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2011年9月26日月曜日

(麻) 麻酔科専門医認定試験口頭試験2007年症例5-分離肺換気中の気胸低酸素血症に関連して

この問題のヤマは低酸素の対応にあると思いますが。問題文中にも患者が肥満体型で肺にブラがある、ということで一側肺換気(OLV)にしたら気道内圧が高くなるぞ~ということが容易に想像できます。でも実際にOLV中に気胸が起こることってどれくらいあるのでしょう?
と思って安直ですが、PubMedを引いてみる。
比較的最近には

Intraoperative contralateral tension pneumothorax during pneumonectomy. Anesth Analg. 2008 Jan;106(1):58-60.
http://www.anesthesia-analgesia.org/content/106/1/58.long

で症例報告されています(free article)。ご存じの方も多いかもしれませんが。
この症例では肺がんに対して左下葉切除術。右用DLT(二腔気管支チューブ)をなんとか挿入(挿管困難だったのではじめは通常の気管チューブ→チューブエクスチェンジャー使用して右用DLTを挿入)し、右側臥位で手術開始。OLV開始後、低酸素や循環破綻なく、高気道内圧になった(ディスカッションでは数少ない報告全てが低酸素や循環破綻が初発症状)。
本報告の症例では右用DLTなので、右上葉換気孔の位置異常による高気道内圧や挿管に伴う気道損傷を疑ったようですが、Xpではしっかりと気胸になっていた、というもの。

本症例における診断治療の流れは・・・

高気道内圧→気管内吸引とファイバーでチューブ位置異常確認なし→高気道内圧持続→両肺換気に→皮下気腫ないけど頚静脈怒張あるぞ→Xp撮ったら緊張性気胸→その後すぐ閉胸して仰臥位にして再度Xpで気胸を確認→右胸腔ドレーン挿入→DLTを左用にチェンジ→ドレーンから持続的な排気なし→循環呼吸安定しているため再度体位をとって手術再開→オペ室で抜管。術後問題なくよかったよかった・・・。

分離肺換気中の低酸素血症はDLTの閉塞、位置異常、気管支痙攣等が鑑別に上がりますが、気胸も大事な鑑別診断の1つに挙げられますね。こんなシチュエーション、いつ何時にでも遭遇しかねない。
 
因みに麻酔中の気胸は・・・CVC挿入、腕神経叢ブロック、胸部硬膜外カテーテル挿入、手術に伴うもの、が多いようです。

@これまた因みに…分離肺換気の絶対的適応
1. 他肺からの感染性分泌物
・血液の流入阻止
・肺膿瘍・膿胸などの感染症
・大量出血(喀血)
2. 開放気道が存在する場合
・気管支瘻・気管支皮膚瘻
・手術が主要気道に及ぶ場合
・気管・気管支の損傷
3. 一側の肺胞洗浄
・肺胞蛋白症

上記以外は全て相対適応です。

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