mm/m2以上の場合、エプスタイン奇形を疑う所見。
   ・エプスタイン奇形は前尖の病変は少ない。伝導障害やTRを合併することが多い。
・Ross手術 
 ・重症PR、PVとAVの弁輪径差が2mm以上では適応外。
 ・術後はARの評価と、新しい左室中隔の局所壁運動異常のチェック

◎胸部大動脈
・壁内血腫…交通のない大動脈解離
 ・大動脈壁内の7mm以上の全周性または三日月状肥厚
 ・内膜石灰化の内方偏位
 ・層状構造
 ・1-20cmの長軸方向への拡がり
 ・内膜亀裂や内膜フラップを持たない
・DeBakey分類
 ・Ⅰ型…解離が上行Aoから始まり、下行Aoの種々の部分を巻き込む
 ・Ⅱ型…解離が上行Aoに限局
 ・Ⅲ型…解離が左鎖骨下Aoより末梢から 胸部下行Aoまで(Ⅲa)と腹部Aoまで(Ⅲb)
・TEEによるblind zoneは「上行Ao~近位弓部に重なる気管と左主気管支」のために起こる
・大動脈解離による血栓はCTやMRIの方が感度高い
・大動脈の位置
 ・遠位弓部のレベルでは食道の前方
 ・横隔膜のレベルでは食道の後方真腔と偽腔の見分け方 ・真腔は収縮期に拡大し、拡張期に小さくなる
 ・真腔は薄くやや低輝度の内膜を有す。偽腔は大動脈内腔に接して明るい高輝度の層がある

◎成人先天性心疾患
・大動脈二尖弁
 ・交連の癒着の結果起こる。弁尖は同じだったり全然違う大きさだったり。
 ・全CHDの5%を占める。
 ・一部患者では上行Aoや弓部は中膜の脆弱化により瘤化しやすい。
 ・合併奇形はVSDやAo縮窄症。IEの危険も高い。
 ・Ao弁口面積を評価するためのプラニメトリ法は信頼性に欠ける

・D型大血管転位
 ・房室接合は一致、心室大血管接合は不一致
・L型(修正)大血管転位
 ・房室接合、心室大血管接合ともに不一致

◎アーチファクト
・距離分解能は方位分解能の2倍
・サイドローブアーチファクトは探触子からの距離は正しいが、横方向には間違っている。
 メインビームの経路の外側。


今回の試験前はこれで終わりにします。
もうあとは野となれ山となれ

もういいかな…のポッターメモ11

心臓腫瘍と間違えやすい構造物

下以外にもいっぱいありますな

◎右房内の静脈洞弁遺残
1.Eustachian valve
・右静脈洞弁の遺残。
・IVC近傍に線状ないし棒状エコー
2.Chiari網
・左ないし右静脈洞弁遺残
・レース様の可動性に富むエコー
・大きいと右房内腫瘍や血栓と見誤られる

◎左室内の仮性腱索
・僧帽弁と付属装置に関係しない、心室中隔と左室自由壁を繋ぐ線状エコー。
・臨床的意義は殆どない。
・心筋梗塞時に心尖部の血栓と鑑別を要することがある。または仮性腱索に血栓つくこともあり。
  ⇒コントラストエコーによる左室腔造影が鑑別に有用である

◎ワーファリン隆起
・左房内の左上肺静脈開口部にある心房組織 (設問中では左肺静脈ってなってたなぁ)
・近位部が細く、遠位部が厚く球状を呈す。

◎右室内の肉柱(特に中隔帯 moderator band)
・右室を二分するような筋性組織により、厚みのあるエコーとして認識される。

◎心房中隔瘤
・卵円窩が振幅あるいは突出した距離が10mm以上の状態。
・主に右房側に突出。
・塞栓症、PFO(50%に合併)との関連あり。

◎心膜横洞
・前方は大動脈と肺動脈幹、後方が左心房で隔てられた心外膜の皺壁。
・ME AO LAX像で左心房と大動脈後壁の間に認める。
・心嚢液が貯留した際にフィブリン物質が沈着しやすく腫瘍と間違える。
・ドップラーでカラーフローを認めないことで確認。

◎乳頭筋の石灰化
◎三尖弁輪の脂肪腫様肥厚
◎僧帽弁の石灰化

ポッターメモ10

心臓腫瘍のまとめ

・続発性腫瘍(心筋・心外膜への遠隔転移または近接臓器からの直接浸潤)が原発性の6-40倍多い。
・原発性腫瘍の75%は良性。

◎良性腫瘍
1.粘液腫myxoma
・心臓腫瘍の約30%。成人の原発性良性腫瘍の50%。
・男女比は1:2で女性に多い。
・30-60歳に多く、平均50歳。
・発生部位は左房(75%)、右房(15%)、左室、右室。まれにAVやMVからも。
・平均5-6cm
・5%は多発性
・エコー輝度は一定しない。出血は低エコー、石灰化は高エコー。
・LA粘液腫は通常有茎性で心房中隔に付着しているが、左房後壁のことも。
・LA粘液腫の臨床上の特徴は
  ①全身症状(発熱筋肉痛関節痛)②心内腔閉塞(MS様)③全身塞栓症(30%)
・術後の再発率は1―3%
<<家族性粘液腫>>
・粘液腫の10%。平均20歳発症。多発性が多い。術後再発率10-20%と高い。
・皮膚色素沈着や内分泌異常があるとCarney complexと呼ばれる。

2.乳頭状線維弾性腫papillary fibroelastoma
・成人原発性良性腫瘍で2番目に多い。
・心臓腫瘍のうち10%。
・弁組織から発生する腫瘍では最も一般的。
・比較的高齢者に多い。
・男女差はない。
・AVが最多。次はMV。
・腫瘍の付着部位は弁および弁近傍の心内膜。 TVや乳頭筋、腱索、心房にも発生。 ・有茎性のことが多い。羊歯状またはsea anemone(イソギンチャク様)と言われる。
・通常1cm程度と小さい。
・可動性を有することが多い。血栓がついて塞栓症を起こすことも。
・可動性があれば手術が勧められる。 術後の予後は良好。
・ランブル疣贅やストランドと組織学的には同様の所見を示す。

3.脂肪腫lipoma
・心臓腫瘍の10%
・好発年齢や男女差はない。
・好発部位は左室、右房、心房中隔だがどこにでもできる。
・心内膜下(50%)、心外膜下(25%)、心筋内(25%)
・ほとんど無茎性でポリープ状。
・大きさは1-15cm、最大4.8kg
・エコー輝度は高く、均一。
・増大傾向があれば手術も。
 *lipomatous hypertrophy は脂肪浸潤により心房中隔が肥厚する過誤腫である。肥満高齢女性に比較的多い。

4.横紋筋腫rhabdomyoma
・小児原発性良性腫瘍で最多。
・1歳未満の診断が多く、成人発症は非常にまれ。
・80%の患者は結節性硬化症を合併。
・好発部位は左室、右室、心室中隔。
・ほとんど多発性。1/3の症例では心房にも腫瘍あり。
・エコー輝度は高く、比較的均一。
・大きさは0.2cm-2cm
・場所により症状異なる。
・半分以上では成長に伴い縮小していく。症状なければ手術適応なし。

5.線維腫fibroma
・小児原発性腫瘍で2番目に多い。
・男女差なし。1/3は1歳以下で発見される。
・典型的には左室壁や心室中隔にエコー輝度の均一な円形の塊として描出される。
・大きさは3cm-10cm
・25%で石灰化。
・14%で突然死 → 致死性不整脈の危険性があるので手術が勧められる。

6.血管腫hemangioma
・非常にまれ
・心筋内や中隔内または房室結節に発生し、房室ブロックや突然死の原因となる
・大きさは2cm-4cm

7.血液嚢腫
・きわめてまれ
・50%は新生児期、生後6カ月には消失することが多い
・好発部位はMV.TV。まれに右房壁
・予後良好

◎悪性心臓腫瘍
・原発性悪性心臓腫瘍は0.007%。そのうち95%は肉腫。5%はリンパ腫。

・横紋筋腫と線維肉腫はどこでもできる。血管肉腫は右房内が多い。

ポッターメモ9

成人におけるサイズ
 上行大動脈    2.1~3.1 cm
 弓部大動脈    2.0~3.6 cm
 下行大動脈    2.0~3.0 cm
 大動脈弁弁輪径 1.4~2.6 cm  弁口面積 3.0~4.0 cm2
 僧帽弁弁輪径  2.7~2.9 cm  弁口面積 4.0~6.0 cm2
 三尖弁弁輪径   ~3 cm 弁口面積 5.0~6.0 cm2
 肺動脈弁輪   1.0~2.2 cm   弁口面積 3.0 cm2 (参考)
 主肺動脈径 0.9~2.9 cm

 右心房:ME4Cにて 長径3.5~5.5 cm,短径2.5~4.9 cm
 左心房:ME4Cにて 長径3.4~6.1 cm,短径2.5~4.5 cm
 心室中隔 1.0cm以下
 右心室:ME 4Cにて 長径(拡張期)5.5~9.5 cm,短径(拡張期)2.2~4.4 cm  壁厚0.3~0.5cm
 左心室:ME4Cにて 長径(拡張期)6.3~10.3 cm,短径(拡張期)3.5~6.0 cm 壁厚0.6~1.1cm
 心膜 心嚢液貯留は<0.5>2.0 cm で重度

・心移植後は1年生存率85%
・class Ⅳ心不全者の1年死亡率は40-50%

◎PISAに関連して
・ナイキスト限界を40cm/sに設定してPISA半径が1cm以上なら重症MRである。
・ナイキスト限界の調節によってPISAの外形が平坦すぎると表面積は過大評価される。逆に辺縁が高すぎると面積は過小評価される。
・逆流僧帽弁はPISAが形成されるときには理論的には閉鎖しているから、PISAの底面は平坦。

◎ベルヌーイ式
・簡易ベルヌーイの式は
  ①正常な弁(抵抗がゼロ)や、
  ②長い管状の狭窄(LVOT狭窄)、
  ③際立ってピンポイント状の狭窄(粘性摩擦による損失が大きくなる)
   にあてはまらない。
 ・重症貧血、血液粘性の低下は圧較差を過大評価する
 ・心拍出量の変化は、狭窄弁の圧較差に大きく影響する(圧較差P1-P2 = 血液量Q × 抵抗R より)
・中枢の血流速度が1.5m/sを超えるときは ⊿P = 4(V2の2乗 - V1の2乗)
 を用いるべきである

◎圧減速に関連して
・MSでは疾患がより重症になるほど有効弁口面積が小さくなり、減速時間(DT)は延長する。
・ARではその逆に有効弁口面積は大きくなってゆき、DTは短縮する。
・圧較差の減速は、DTに比べて血流量への依存が少なく、疾患の重症度としてより好ましい。
  つまり <式 220 / PHT> の方が <式 759 / DT> より重症度評価には好ましい。 ・他には 

PHT延長する因子 : 拡張機能障害、severe AR(MV前葉の開放を妨げるから)
PHT短縮 :LV拡張末期圧上昇(MRなど)、
軽症~中等度のAR(LV圧がより短時間で上昇するため)、心拍出量上昇、頻脈、充満障害 
・MVP後数日はLAとLVのコンプライアンスが変化するためPHTを弁機能評価に使うべきでない。
・PHTは機械弁の評価に使うべきでない。
・房室ブロックはMV流入E波に影響するため、PHT法の信頼性をなくす。
・ARの指標としてPHT法を使うとき、僧帽弁疾患があると信頼性がなくなる

◎さまざまな計測に関連して
・理論上は前方縁から前方縁の距離で計測を行うのが最も正確である
・拡張末期のタイミングはECG上のR波ないし僧帽弁が接合する瞬間
・収縮末期は大動脈弁が最初に閉鎖する瞬間、あるいは心室のサイズが最も小さくなった時点
・SVを測定するには
  LVOTは収縮期早期に(ME AV LAX)   *VTI(LVOT)の正常値は15-25cm
  僧帽弁輪では拡張期中期に(サンプルボリュームは僧帽弁輪のレベルに)
 

2008年9月25日木曜日

ポッターメモ8 

ステントグラフト内挿術
・適応からはずれる症例 
 ・横隔膜から十分な距離をもってlandingできない場合
 ・landingしたい部位がびまん性に拡大(>36mm)している場合

・横隔膜はTh10くらい。1椎対2.5cm
・グラフとの末梢側がTh7より上になるように。なおかつlanding部分は5cm程度必要
・ステントグラフトがlandingするのは内膜ではなく支持力のしっかりした中膜なので、
 多少内膜が肥厚していても中膜の内径を測定する。
・計測したサイズに2,3mm加えたサイズのグラフトを使用
 

ポッターメモ7

◎問
以下のうち、…以外の指標は正常な右室収縮能について述べたものである。
1.拡張末期の壁厚が0.05cm
2.拡張末期径
3.三尖弁の心尖部と弁輪部の偏位(apical annular excursion)
4.収縮期肝流入波>拡張期肝流入波


 解答は3らしい。
 3は選択肢に正常値が示されていないからというのが解説の言い分のようですが…。
 
 だったら2もじゃないか。

 右室の壁厚は正常の状態で左室の半分。拡張末期に右室壁厚が5mmより厚いとき右室肥大を示唆する。
1の選択肢は右室拡張末期の壁厚が0.5mmってこと??
薄すぎじゃないか?

ちなみに3に関連して右室は収縮期に長軸方向に25mm以上短縮(ME 4Cにて)するのが正常らしいです。僧帽弁は0.8cm以上心尖方向に動きます。


ポッターメモ その7

◎他の三尖弁や右心系情報
・三尖弁は4弁の中で一番大きい。
・三尖弁は前尖が最大。後尖が最小。
・三尖弁は僧帽弁より尾側に位置する
・右室拡張期径:23-36mm 左室拡張期径の60%未満。
・右房横径:25-42mm(若い人の方が大きい傾向)、右房縦径:36-53mm
・右室面積 拡張期10-20c㎡ 収縮期5-12c㎡ 面積変化率31-57%
・後下行枝が後壁、下壁に血流供給

◎肝静脈血流
 ・通常収縮期と拡張期にRAに流入する2峰性の波形を示す。
 ・moderate以上のTRでは収縮期血流速度が減少。severe TRでは逆行性となる。
◎severe TRの指標
 ・カラーで逆流ジェットエリアがRA面積の30%以上
 ・CWDシグナルが濃い
 ・4cm以上の弁輪拡張ないし、弁尖の接合不良
 ・CWDシグナル波形が収縮末期に凹面になる(?)
 ・三尖弁流入速度が1.0m/s以上
 ・肝静脈の収縮期逆流
 ・ERO≧0.4cm2
 ・逆流量≧45ml
 ・vena contracta≧6.5mm

今さら覚えられません。
今日は僕の夏休み初日です。

2008年9月24日水曜日

ポッターメモ6

・音響インピーダンスZ=ρ・C

 空気   0.0004
 肺     0.26
 脂肪   1.36
 水(20℃)1.48
 腎臓   1.48
 脳     1.58
 血液   1.61
 軟部組織1.62 
 肝臓   1.63
 骨     7.8

・連続波ドップラー法
 ・探触子に送信受信別々の振動子が設けられており、連続的に送信、受信を行う。
 ・最高速度はいくつでも可能。エイリアシングを生じない。
 ・サンプル法(time gating)ではないため、計測部位の同定はできない。
・ティシュハーモニック法
 ・基本波に続く第2高調波を用いて画像描出を行う方法。
 ・最大の利点は、幅の狭いシャープなビームとサイドローブの少ないビームが得られること。
 ・ティシュハーモニック画像を用いれば、S/N比(信号雑音比)、方位分解能、
  コントラスト分解能に優れているから画像の向上が見られる。
 ・肥満やCOPD患者などの低画質症例に対し改善効果あり(TTE)。
 ・弁組織や心筋組織性状などの評価には限界がある。
 ・フォーカス点が最もビームが絞られ良好な画像が得られる領域である。
 ・本法を用いても両側画像のS/N比の低下は避けられない。


4年ぶりにデジカメを購入した(Panasonic LUMIX ,DMC-FX37)。

2008年9月21日日曜日

ポッターメモ5

・距離分解能(axial resolution)は高周波で短いパルス幅ほどよい
  6MHzのプローベを使用しているとき
   波長λ = c/ f = 1540(m/sec) / 6000000(Hz) = 0.257(mm) なので
  距離分解能は0.257mm≦  <0.514mm の範囲である
・方位分解能(lateral resolution)は大口径振動子、高周波(=波長が短い)、集束を行うことで高くなる。
  ビーム幅は狭いほどよい。多段フォーカスを利用するのもよい。
  遠距離音場では劣化してしまうので近距離音場を長くしてあげる。
・時間分解能(temporal resolution)を上昇させるためにはFRをあげればよい。
・BモードではFRは10-120Hz位であるのに対し、Mモードでは1000-1800Hzに及ぶ。
 カラーMモードでも400-1000Hz

こもりっきりでポッターメモ4

・1秒間に音が1cmを往復するのに必要な時間は約13μsである
   0.1(m) ×2 / 1500(m/sec) ≒ 13(μs)
・多重反射と周波数は直接関係ない
・音響インピーダンスは物質の密度と速度の積。吸収減衰とは直接の関係はない
・ドプラ偏移周波数(ドプラシフト周波数)
 fd = (2×v×cosθ /c) × f0
  v:反射体の移動速度  θ:反射体の移動方向と超音波ビームの角度
  c:媒質の音速       f0:送信超音波周波数
  変形すれば反射体の移動速度vも計算可能
・パルスドップラー法にて深さdで測れる最高速度
  v = (cの2乗)/8×f0×d
 単位を合わせることを忘れずに
HPRFドップラー法とは…
  ・目的深度の反射波が戻ってくる前に、強制的に次のパルス送信をする方法。
  ・PRFを高くできるため、高速血流に対応できる。
  ・ただ、多重サンプル点が同一ビーム上に2~数個出現し、信号が混同されてしまうため、目的位置の計測ができない場合もある。
・連続波ドップラーでは、原理的にはエイリアシングは発生しないが、周波数分析(FFTなど)のサンプリング周波数(データを採取する頻度)が低いと、パルスドップラーと同様に、折り返しが発生する。
ミラー現象とは…
  ・ドプラ基線(fd=0の線)に上下対称に波形が出てしまう現象。
  ・エコーが強い場合に装置内部で波形が歪むことが原因
  ・受信感度(gain)や発射超音波出力を下げることで解消できる
 *よく似た用語にミラーイメージというのがあるが、こちらは多重反射によってできるものである。
リングダウンアーチファクトとは…
  ・超音波の共鳴によって起こる
  ・心腔内空気に伴うアーチファクトはこれである
 *コメットテイルアーチファクト
   「強い反射体の前後の表面、あるいは近接した二つの反射体の間で超音波が繰り返し反射する」ことでできる多重反射のうち、その間隔が短いものをいう。
・ダイナミックレンジを広げると、反射信号の飽和は減り、対ノイズ特性も改善されるが、空間的な分解能は改善されない
・Bモード画像の輪郭部のみを強調する機能は「エコーエンハンス」「FTC」などと呼ばれる
・「ゲイン」「STC(=TGC)」は、受信されたエコー信号を電圧に変換し、
 その振幅を変化させてモニタに表示される画像の明るさを変化させている。
dB = 20×log10(出力電圧/入力電圧)
  20dB=10倍 6dB=2倍
  40dB=100倍 60dB=1000倍
  66dB=10×10×10×2=2000倍

◎カラードップラー法
・MTI(moving target indicator)フィルタで心筋のようなゆっくり動くものの
 信号を除去している
・リアルタイムで多くのデータを処理する必要があるため、パルスドップラー法などで用いられるFFT解析よりも一点の速度算出に用いるデータ数は少ない。
・ある方向の血流測定結果を得るには、超音波の走査線1方向あたり、複数回の超音波受信が必要である。
・カラーの表示幅を狭くすることでフレームレートは上昇するが、最大検出流速は変化しない

フレームレート(FR ; 1秒間に描出できるフレーム数)を高くするには…
  ・密度を低くする(セクタ幅を減らして走査線数を下げる)
  ・視野幅を狭くする
  ・視野深度を浅くする
  ・送信フォーカス段数を下げる
  ・繰り返し周波数(PRF ; 1秒間の送受信の繰り返し数)を上げる
       *繰返し周期 = 1 / PRF

   FR = 1 / T T: 一枚の画像を描出するにかかる時間
   T = N × 2D/c N:走査線の数  D:視野深度 c:媒質内での音速
    だから
   FR = c/(N×2D) でフレームレートが走査線数と視野深度に反比例するのがわかる。また、超音波の周波数を変えてもFRへの影響はない
 例:PRF=4KHzとすると
     ・その間隔は 1/4000 = 250μs (これは操作線1本に必要な時間) であり、
      その間に音は 250(μs) / 6.5(μs/cm) = 38(cm) 進める。
    なので往復で約19cmの深さの反射エコーを検出できる。
     ・この条件で走査線数が200本とすると、一枚の画像を作るのに
      250(μs)×200=50msの時間が必要である。
      1秒間には 1(sec)/50(msec) = 20枚 の画像を表示できる

◎グレーティングローブ
 グレーティングローブが発生しない素子間隔(D)の条件は
  D < λ / (1+sinθ)   λ:送信波の波長(= c/fo) θ:視野角


◎SPTA(SP:spatial peak・・・空間ピーク, TA:temporal average・・・時間平均)とは  ・「音場中で最大、或いは指定領域中で極大となる音の強さの時間平均値」  
・生体内で有意な作用がないとされる強度は100mW/cm2である  
・SA:spatial average・・・空間平均  TP:temporal peak・・・時間ピーク

2008年9月20日土曜日

ポッターメモ3

試験対策用メモ
・近距離音場(フレネルゾーン)限界 
  L = D2乗/4λ = D2乗*f/4c   
    ここで D=振動子の口径 λ=波長 f=周波数  c=音速
   
 ・近距離音場は D(振動子口径)>>λ(波長) の場合のみ形成される。
    D≦λ のときは球面波だけの遠距離音場(Fraunhofer zone)のみになる。
 ・近距離音場での超音波はビーム内では球面波でなく平面波とみなしてよい。  
 ・同一周波数で口径を変えた場合、口径が大きいほど…
  近距離音場は長くなり、深部の方位分解能を向上できる。
 だが、近傍の方位分解能は、ビーム幅が広くなるためかえって悪化する
 
 ・凸面レンズは生体より遅い材料、凹面レンズは音速の速い材料によって、収束させることができる。
 ・一般的な超音波診断装置では主に、セラミックス圧電材料の一種のPZT(PbZnTi:チタン酸ジルコン酸鉛)などが使われている。
 ・7.5MHz以上の周波数では、高分子圧電材料の一種のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などが使用される。この材料はQ factorが低くパルス幅が短いのでBモードでは高分解能を得られる
 ・振動子の口径が小さいと、ビームは広がりやすくなり、音の強度は距離の2乗に反比例して減衰する。

 ・Q=中心周波数/-3dB帯域幅 
  パルス幅が短くなると、含まれる周波数成分が多くなり、帯域幅が広くなる。

  距離分解能も良くなる。帯域幅が広いほどQは低くなりる。Bモードに適す。

 ・例えば軟骨の音速は1665m/sである。
  生体軟部組織の音速は1540m/sで基準化しているので、軟骨の音速はこれより速い。
  そのため基準時間より早く超音波が戻ってくるので、画像上は軟骨の厚みは薄く表示されてしまう。
 ・軟部組織の減衰率は周波数依存減衰とも呼ばれ、約0.4-1.0dB/cm・MHzである。

   減衰量は距離と周波数に比例して増える。
    例:減衰が0.8dB/cm・MHzの組織中での10MHz,5cmの深さの反射波は、往復で0.8*5*2*10= 80dBもの減衰を受け、全反射したとしても送信波が1/10000になってしまう。
 ・気体や液体中での縦波の音速は √K/ρ  K:体積弾性率 ρ:密度
   密度が小さく、体積弾性率が大きいほど音速は速くなる
 ・反射は音響インピーダンスZ(=ρ*c ρ:密度、c:音速)に差がある場合に生ずる
 ・スペックルパターンは多数の微小反射波の干渉によって発生する
 ・キャビテーション現象(空洞化現象)は非常に強力な超音波で発生し、超音波診断装置で発生しない。

 ・周波数 = 1/周期
 ・繰り返し周波数(PRF) = 1/繰り返し周期
 ・パルス幅 = 周期×波数
 ・PRF×2×L(診断距離) = c(音速)
   例:診断距離が25cmのとき、PRFは 
    PRF = 1540(m/s) / 0.25(m)×2 = 3000 = 3KHz
 ・電子スキャン装置で走査線本数が同じ時…
   PRFが2倍になると1本の走査線を作る時間が1/2になり、フレームレート(1秒間の画像の枚数)は2倍にできる
 ・フェーズドアレイセクタ:32-128の微小振動子を櫛の歯状に並べ、それらに位相差を与えてビームを振る方式
 ・サイドローブアーチファクト:表示される距離=探触子と反射体の距離
   リニア操作    →下向きの円弧状、
   セクタ操作    →上向きの円弧状
   コンベックス操作→ほぼ直線状
 ・グレーティングローブについて
   振動子ピッチd(振動子同士の間隔)が一定のとき、周波数が上がるほど出現しやすい
   発生させないためには振動子の間隔を小さくする必要がある
    d < λ / (1+sinθ)
    

ポッターメモ2

◎弁手術後の合併症
・LVOTO/LVOTS(stenosis)
  ・MV位の生体弁置換後
   ・生体弁のストラットが長すぎるか向きが悪い。患者の前尖が不適切に残された場合など。 
   ・エコーではAVが収縮時に震えるような動き。
  ・AV位
   ・多くは前負荷/後負荷不足、過度のカテコラミン、左室肥大 → HOCM時と同様の対応を。

・人工弁の急性閉塞…残された自己の組織によって障害されることがある

・冠動脈障害
 ・大動脈弁置換後はもちろんのこと、MVR後も左回旋枝の障害に注意

・左室破裂、右室穿破
 ・MVRでは弁輪部、特に後尖。
  AVRでは右冠尖(IVSとつながっているので右室穿破する)付近に注意

・血栓、疣贅
 ・血栓は狭窄病変に、疣贅は逆流病変に見られること多い。
 ・機械弁に糸のような構造物(strand)がつくことも。

PPM(patient-prosthesis mismatch) 患者の体格に対して人工弁のサイズが小さすぎること
・AV位人工弁のEOAI(effective orifice index:EOAを患者のBSAで割ったもの)が
  0.85cm2/m2 以下なら 中等度、
  0.65cm2/m2 以下なら 重度    のPPMと定義。
  *自己弁のEOAIが0.90以下ならmoderate ASであることに由来
 ・EOAIは圧較差と指数関数的に相関。0.85以下だと急激に圧較差が大きくなる
 ・ステント付き生体弁では50%以上にPPMがおこるとする報告も。
・対策としてはAVの外科的弁輪径が19mm以下なら弁上部型人工弁(機械弁やステント付き生体弁)の選択ないし弁輪拡張術(こちらは極めて稀)。
 ・大動脈弁輪は弁尖付着部は中央部が最も低い(左室側)、交連部が最も高い(大動脈側)

・ちなみにMV位では中等度1.1-1.5、重度は1.0以下とする分類がある

◎pressure recovery
・血流が狭いところを通過するとき速くて圧は小さいが、通り抜けると血流が遅くなり圧が大きくなる。
・(狭窄部弁口面積)/(上行大動脈断面積) が大きい方が強い。

2008年9月19日金曜日

ポッターメモ1

◎人工弁の種類
 ○機械弁 
  AV位は19-23mm、MV位は27-31mmが多い。
  ・機械弁は二葉弁(SJM弁など)が主流。tilting valveやball cage valveは少ない
  ・耐久20年
  ・フローのうちの10%が生理的逆流。(逆流量Carbomedics弁 > SJM弁 )
   ①弁葉閉鎖のためのバックフローと、②閉鎖後のリーク
   ②は弁上流の血流鬱滞と血栓形成を防止する役割。
  ・二葉弁の装着方向
  MV位…ディスクがnarativeの弁尖と
   ①直行するantianatomical configuration と
   ②平行なanatomical~ がある。
    よくおこなわれるのは①。ディスクによるLVOTOが起きにくい。 
  AV位…2枚のディスクがMV前尖と
   ①平行するparallel configuration と
   ②直行するperpendicular configuration がある。
    ②がよく用いられる。なぜ??

 ○ステント付き生体弁
  ・SVD(structural valvular deterioration)による耐久性(12-15年)の問題あり。
  ・MV位では5年後から、AV位では8年後から。弁閉鎖時にMV位の方が高圧がかかるので早い。
  ・置換時の年齢が低いほどSVDのリスク高い。
  ・三尖弁は低圧のためSVDは問題にならない。むしろ血流遅く機械弁だと血栓できる。

 ○ステントレス生体弁
  ・大きな有効弁口面積が得られる。
  ・SVDの発生はステント付き生体弁とほぼ同様。
  ・ステント付き生体弁より縫着が難しい。
  ・nativeの冠動脈を残して大動脈基部内に挿入するsubcoronary法による
  大動脈弁置換術が多くおこなわれている。

 ○ホモグラフト
  ・心臓死ドナーから。
  ・抗感染性と抗血栓性に優れる。

 ○その他
  ・透析患者ではカルシウム代謝異常のため生体弁は原則禁忌。

◎TEEによる人工弁評価
 1.弁輪内逆流transvalvular leakage
  ・生理的逆流ジェットは①短く細く②持続時間が短く③対称(二葉機械弁)④層流で速度遅い
  ・機械弁で弁輪内逆流が見られる時は二葉弁の一方のスタックが原因であることが多い。
  ・ステント付き生体弁では通常は人工弁内の逆流は認められない。
    25mm<の弁ではちょっとあるかも
  ・ステント付き生体弁の弁輪内逆流は基本的に再ポンプでの修復が必要

 2.弁周囲逆流perivalvular leakage
  ・弁置換後の術中発見20%程度との報告あり
  ・リスクは①高齢 ②BSAが小さいこと ③弁変性疾患 ④生体弁による置換
  ・特に冠動脈開口部やRCCとNCCの間のHis束が走行する部位では、
   石灰化病変の取り残しが起きやすく、縫合時に組織に深く糸をかけられないためリークの原因となることがある。
  ・CPB離脱時の小さな弁周囲逆流の多くはプロタミン投与後に消失する。
  ・ジェット幅が4mm以上の中等度以上の逆流や溶血の危険性が高い逆流の場合は、リスクを考慮してやり直す場合も。

◎血流速度、圧較差
 ・MV位では最大圧較差は10mmHg、AV位では20-30mmHg程度存在。
 ・最大血流速度はMV位で2m/sec以下、AV位で3.5m/sec以下であることを確認する。
 ・二葉機械弁では、中心血流は周辺より速いので注意。
特にAV位の二葉弁ではpressure recoveryが起こり、過大評価してしまう。
 ・連続の式を用いたEOAの計算はCOに依存しない。
 ・AV位ではLVOT血流と経人工弁血流の速度比(DVI;Doppler velocity index。正常値は0.35-0.5)を計算することも。

注:configuration;配置、形状、構造

こんなに真剣に勉強するのは大学受験以来かもしれないと今日この頃。

かろうぎみ

今週は月曜が祝日だったにも関わらず疲弊する1週間であった。

火曜
PDを研修医と一緒に導入(全麻+硬膜外、A-line、CVC)。

そうこうしているうちにSAHの患者さんが来て動脈瘤クリッピング術の麻酔を担当することになり、その導入維持退室。

SAHが終わったころ、こちらも終わったPDの患者さんの抜管退室。

水曜
月曜祝日だったせいかペイン外来患者さんが多い。
外来では大腿神経ブロックをした。
僕が初診から見ていた両足底痺れで来ていたドクターショッピングらしき中年女性は今日は来なかった。
午後は研究手伝いとオペ室。
オペがすいてたから夕方帰ろうとしたら飛び降りによる骨盤骨折の患者さんがERから超緊急で入室。
ボスミンやバゾプレッシンを多量に使ったが、血中カリウム値が途中から2桁になり、非常に厳しい状態だった。

木曜
胃全摘+肝切+胆摘+鼡径ヘルニア根治術という本当に一人の患者さんに対して行うんですよね?という術式で5時間。非常に順調に手術が進行した。
40kg程度の小柄な高齢の患者さんだったが低体温にもならずに合併症なく無事に抜管してICUへ。


金曜
デュプイトラン拘縮の手術の麻酔をAOS+remifentanilで、気道確保をLMA prosealでやっていたら途中で換気できなくなり、ひやひや。remifentanilのせいか?手術終わって持続投与を中止したら気道内圧も戻っていた。

こういったことはままあることで、そういう時はエスラックスを少量投与したりプロポフォールを投与すると解除されるようである。

あとJB-POTまで1週間!

2008年9月15日月曜日

中森明菜と八神純子

今日は繁華街に出た。
スクランブルで信号待ちしていると周りにひと、ひと、ひと。
ひとに酔った。動悸がした。
広場恐怖症ではないけれど、やっぱり人混みは得意でない。
特に一人だとダメなのかも知れない。

今日は妻が4日ぶりに実家から帰ってきた。
私はというと三浦綾子の著作を5冊購入し読みふけっていた。
BGMに中森明菜のアルバムを聴いていたのだが、中でも「禁区」は素晴らしい曲だった。子供の頃父親の車でかかっていたような気がする。
そういう意味では八神純子の「みずいろの雨」も私にとっては非常に懐かしい曲である。リアルタイムで体験していなくても、親世代が好きな曲を子供のころに聞いて(聞かされて?)、成長してから聞き直してみて愛着を感じる…ということは結構多い。

ダニエル・デイ=ルイスのThere wii be blood(評価不能)

主演がダニエル・デイ=ルイスってだけでみた映画がある。
その映画の名は「There will be blood」

2007年作品。


高校生の頃に見た「父の祈りを」が感動した映画として未だに記憶に残っていて、その主演がダニエルだったからである。
で、この映画の感想はというと…1時間半まで”頑張って”みたが、後は退屈で退屈でもう…。石油掘りという話の内容にも全く興味が持てず、登場人物にも全然感情移入もできず。物語で描かれるただの自分勝手男の人生など全くそそられませんでした。
うーん、私には高尚すぎる内容だったのか…。
ダニエル・デイ=ルイスがアカデミー主演男優賞を取ったとのことだが、彼の演技云々の前に話が全く面白く思えなく残念だった

もっと違った時期に見ていれば考えることの一つや二つもあったのかも…。

ちなみにこの映画の邦題は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」だ。
そのまんま過ぎて、映画のプロモーターもあまり宣伝する気がなかったのだろうか?それとも色々に熟慮に熟慮を重ねた結果がこれだったのだろうか?私には知る由もない。

2008年9月14日日曜日

Wethering HeightsとJB-POT

3連休の2日目が終わろうとしている。

バッテラ寿司を食べながら記す。
しめ鯖の押し寿司のことをバッテラと呼ぶらしい。
ポルトガル語で「小舟」を示す「bateira」から来ているとな。

昨日のNocturnal Ritesに続いて今日も久しぶりに聞いてみた。
Wuthering Heightsの3rdアルバム"Far From the Madding Crowd"(2003年発表)
邦題は"狂乱からの旅路"。
おっかない邦題だが、聴かれる音楽は至極まともなメロディックパワーメタルである。
普段はipod shuffleに入れてる#10"Land of Olden Glory"しか聴かないのだが、
#4や#6や#9などの名曲が聴きたくて引っ張り出してきた。
そしたらすでにCD3周目。
このアルバムはやっぱり名盤である

北欧民謡調?カントリー調なフレーズがそこかしこに出てきて(例えば洋画でいうと"ブレイブハート"や"ラスト・オブ・モヒカン"を思い出す)憎い展開なのである。
プログレといえプログレッシブなのだろうけど、とっても聴きやすいプログレ。
何より歌メロがいい。
ニルス・パトリック・ヨハンソンの暑苦しく情熱的な極上のヴォーカルが堪能できる。
このアルバムを初めて聴いた時はヴォーカルが二人いるのかと思ってしまったほど歌声が様々に変わるのである。
本作の中でも真骨頂はやはり10曲目の「
Land of Olden Glory」である。もう何百回聴いたかわかんないが、何回聴いても胸が熱くなる。これは最高に熱いスピードメタル。
何もかもが最高。

デンマークにはこんなアルバムのインスピレーションが湧いてしまうような雄大な自然がいっぱいあるんだろうか。

それはそうと、JB-POTが2週間後に迫ってきた。
今日はひたすらDVDの"interactive TEE review"の問題を解きまくる。
…と言っても23章の"TEE in Mitral Valve Surgery"の怒涛の46問に殆どの時間を割かれる始末。何回かやった筈なのに、未だに間違える問題があるのはやっぱり分かってない証拠なんだろう。myxomatous degenerationってのがやっぱり良くわからんのですよ。
「経食道心エコー講習会テキスト」にはMRの原因として加齢や変性による粘液水腫性変性が最多と書いてあるのだけど、「臨床心エコ-図学」には粘液水腫性変性の言葉が見られないし解説もされてないので、トホホな状態なまま。
 まぁ明日も気を取り直して頑張ろう

2008年9月13日土曜日

Nocturnal RitesのThe Sacred Talisman

とってもポップな3枚目のアルバムである。
1曲目の"Destiny Calls"のイントロからして最高にメロディアス。
ヘヴィメタルってジャンル分けされてるだけで、敬遠している諸兄(誰だろう?)に聞いていただきたい。
本作にはメロディが溢れている。

アニメやRPGに挿入されても違和感無いだろう。
多少ギターリフばりばり、でヴォーカルが熱い(といってもアンダース・ザックリソンのヴォーカルはウェットな方だろう)歌謡曲といわれてもおかしくない。

このアルバムをNocturnal Ritesの初期の傑作とする人も多いようだけど、
2ndアルバムの"Tales of Mystery and Imagination "もメロディアスだし、垢ぬけていないところがより私好みである。

あっぺ

「アッペなんですけど全身麻酔でお願いしたいのですが、16時に入室したいということで…」

と昼の12時16分に勤務病院の日直看護師さんから電話連絡があった。
アッペとはappendicitisの略で虫垂炎のことである。


「わかりましたー。子供ですか」
「いや38歳です」

なるほど炎症が強くて時間がかかるパターンか。
sepsisのような状態でなければ、硬膜外麻酔併用の全身麻酔だなと考えながらいそいそと出発。
何せ病院まで1時間半はかかる。
緊急の子宮外妊娠や、硬膜下血腫やイレウス(腸閉塞)だったら迷わずタクシーだが、向こうからわざわざ「16時」と言ってきているのだから、タクシーに乗って大気汚染を増長することもあるまい。

緊急手術だが、入室までに時間があったので、患者さんの状態を見に行った。当たり前だがお腹を痛がっている。奥様らしき人も横で心配そうに付き添っている。
一通りの麻酔方法等を説明。具合の悪い人にくどくどと合併症などについても説明するのはいつでも気が滅入るが、必要なことなので省略せずに行う。

んで手術終。退室は18時40分。発症3日目のアッペは炎症がひどくて確かに怖い。
もう少しで穿孔だ。
176cm80kgでロクロニウム75mg入れてRSIしたがTOFが0になるまで90秒くらいかかったと思う。
若いせいだったのか? TOFつけといてよかった。
39度の発熱で麻酔から覚めた時38.7度。末梢には確かに冷感がきているので、
もっと積極的にあっためた方がよかったか。
こういうSIRSの患者さんのシバリングは予防できないものか。
それが今日の麻酔の反省点。

あとはTh10/11から硬膜外入れたがmedianで手間取り結局paramedianに。
10分くらいかかってしまった。これもまた反省点。

Vantage Pointは☆☆☆☆

スペインでの国際会議で起こった米大統領狙撃事件を、同時刻8人の視点で明かしていくサスペンスアクション映画だが、シークレットサービス役の主演Dennis Quaidが最高にかっこいい。
今まで見た中でも最高クラスのエンターテイメントである。
展開、脚本、演技、テンションどれも非常にレベルが高く90分あっという間。
やっぱりForest Whitakerの演技も私は大好きである。彼の人間味あふれる情感たっぷりの演技がよい。