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2011年12月31日土曜日

(映) 最近みた7本分

暇を見計らって、気になっていた映画を色々見てみた。

***
「バーレスク」(Burlesque, 2010年)
クリスティーナ・アギレラが歌って踊る映画。ストーリーはこじんまりとしているが、私的には歌って踊っていればそれで結構楽しめた。もう1回見るか、って言われると…大スクリーンでならもう一度見てみたい。

「ブレードランナー」(Blade ruuner, 1982年)
むかしむかし見た映画。確か16歳頃。SF映画の金字塔と言われていたこと、ハリソン・フォードが好きだったこと。そんな理由でみた気がする。途中で寝た。寝ては起き寝ては起き、最後まで何とかみた。覚えていたシーンは雨がよく降る2019年のロサンゼルス、太陽が見えず暗い、ハリソン・フォードが何かの食べ物を4つ頼むシーン。そんな記憶しかない。

だから、レプリカントのロイ(ルトガー・ハウアー)による名台詞なんて全く忘れていた。
I've seen things you people wouldn't believe.
Attack ships on fire off the shoulder of Orion.
I've watched c-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate.
All those ... moments will be lost in time, like tears...in rain.
Time to die… 
(こんなことしてません? から引用させていただきました)
この映画は多分、このシーンを見るためにあるんだろう。
今回は、昔ほどはつまらなく感じなかったけど、やはりそれ程は楽しめなかった。もう20年後くらいに見れば、また違った感想をえるのだろうけど。

「アンチクライスト」(Antichrist, 2009年)
内容がよくわからないのは、私がキリスト教にコミットしていないためだろうか…と思ったのだが、Lars von Trier監督のインタヴュー記事(Rotten Tomatoes掲載)によれば
It's not really a horror film and it's not really religious.
とある。いずれにせよ、劇中に使われる曲「私を泣かせてください(Lascia Ch'io Pianga) - オペラ『リナルド』(ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲)」の曲名とメロディが自分の中で一致した。映画の内容は賛否両論のようだけど、痛いの(足に手動ドリルで穴開けたり)嫌いな人は見ないほうがいいと思う。娯楽目的の映画ではないですな。

「第9地区」(District 9, 2009年)
ずっと気になっていたけど、漸くみた。こんな内容だったのか。本当に凄い。凄い映画。自由な想像力で、怖くてふざけていて悲しくて残酷で楽しくてワクワクしてあったまる。そんな映画。この映画も大スクリーンで見たい。

「ノルウェイの森」(2010年)
村上春樹の小説に出てくる曲は、いつも殆ど知らない曲であり、これまで聴いてもあまりピンと来ない曲ばかりであった。
エンディングクレジットには
・The Doors - Indian Summer
・Can - Don't Turn the Light on, Leave Me Alone、Mary, Mary So Contrary
・Can - Bring Me Coffee or Tea、She brings the rain、Deadlock
・Reynaldo Hahn, Paul Verlaine - L'Heure exquise
なんかが挙げられていたけど、1時間10分頃流れるVan Morrison(?)の曲が1番よかった。内容は結構好き。原作を読んだ人、読んでない人いるでしょうが、私は途中まで読んで放り出していた人間。

「神々と男たち」(Des hommes et des dieux, 仏, 2010年)
アルジェリアのカトリック修道士たちの1996年を舞台にした話。過激派の武装集団たちの襲撃が身近に迫ってきたところで、村を捨ててフランスに帰るか、とどまるか、修道士たちが苦悩する。娯楽性は希薄。劇後半のチャイコフスキー「白鳥の湖」の物語と修道士たちの運命を重ね合わせる演出がよい。

「シャッターアイランド」(Shutter Island, 2010年)
マーラーにピアノ四重奏曲イ短調があったのか。後でチェックしよう。肝心の映画の方は…結構序盤でエンディングが予想できてしまった。私で予想がつくのだから、恐らく皆さん予想できちゃったんじゃなかろうか。それでもエンディングを見ると…まぁちょっと複雑な気分ではある。それなりに楽しめた。

***
ということで「第9地区」と「神々と男たち」が面白かったな。

2011年12月30日金曜日

(音) 2011年に聴いた音楽のまとめというか羅列というか

以下の曲を作ってくださった方々、またそれを広めてくださった方々、または下のバンドのファンの方々、それらの方々全てに感謝したいと思います。
@2011年に聴いてよかった曲.ベストアルバムスに入ってる曲もありますが。
曲名/バンド名 (収録されてるアルバム名、発表年、国)の順。記載ミスがあってもご容赦下さい
1. Pramen, co vi / Silent Stream of Godless Elegy (Navaz, 2011, Czech): 世界遺産級バラード
2. DIABOLOS / DIR EN GREY (DUM SPIRO SPERO, 2011, Japan):全く飽きない9分52秒
3. Different Sense / DIR EN GREY ((DUM SPIRO SPERO, 2011, Japan):ギターソロが好き
4. The Violation / Fleshgod Apocalypse (Agony, 2011, Italy): 衝撃度ナンバーワンの黒塗りシンフォデス
5. Half Past Loneliness / Royal Hunt (Show Me How to Live, 2011, Denmark): 歌謡メタル
6. A New Dawn / IN FLAMES (Sounds of A Playground Fading, 2011, Sweden):解放感
7. Heretic / Symphony X (Iconoclast, 2011, US): メロディアス過ぎないネオクラシカルパワーメタル
8. Judicial Noir / Versailles (Holy Grail, 2011, Japan):メロディアス過ぎるネオクラシカルパワーメタル
9. Sangreal / Septic Flesh (Communion, 2008, Greece):ハミングブラックメタル 
10. Open Face Surgery / Cryptopsy (Blasphemy Made Flesh, 1994, Canada):息継ぎなしの28秒咆哮
11. 私は風 / カルメン・マキ&OZ (カルメン・マキ&OZ, 1975, Japan):ハードロックいいとこ取り
12. 崖の上のポニョ / Imaginary Flying Machines (Princess Ghibli, 2011, Japan et al.):国宝級カヴァー
13. El Enigma de la Vida [Acoustic Version] / Sirenia (The Enigma of Life, 2011, Norway): ゴシックメタルバラードの名曲
14. 夜な夜な夜な / 倉橋ヨエコ (婦人用, 2002, Japan)
15. 希望山脈 / 渡り廊下走り隊7 (2011, Japan):
16. 薔薇獄乙女 / ALI PROJECT (薔薇架刑, 2006, Japan)

@2011年に聴いた中でのベスト・アルバムス。聴いた回数の多い順ということにしてみました
1. The Great Mass / Septicflesh (2011年, Greece, 8th):断トツ。聴きやすいホラー映画サントラみたいな
2. DUM SPIRO SPERO / DIR EN GREY (2011年, 日本, 8th)
3. The Apostasy / Behemoth (2007年, Poland, 8th): 聴きやすい荘厳デスメタル
4. Agony / Fleshgod Apocalypse (2011年, Italy, 2nd): 聴きやすいシンフォニックデスメタル
5. Holy Grail / Versailles (2011年, 日本, 3rd(majorでは2nd)): 聴きやすいシンフォニックスピードメタル
6. Imaginaerum / Nightwish (2011年, Finland, 7th): 聴きやすいSFファンタジー映画サントラみたいな
7. The Powerless Rise / AS I LAY DYING (2010年, US, 5th): 聴きやすいメロディックデスメタル
8. Silencer / Death - Pierce Me (2001年, Sweden, 1st): 聴きやすい…?自殺系ブラックメタル
9. Wound wide Open / TO/DIE/FOR (2006年, Finland, 5th ): 聴きやすいゴシックメタル
10. 廊下は走るな! / 渡り廊下走り隊 (2010年, 1st): 聴きやすいJ-POP。「完璧ぐ~のね」とか凄い
11. Jaguar Hard Pain / The Yellow Monkey (1994年, 3rd): 聴きやすいロック。「薔薇娼婦麗奈」とか「Red Light」とか
12. Southern Storm / Krisiun (2008年, Brazil, 7th): 聴きやすいデスメタル
13. Christ 0 / Vanden Plas (2006年, German, 5th):聴きやすいプログレッシブメタル

2011年作品といえばDream TheaterもOpethもMegadethもInsomniumもOmnium gatherumもTo/Die/Forも陰陽座も、その他諸々色々ありましたが、全部来年以降に回します。キリがないのでこの辺で。

2011年12月29日木曜日

(本) 死なないでいる理由 - 鷲田清一 (角川文庫, 2008年)

・家庭であれ地域社会であれ、じぶんが果たしうる小さな「役割」を考えること、どうしたらたしかな父に、母に、隣人に、そして市民になりうるかを考えなおすことからはじめることが重要かとおもう。p32
・嫌いでもつきあう、もめても話しあって解決する、そんな、なじみのないひとともうまくやってゆけるよう、じぶんを鍛えておかなければならない。歳をとっても、なにも不自由なからだをふりしぼってやることはない。中略。「人間の弱さは、それを知っている人たちよりは、それを知らない人たちにおいて、ずっとよく現れている」p39
・「成熟とは、『自分がおおぜいのなかの一人(ワン・オブ・ゼム)であり、同時にかけがえのない唯一の自己(ユニーク・アイ)である』という矛盾の上に安心して乗っかっておれることである」p41
・これ以上向こうに行くと危ないという感覚、あるいはものごとの軽重の判別、これらをわきまえてはじめて「一人前」である。ひとはもっと「おとな」に憧れるべきである。そのなかでしか、もう一つの大事なもの、「未熟」は、護れない。p72
・人生を「できる」ということからでなく「できなくなる」というほうから見つめてみると、もっと違う<いのち>の光景が眼に入ってくる。p123

今、この本から得られることは、これが精一杯。また何年か、何十年かしたら読み返してみたいと思う。この本で語られていることは、時代の潮流を意識しつつも、時代に関係なく当てはめられることだろうから。

2011年12月28日水曜日

(音) Silencer の Death, Pierce Me (Sweden, 2001年)

ブラックメタルの中にdepressive suicidal black metal (鬱系自殺系)というジャンルがあるらしいのですが、その中でも最高峰(初心者向け?)に属すると言われているバンドが、ただ1枚残したアルバムです。YouTubeでも全曲アップされていますし、なんとiTunes storeでアルバムを購入することもできます。いったい誰が買うんだろう・・・。
楽器隊は至極まともで、良質なブラックメタル的音楽を奏でています。このアルバムが全曲instrumentalだったら神盤とは言われていなかったでしょう。兎に角、ヴォーカルの存在感が凄い。
嘔吐・咳嗽・絶叫・憤怒等あらゆるネガティブなものを表出したヴォーカルのインパクトが凄すぎて、それを好きになれるか否かで本作の評価は真っ二つに分かれるでしょう。冷静に考えて95%以上の人は否、でしょう。「音楽は楽しく聞くものだ」と恐らく多くの人が思っている筈ですから。そして楽しく聴ける類の音(ヴォーカル)ではないと思います。#5では、ヴォーカルさんがちょっと笑ってますが。

試しに#1の1:46の絶叫を聴いてみていただければ分かりますが、テレビやラジオで流れていたら苦情が殺到すること間違いないし(視聴者以前にスポンサー様方から)、車でのデートのBGMには99.9%以上の確率で使えないでしょうし、胎教にも良くなさそうですし、全身麻酔中でも残ると言われている聴覚によい影響を与えるとは到底思えません。見たことないような怪鳥の鳴き声か悪魔の動物園に迷い込んだような錯覚を覚えます。「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくるゴラムのような生物が終始拷問を受けて絶叫しているようなヴォーカルです。
ヴォーカルのNattramn氏は統合失調症でこのアルバム作成後に精神病院に入院加療。だからSilencerのアルバムは一枚しかありません。本作のヴォーカルパフォーマンスに触れたときに、精神科医の皆様がどのような反応をするかというところに、私は非常に興味がありますが、本作のスタイルからは、何か見えてしまってはいけないもの、幻覚に抗っているかのような印象を受けます。
鬱系自殺系、という言葉に反応して「あぁ、ちょっと今気分落ち込んでいるから暗い曲でも聴いてみよう」というノリで聴く類のアルバムではないです。「あぁ、自分では気分が落ち込んでるって思ってたけど、そういう次元で語れない精神状態の人がいるんだ(いたんだ)」って、少しは生々しく感じられるかもしれません。鬱に対するヒーリング効果という観点では、恐らく本作の効用は相当小さいでしょう。

いずれにせよ、Cradle of FilthとかDimmu Borgirとかの売れてる系ブラックメタルが好きってくらい(私)では、ちょっと立ち退きを迫られる程の敷居の高さを感じますが、慣れてくると凄くハマります。慣れるのもどうかと思いますし、何のために慣れるのかよくわかりませんが。昨年末、これを聴いていた私はもうハマってしまった側の人間でしょうか。

1. Death, Pierce Me 10:30
2. Sterile Nails and Thunderbowels 6:16
3. Taklamakan 8:32
4. The Slow Kill In the Cold 11:34
5. I Shall Lead, You Shall Follow 8:47
6. Feeble Are You, Sons of Sion 3:02

6はインストです。
メタルという音楽ジャンルの懐の深さを感じる作品でした。

ヴォーカルのNattramn氏。退院した後には「Diagnose: lebensgefahr」という名義で「Transformalin」というアルバムを発表してますが、こちらは手に入らないのかな。

2011年12月26日月曜日

2011年12月25日日曜日

(旅) Seto Inland Sea from Naoshima



詩を見つけました。

ゆかむがためにゆくものこそ まことの旅人なれ
心は気球の如くにかろく 身は悪運の手より逃れえず
なんの故とも知らずして たヾゆかむかなゆかむかなと叫ぶ

佛國 ポードレール作
永井荷風訳

2011年12月21日水曜日

(本) 2011年下半期の本と今年1年の読書雑感

今年はまだ10日程ありますが、一応今までのまとめ。特に順番に意味はありません。しっかし、「罪と罰」っていう本は、本当に損していると思う。こんなに面白いのに(という私もやっと読了したばかりですが)その厚さと、その著者名と、その題名で狭き門だと多くの人に思わせていると思います。

・罪と罰(1-3巻)、ドストエフスキー、光文社古典新訳文庫、2008-2009年(原著:1866年)
・「ぐずぐず」の理由、鷲田清一、角川選書、2011年
・人間の往生、大井玄、新潮新書、2011年
・夜間飛行、サン・テグジュペリ、光文社古典新訳文庫、2010年(原著:1931年)
・暴力に逆らって書く 大江健三郎往復書簡、大江健三郎、朝日文庫、2006年
・気になる部分、岸本佐知子、白水社uブックス、2006年
・ねにもつタイプ、岸本佐知子、ちくま文庫、2010年
・空海の思想について、梅原猛、講談社学術文庫、1980年
・暇と退屈の倫理学、國分功一郎、朝日出版社、2011年
・一般意志2.0、東浩紀、講談社、2011年
・オイディプス王・アンティゴネ、ソポクレス、新潮文庫、1984年(原著:紀元前427年頃)
・ナラティブ・メディスン 物語能力が医療を変える、リタ・シャロン、医学書院、2011年(原著:2006年)

本当の本は私たちを読む。私はエリオットの詩に読まれ、『ユリシーズ』に、『失われた時を求めて』に、『城』に、若い時から長年にわたって読まれてきた。これらの本の中には最初、私を拒否したものもあった。私はそれらをうんざりさせた。しかし私が年をとるにつれ、そしてそれらが私のことをよく知るようになるにつれ、それらは私に共感をよせるようになり、私の隠された意味を理解するようになった。(ナラティブ・メディスン p160にて引用されたライオネル・トリリングの言葉)

***
「オイディプス王」を読むと、少なくともこの2500年間、人類が全く進歩していないように感じます。そしてこの自分の、人生において初めて内から沸き起こる感情、その全てが、これまでこの世に生を受けた人、どなたかが必ず通過したであろう感情なのだろう、と曲がりなりにもいろいろな人の書いた、いろいろな人の本に触れることで気づきました。だから、その意味では、どんな感情が生じても、自分一人で抱え込むものでもなく、自己憐憫に浸るものでもなく、まして誰も分かってくれない、なんて思う必要もないのです。私と、あなたと、彼と、誰かと共有しているであろう感情というのは、たとえ自分の身の回りにはなくても、必ずあります。
と書いている自分が、別に非常な苦境に立たされているわけでは全くなく、もしかしたら、そのような感情に苦しめられている人が、どこかにかいたら、私はそのそばでそっと立ち尽くしていたいと思うのです。たとえ共感することも理解することもできなくても空気を共有することができる。そういうことをきちんとしてしまう優しい(?)人はきっといるでしょう。私は妄言するだけかもしれませんが、自分の想像力が、自分がいくつ歳を経ても、1年前の自分よりも広がっていたい。そう思う今年1年の読書生活でした。何を言っているかよくわかりませんが、まぁ、よく分からない1年だった…そういうことです。

2011年12月15日木曜日

(麻) BJAのeducational review

そういえば、以下の9項目についてのレヴューがここから読めます。無料。英語の勉強用に。
・β-Blockade in the perioperative management of the patient with cardiac disease undergoing non-cardiac surgery
・Perioperative management of patients with cardiac implantable electronic devices
・Multimodal therapies for postoperative nausea and vomiting, and pain
・What is really dangerous: anaemia or transfusion?
・Development and potential clinical impairment of ultra-short-acting neuromuscular blocking agents
・Anaesthetic considerations for non-obstetric surgery during pregnancy
・Perioperative management of the paediatric patient with coexisting  neuromuscular disease
・Does regional anaesthesia really improve outcome?
・Regional anaesthesia in the patient receiving antithrombotic and antiplatelet therapy

(研) 9箇月間のまとめ

今年はまだ2週間ちょっと残っていますが、大学院生活で「身に沁みて」学んだことを、自分なりに総括したいと思います。
以下、箇条書きで。

・社会的な成功と、その(俗世間的な意味での)成功者の想像力は、全くもって相関しない
・「努力すれば何でも叶う」「やめなければ何でも叶う」、は幻想である。これはネガティブな意味ではなく、本当に個々の人間の体が許す範囲でしか活動できないのです。その意味では多くの自己啓発書は嘘つきです。もしくはそのような主張を臆面もなく言える人は身体環境時代共に恵まれたエリートさんです。もしくは、「やめなければ何でも叶う」という想像力しかもたない、想像力の欠けた方です。
・体が発するメッセージに気付くべきである。そして体が発するメッセージを無視している、もしくは知ってても気づかない振りをして余計な苦しみを味わっている人が、世の中には本当にたくさんいる
・ショウペンハウエルは著書「読書について」で、

読書にいそしむかぎり、実は我々の頭は他人の思想の運動場に過ぎない。(中略)ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく。(中略)多読すればするほど、読まれたものは精神の中に、真の跡をとどめないのである。

と書いていますが、私のような凡人には、少なくとも「想像力や共感能力、理解力」を鍛えるという意味においては読書は有用である。というか必要不可欠である。

まぁこんなところでしょうか。大学院の高い授業料を払って学んだことにしては「え、それだけ?」と思う方もあるでしょうが、理解するのと「身に沁みて」わかることの間には三途の川よりも深い隔たりがあるのではなかろうか…よく分かりませんが、今の自分にはそう思えます。

あぁせいせいしたなぁ…の258日間。

参考
・内田樹氏:著書たくさん
・齋藤孝氏:「身体感覚を取り戻す」
・その他今年読んだ約400冊の本と、聴いた約300作品の音楽アルバム
・周りにいる素晴らしい方々
・家族

(音) 凄いぜNightwishのImaginaerum (Finland, 2011年)

7作目のスタジオアルバムです。きっといっぱい売れて、すぐ値が下がって中古市場に出回るだろう、もしくはレンタルになるまで待とうかな、と思っていたのですが、中古の輸入盤が意外に早く安く購入できたので聴いてみました。

本作はバンドの祖国フィンランドでは発売日に5万枚以上売ってダブルプラチナアルバムを獲得したそうです。日本人的感覚からすると「たった5万枚?!」、って感じですが、フィンランドの人口は540万人、と日本の人口の1/24程度。単純に掛け算すると日本で120万枚売れてることになります。これは2011年に日本で売れたアルバム~嵐の「Beautiful World」やAKB48「ここにいたこと」、EXILEの「願いの塔」~などより売れたことになりますが、…まぁどうでもよい比較です。それにこれらのアーティストを超えてNightwishのアルバムが日本でランキング1位をとるなんて、これまでもこれからも絶対ない。そしてこのアルバムが120万枚も売れたら変だ。そんな世の中が来たら、それは日本人の辺境スピリットが侵食されている結果だろう。恐らくフィンランド人が変なのだろう。

なにせコンセプトアルバムになっていてランニングタイムも74分55秒です。長すぎ。お腹いっぱい。

私はオペラティックなソプラノ歌唱のTarjaのヴォーカルがそれほど好みではなかったため、シンフォニックな音楽の装いには大いに興味を惹かれつつも、それほど熱心にNightwishの作品を追いかけて来ませんでした。そんなわけで歴代のスタジオアルバムの中では「Oceanborn」でも「Once」でもなくAnette Olzonがヴォーカルをとっている前作「Dark Passion Play」(2007年)が最も好みなのです。

本作は2012年に映像化されるらしいです。
そしてそれを反映してか非常にシネマティックな作りになっています。これまでもシンフォニー要素、クアイアいっぱい、オペラかよ、っていう世界観でしたが、いよいよ磨きがかかってもう誰も止められない世界に到達してしまいました。凄いぜNightwish。そして今後、メタルの世界から飛び出せるであろう、普遍的魅力に溢れた数少ないバンドの1つであろうことを、本作を2回ほど聴いただけで確信するに至りました。おそらくそれをメタルファンは望んでいないでしょうが。

という意味においては、メタルが好きで本作を聴く人には多分物足りないでしょう。って偉そうですが、それくらいメタル色が希薄な曲がたくさんあります。#4なんてナイトクラブでカクテルかワインかウイスキーを傾けながら聴くのが全うな聴き方なんじゃなかろうか、と思う曲もありますし、ヴォーカルなし、メタル色なしのinstrumental曲も何曲かある。
それでも、これまでのNightwishファンだった方々へのリップサービスのような曲もあります。#2、#5、#11なんかがそうです。
バグパイプが大活躍な#5はポップで楽しげでキャンプファイヤーを囲んで踊りたくなりますが、歌メロはもうちょっと何か欲しいかなぁ。ストレートなメタルっぽさを留めている#2と#11。#2はシンフォニックなクアイア全開で多くのファンに受け入れられるでしょう。Anetteのヴォーカルも映える。#11のAnetteは若干残念ですが、それを補って余りあるNightwish的メタルサウンドです。

ということで、Nightwishの真性ファンじゃない私ですが、そんな私でも2ndアルバムの「Oceanborn」から曲がりなりにも追いかけて来た甲斐があったなぁ、しみじみ…と素直に感動できる作品でした。是非とも多くの人に触れて欲しい、「メタルなんてゴミだろ?」って思っている方にこそ触れて欲しい作品です。今年最後の(?)名盤です。

1. Taikatalvi
2. Storytime
3. Ghost River
4. Slow, Love, Slow
5. I Want My Tears Back
6. Scaretale

7. Arabesque
8. Turn Loose The Mermaids
9. Rest Calm
10. The Crow, The Owl And The Dove
11. Last Ride Of The Day
12. Song Of Myself
13. Imaginaerum

早く本作の映像がみたいなぁ。

2011年12月14日水曜日

(本) 読んでみた~SICU Pearls 外科ICUで困った時に開く本

この

マニュアル本

は、マニュアルとしての機能を十分すぎるくらいに果たしてくれそうです。
麻酔科研修医は患者さんを術後ICUに入室させる時に、p6-7の事項を申し送ることを目標にすればよいでしょう。
第2章の図表は秀逸。第3章の、各病態ごとの管理についての文章も肝を外さずに、それぞれよく練られています。第4章にはTrouble Shootingが記載されていますが、マニュアル本にありがちな鑑別診断の羅列でないところがよい。と、偉そうなことを書いてしまいましたが、目一杯利用しようと思います。勉強になるなぁ。
いい買い物をしました。

・そういえば…来年から麻酔科専門医試験の日程が変更になるようですね。口頭試験と実技試験は神戸、筆記はあちこちの都市で?と学会HPに提示されてますが。
・これまたそういえば…レミフェンタニルの副作用に「全身痙攣」が追加されていますね。

2011年12月13日火曜日

(音) 最優秀アルバム・ベスト25 ~ 「魔獣の鋼鉄黙示録」より

年末になり、そろそろ今年のベストアルバムを選出しようと思っています。
賛否両論(多分、否の方が多い)だと思いますが、

上記の本

に記載されているベストアルバム(1970年~2004年)は以下。

・AC/DC : Back in Black
・Angel Witch : 悪魔の翼
・Bathory : Under the sign of the black mark
・Black Sabbath : 黒い安息日
・Carcass : Heartwork
・Celtic Frost : To Mega Therion
・Destruction : Infernal Overkill
・Dream Death : Journey Into Misery
・Emperor : 闇の皇帝
・Holy Terror : Terror and Submission
・Immortal : Battles in the North
・Iron Maiden : Killers
・Judas Priest : In the East
・Kreator : Terrible certainty
・Mercyful Fate : Melissa
・Metallica : Ride the Lightning
・Morbid Angel : Formulas Fatal To The Flesh Released
・Motley Crue : Shout at the Devil 
Motorhead : Overkill
・Napalm Death : 哀歌
・Rainbow : 虹を翔る覇者
・Saxon : The Eagle has landed
・Slayer : Hell Awaits
・Voivod : Demension Hatross

このうち、私はまだ10枚しか聴いていない。鋼鉄の道は長く険しい。要修行。

(本) 博士の本棚 - 小川洋子 (新潮文庫、2010年)

人生で読んだ小説の数が多く見積もっても数百冊であろう私にも好きな作家さんがいます。

小川洋子さんはそのうちの1人です。と言ったら小川洋子さんに迷惑がかからないだろうか…否、多分かからないだろうと、思って書きますが。

最近読んだ「博士の本棚」にとても嬉しい文章を見つけました。

当時、新刊の単行本を買うのは、何よりの贅沢だった。一割引きで購入できる大学の生協以外、普通の書店で買物をしたことがなかった。古本や文庫や図書館で借りるのではなく、まっさらな新刊を自分だけのものにしたい気持が、純粋な本物の欲求であるかどうか、お財布と相談しながら、吟味に吟味を重ねた上での買物だった。(p267)

あぁこんな偉大な小説家の先生の書く言葉に共感できるなんて(私のことを書いているのか、と本気で錯覚しました)。おそらくこの共感は私の勘違いだと思いますが、勘違いだとしても、幸せな気分にしてくださった小川洋子さんには、心の底から感謝したいと思います。そしてこれからも素晴らしい、否、素晴らしくなくても良いので、楽しく小説を書き続けてもらいたいなぁ、と分不相応にも思うのでした。あぁ他人の書いた文章で幸せになれるなんて、本当に幸せなことだ。

2011年12月12日月曜日

(研) アルバイト麻酔科医大学院生の健康保険

医師アルバイト必勝法

上記ブログに健康保険についての情報をみつけました。もっと早く見とけよ、って感じですが。
私は現在、職場の健康保険を任意継続していますが、それよりも医師国保の方が安いです。
何事もきちんと自分で調査してから決定せよ、ということですね。迂闊でした。

2011年12月9日金曜日

(本) 自分を超える法 - ピーター・セージ(ダイヤモンド社、2011年)

・「達成する方法がわかる目標」は、目標として小さすぎる
・自分が感動できることを敏感に認識しながら、人生に身を委ねて、とにかく行動すること p267
・「自分のビジョンが何であるか、自然にわかるとき」は必ずきます。「自分の可能性に自然に心を開いたままでいること」で。 p268-9
・人生は、ほしいものを自動的に運んでくれるようなものは決してない p304
・何かを変えるためには、自分の世界観を変えるしかない p404

こんな本を読むのが趣味だったら、ただそうしていればいい。ですが読むだけでは変わらないのです。当たり前ですが。だったら面白い小説や映画を見たり、友人と話をしたり、音楽を聴いていた方が何万倍も意味があります。行動や意識を変えるためにこそ、このような本は存在しているのです。ですが、本に洗脳されて「よし、がんばるぞー」と頑張るのも何だか嫌なのです。それはきっと、変えなければならない自分を、自分の中にいっぱい発見してしまうからでしょう。ですが、このままだと、自分の行動の枠から出ていけないことは自明、なおかつそれが不愉快なので、何らかの行動が絶対に必要です。そしてその、何らかの行動が、適切かどうかなんて、行動しているときには分からないのです。でも行動するしかないのです。そういう時があります。頭で考えているだけではどうにもならないのです。自分の体が発するメッセージを、思考以上に大切にしたほうが良いこともあります。
おそらく怖いのは、行動を開始するときだけです。だから何も恐れる必要はないのです。

(走) Training in Rena (其の百二十八)

56日ぶりに走ったことを記録し忘れていたので、記録しておこう。

12/4 5.0km, 35min
total distance: 900.4km (July 34.0km, August 17.0km, September 45.2km, October 10.0km)
total time: 5713min = 95h13m (since 7th, Feb, 2010 走り始めて666日目)

またゆっくりと距離を伸ばしていこう。人生長いんだし。

***

絶望の虚妄なること まさに希望に相同じい (「ある一行」 茨木のり子 より)

絶望も希望も大したことない。どっちも人生に必要なんだろうけど、それに絡め取られてるだけではまだまだ浅いんだろう。浅いってことは生きる必要があるってことだ。深く生きるために。深いってなんだろう。そもそも深く生きる必要があるんだろうか。
尤も、何が絶望で何が希望か、うろうろと悩んでいるだけでも生きている価値があるってものかもしれない。命が潰えたときには、悩むこともできない。

私も茨木のり子氏のように、上の言葉を時々呟いてみよう。

2011年12月6日火曜日

(本) 自分の小さな「箱」から脱出する方法 - アービンジャー・インスティチュート (大和書房、2006年)

このようなことを意識することで少しは良い方向に変わっていくのでしょうか。少なくとも周りの人々が、自分の思い通りでにならなくて怒るだけ・・・の不毛な生活からは脱出できそうです。

***
知っておくべきこと
・自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく
・箱の中にいると、業務向上に気持ちを集中することができなくなる
・自分が人にどのような影響を及ぶすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている
・他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる

知ったことに即して生きること
・完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え
・既に知っている人以外には、箱などの言葉を使うな。自分自身の生活に、この原則を活かせ
・他の人々の箱を見つけようとするのではなく、自分の箱を探せ
・箱の中に入っているといって他人を責めない。自分自身が箱の外にとどまるようにせよ
・自分が箱の中にいることが分かっても、諦めるな。努力をしろ
・他の人々が手を貸してくれるかどうかを気に病むのはやめろ。自分が他人に力を貸せているかどうかに気をつけろ。(p264-265より引用、一部変更)

(麻) deep grief

・脳死ドナーの管理は麻酔科学会の指導医や専門医ならできて当たり前。
・指導医や専門医が断わるというのはいかがなものか。

あぁ、そういう認識の先生がいらっしゃるのですね。
私は脳死どころかいかなる臓器提供ドナー、レシピエントの麻酔管理にも関わったことがありません。もし万が一、臓器移植の管理で私がトラブって訴えられて裁判ざたになっても、「この麻酔科医の技術や知識が未熟だと言わざるを得ない」と判を押されてしまうのでしょう。

今年、麻酔科専門医試験に偶然にも合格させていただきましたが、早くも資格を返上したくなりました。

凡麻酔科医の私としては、臓器移植に関する、日本語で書かれたガイドラインや教科書の発行・出版を切に望みます。そうすれば死に物狂いで勉強しようと思います。いつか目の前にいらっしゃるかもしれない臓器移植の患者さんのために。

2011年12月3日土曜日

(本) ぼくは勉強ができない- 山田詠美 (新潮文庫, 1996年)

気軽に楽しく読めました。たまには人の推薦を盲信して読むのもいいもんだ。読む本を自分で選んでるだけだと偏るし、天地がひっくり返るような驚きや興奮に中々出会えなくなりそうだし。

著者は主人公を、勉強ができない高校生、という設定にしておきながら、哲学的なことを只管(ひたすら)考えさせ、吐き出させています。この主人公は勉強はできない(やらない)だろうけど、、アタマは非常に良い。アタマがよいために窮屈な高校生活を強いられています。
学校の集団生活、社会生活というのは、ある意味においてバカになる、ということです。これはしてはいけない、あれをすると罰せられる。だから何も起こらないよう、目立たないよう、周りの人間と同じ行動をしよう。子供の頃からそのように洗脳、調教され、大人になるにいたっては、そのような態度で生きることに何の疑いもなくなっていく。でも、そうはできないから窮屈さを感じている。それを主人公は母子家庭で育ったことやいろんなことのせいにしているのですが。

***
「どうせ、人って死ぬのかと思うと、将来ってどういう意味があるのかって考えちゃうよ。理想を追いかけてたって、体が消えちゃえば、それまでじゃない。ぼく、来る途中、考えてたんだ。煙をつかむようなものだって」
祖父は、興味深そうに、ぼくを見詰めた。
「煙をつかむのに手間をかけて何が悪い、秀美、そういうことをダンディズムと呼ぶんだぞ。まあ、悪あがきと言えないこともないが、格好の悪いことでは決してないぞ。物質的なものなんぞ、死んだら終わりだ。それなら煙の方がましだ。始末に困らないからな。困らないものがいったい何なのか、おまえにもその内、解る時が来るだろうよ」(p169)
***

読む人によって、色んなセリフに引っかかりを感じるだろう良い小説でした。

2011年12月2日金曜日

(音) 待ちに待ったRoyal Hunt - Show Me How To Live (Denmark, 2011年)を聴いてみた

iTunes storeにて。発売日12/2午前0時に購入し、現時点まで10回ほど全編通して聴いた所で記載。途中に大量出血手術の麻酔を数時間挟みましたが。購入してから明け方まで、夜を徹して聴いてしまいました。

最初に結論を言ってしまうと、歴代スタジオアルバムランク付け(あくまで本日時点)において、新作はこの位置でした。

1.Paradox (1997)
2.Fear (1999)
3.The Mission (2001)
4.Paper Blood (2005)
5.Moving Target (1995)
6.Show Me How to Live (2011)
7.Eyewitness (2003)
8.Land of Broken Hearts (1992)
9.Clown in the Mirror (1993)
10.Collision Course... Paradox 2 (2008)
11.X (2010)

D.C.Cooper復帰です。アルバムの雰囲気は、5th「Fear」をやや明るくしたような印象。Royal Huntで有ることに拘ったサウンドが全編全開であります。音楽的な方向性は近年の作品よりは3rd~5thあたりに近いかも知れません。このあたりは熱心なオールドファンにはたまらないかも。Andreのキーボードのフィーチャ度は近年の作品では最高度、シンフォニックな色合いも近年の作品では最高度。勿論歌メロはポップです。そこからも解るように、D.C.Cooperの歌に最も焦点が当てられた作りになっています。サビの部分でのバックコーラスも分厚いし。先行シングルの#4は既に100回以上聴いていましたが、このアルバムのこの位置にあって、また新たな魅力を感じられます。この曲はやっぱりよい。
しかし、本作で1番の聴きどころは、何と言っても#5の「Half Past Loneliness」でしょう。一聴するだけで歌メロがハマる。まるで歌謡曲のようです。何かの曲に似ているような気がするのですが…思い出せません。個人的には他の曲がどれ程普通だとしても、この1曲があったお陰で非常に救われました。やっぱりこういう曲をD.C.には歌って欲しい。

10分超えの#6に1番期待していたのですが、凡庸で退屈な展開でがっくし…。#1や#7は曲展開は割と好きですが、今一歩、歌メロにフックが足りない。そして本作で1番の不満はJonas Larsen のギターソロが自分好みでなく楽しめない、という点。

1. One More Day 6:15
2. Another Man Down 5:16
3. An Empty Shell 4:35
4. Hard Rain's Coming 5:15
5. Half Past Loneliness 5:39
6. Show Me How To Live 10:06
7. Angel's Gone 5:12

個人的には先行シングルの#4がアルバムの1曲目に来て、「お、これは凄いアルバムかも?!」と期待を煽りまくり、#4を凌駕したシンフォニック悶絶チューンのオンパレード…っていう展開を期待してしまっていたのですが、まぁ、それは無理な望みですよね…。愛ゆえに本作をそこまで評価出来なかったのか、はたまた愛が足りないから本作をそこまで楽しめないのか。まぁ、今作はD.C.Cooperの復帰ってことで、次作に期待します。といいつつ、あと数十回は通して聴いてみよっと。

(本) 克服すべき16項目の弱点 ~ 思考は現実化する より

以前ドラッカーがブームになったけど、私は断然ナポレオン・ヒル推しです。だからどうしたっていう感じですが、本書は本当に痛いところばかりついてきます。その中でも特にこの16項目。
ここで提示される「富」という言葉は、何もお金のことだけを示しているわけではなく、仕事、趣味、家族関係、職場の人間関係、友人関係、哲学的問題、そういう自分の人間的成長に欠くことができない要素、全てを引っ括めた有形無形の財産を示していると思います。数年前に読んで溜飲を下げたのですが、最近、頭の中でいろんなことに蹴躓いているので、久しぶりに本棚から取り出して眺めることにしました。ここにメモとして置くことで少しでも自分の怠け心が減ります様に。

富を築くために克服すべきウィークポイント

1.何を望んでいるか分からず、説明もできない
2.理由の有無関係なく仕事を翌日に延ばす
3.知識欲、勉強意欲が欠けている
4.優柔不断。正面からの対決を避け、全てにおいて責任転嫁をする

5.明確な計画を立てず、口実を作っては言い逃れをする
6.自己満足

7.無関心。安易な妥協
8.他人の失敗を厳しく責め、自分の失敗を認めない

9.動機付けをしなかったことによる熱意の弱さ、またそれによる怠け癖
10.最初の失敗で簡単に挫ける
11.ずさんな計画。目標や願望を紙に書こうともしないため、分析も反省もできない
12.目の前にアイディアやチャンスが現れても、手を伸ばして捕まえようとしない怠惰な性格
13.夢想するだけで何もしない
14.豊かになるために苦労するなら貧乏のままでいいという態度
15.自ら汗を流そうとせず、ギャンブルや投機などで近道して儲けようとする
16.他人からの批判を気にする結果、行動を起こさない。これはこのリストの中でも最大の敵である
(携帯版 思考は現実化する, 2005年, p.303-4を参照、一部変更)