***小児***
@modified ultrafiltration(MUF) 48B32
・CPB終了直後の体内の余剰水分や異常物質を、人工透析に似た濾過フィルターを用いて強制的に濾過除去
・動脈カニューレからの脱血を貯血槽からの酸素化された血液とともに限外濾過膜に送り、濾過血液を右房に返血する
・無輸血率の向上(CPBによる血液希釈を相殺しCPB後のHt値↑ → 組織酸素供給↑)、心機能の早期安定化に寄与
・侵襲により体内に増加する炎症性サイトカインを排除し、術後炎症の軽減、多臓器障害防止に有効
@TOF
・体肺動脈短絡手術→肺血流↑ → チアノーゼ緩和だが、必ずしも酸素化改善しない
・術後は心臓の容量負荷増大。肺水腫の可能性も
・Ht値は40-45%に維持すべき
・麻酔導入のケタミンはSVR↑やCO↑で右左短絡を減少させる。ケタミン自体で酸素飽和度は低下しない
・術中anoxic spellの治療:輸液(膠質液など)→フェニレフリン(SVR↑)→ベータブロッカー(PA漏斗部狭窄軽減)
*100%酸素(PVR↓)で血行動態悪化する心疾患:総動脈幹症、左心低形成症候群、総肺静脈還流異常症など
@新生児の蘇生(小児麻酔マニュアル490-493) 47C18
・心拍数が最重要、100bpmなら直ちに介入。
・臍帯が遮断されるまでは娩出児を子宮と同じ高さに保つ
・換気回数は40-60回/min、うまく喚起できなければすぐ気管挿管(新生児なら3.0のチューブ)
・HRが60以下、もしくは60-80うろうろするなら心マ開始。胸の厚さの1/2-1/3程度。
・新生児では3回圧迫毎に1回換気する
・体重1000g以下ならほとんど気管挿管と人工換気が必要
薬:エピネフリン10μg/kg
輸液は10ml/kg
・小児の除細動は初回2J/kg(単相性・または2相性)、2回目以降は4J/kg (10kgなら40J)
Apgar 8-10点:吸引、皮膚乾燥化、体温保持程度
5-7点:軽度仮死。体外から積極的な刺激、酸素投与、反応が緩慢なら高濃度酸素で人工換気
3-4点:中等度仮死。バッグマスク換気。自発呼吸なければ挿管
0-2点:重症仮死。直ちに蘇生処置
@肥厚性幽門狭窄症
・生後3-6週で発症
・フルストマックで、代謝性アルカローシスで、重症脱水 である。
・嘔吐するから全て下がる。低Na、低K、低Cl
・術前に電解質補正を生食や1/2生食でしっかりやってから(Na>130, Cl>85, urine 1-2ml/kg/h)手術
・尿量が十分になったらK補正
・胃を減圧してから意識下挿管or迅速導入
@Down症候群
・合併症:低緊張、心奇形(全部で45%程度:頻度はVSD>AVSD>ASD>PDA,TOF)、甲状腺機能低下症、巨舌症、痙攣、環軸椎不安定
・喉頭が狭いのでチューブは細めで。
・IEのリスクあれば術前から抗生剤を。
・無呼吸指数(apnea index ;AI) :10秒以上の呼吸停止が1時間あたりに認められる回数。AI≧5と日中傾眠でSASと言われる。
・睡眠ポリソムノグラフィで、鼻・口の気流が停止するときに胸郭と腹部の運動が停止していなければ中枢性要素はない
・麻酔薬に抵抗性ない
@新生児の体温調節 49A58など
・ふるえ熱産生は新生児(と生後3ヶ月未満児)ではみられない。
・揮発性麻酔薬は褐色脂肪組織の代謝を抑制する
@気管食道瘻(tracheo-esophageal fistula: TEF) 47C11-12
・C型(遠位食道と気管)85%>A型(瘻孔なし。それぞれ盲端)11%>E型(TEFのみで食道閉鎖なし)2%>B(上部食道と気管がTEF.下部食道は盲端)≒D型(上部・下部食道がそれぞれ盲端)0.7%
・右側大動脈弓等の心合併あるかも
@雑多な知識
・生まれたばかりの3500gの新生児なら気管チューブは3.0mm or 3.5mm、右内頸静脈横径は3-6mm程度
・機能低残気量は小児も大人も30ml/kgで同じ (新生児27-30ml/kg)
*1回換気量、解剖学的死腔量、死腔率(生理学的死腔/1回換気量)は小児も大人も同じ
・酸素消費量は新生児・乳児は成人の2倍。肺胞換気量も2倍
・胸郭コンプライアンスは小児>大人。
・肺コンプライアンスは新生児5-6ml/cmH2O < 大人200ml/cmH2O
・新生児の気道抵抗は成人の16倍以上。
・臍静脈血の50%は肝臓に入る。残り50%はIVCに直接入る。 47A62
・臍動脈血のPO2 18mmHg、臍静脈 30mmHg。
・胎児肝は在胎14週からP450あり
・満期産新生児の気管長は4cm、喉頭の位置はC3-4(大人はC5-6)
・HbF(新生児のHbの70-90%)は生後7ヶ月頃で全て成人型に移行。酸素解離曲線は左方移動
・新生児の腎機能は生後1年までに急速は発達。腎機能の完全な成熟には2年を要す
***妊産婦***
@妊産婦と麻酔
・SCCはイオン化しているため、殆ど胎盤通過しない 48A60
*胎盤を通過しやすい薬剤は A.脂溶性が高く、B.イオン性が低い ものである。
・ベクロニウム
・妊婦ではCO↑のため、循環時間が短縮しており、非妊娠時より作用発現が早い。
・クリアランスも非妊娠時より高い
・胎盤移行性は低い。臍帯静脈血中濃度/母体血中濃度比はベクロニウム(0.11)、ロクロニウム(0.16)、パンクロニウム(0.21)。これらは脂溶性が低くイオン化しているので、通常量では地の呼吸抑制や筋緊張低下を生じない。
・MgはSCC、非脱分極性筋弛緩薬ともに作用増強に働く。胎盤移行性も高いので、児の筋力低下にも注意。
・妊婦の膠質浸透圧:18.0±1.5mmHg, 非妊娠時:20.8±1.0mmHg
・妊婦のAST,LDH,ALPは↑。ChEは↓(SCCの作用遷延は稀)。血清Crは↓
・酸素解離曲線は右方移動(P50は26.7→30.4mmHg)で組織の酸素利用改善
・PIH妊婦:SVRは1500-(dyne・秒/cm5)、CVPは高くない(<8mmHg)
・スコポラミンは胎盤通過する
・ダントロレンは胎盤を通過する
@子宮収縮薬
・プロスタグランディンF2α(プロスタルモンF):娩出後に0.5mg子宮筋層内注入、または、1.0-2.0mg点滴静注(投与速度 0.5μg/kg/分以内)
*副作用:血管収縮(高血圧,冠動脈攣縮),気管支平滑筋収縮、眼圧上昇
・オキシトシン:血圧低下や反射性頻脈に注意
・麦角アルカロイド(メテナリン、エルゴメトリン):作用数時間。高血圧,冠動脈攣縮,吐気,嘔吐に注意
・ゲメプロスト:PGE1誘導体。膣坐剤のみ。妊娠中期の治療的流産に適応。
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