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2013年1月30日水曜日

(麻) 2枝ブロック、3枝ブロック時のペースメーカ適応

朝の2年目研修医の先生による症例提示。非常に勉強になりましたので、ガイドラインから抜粋しておこうと思います。

不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)

ClassⅠ:
1. 慢性の2 枝または3 枝ブロックがあり, 第2度MobitzⅡ型,高度もしくは第3 度房室ブロックの
既往のある場合
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合
3. 慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型第2度房室ブロックを認め,失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合

ClassⅡa:
1. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,失神発作を伴うが原因が明らかでないもの
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,器質的心慢性の2 枝または3枝ブロックを示す症例における植込み適応の決定にあたっては,高度の房室ブロックを来たす危険性の判断が重要で,電気生理検査によるHis-Purkinje系伝導機能の評価が重要である.電気生理検査によるHis 束以下での伝導遅延・途絶の参考所見は,(1) 著明なHV間隔の延長( > 100msec),(2)心房ペーシング(150/分以下)によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発,(3)Ⅰa群抗不整脈薬静注によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発である.

***
術前に主治医があまり注意を払っていなかったとしても、麻酔科が気づいてアクションしなくてはいけませんね。

2013年1月19日土曜日

(音) Muse - live at Saitama Super Arena

これは1/12(土) のライブの記録です。
セットリストはこちらから引用させていただきました。
http://www.setlist.fm/setlist/muse/2013/saitama-super-arena-saitama-japan-3dba9d7.html

赤は自分のお気に入りの曲です。

The 2nd Law: Unsustainable
Supremacy
Interlude
Hysteria
Panic Station

Bliss
Supermassive Black Hole
Animals
Knights of Cydonia(Man with a Harmonica intro)
Monty Jam
Explorers
Sunburn
Time Is Running Out 
Liquid State
Madness
Follow Me 
Undisclosed Desires
Plug In Baby

New Born (Deftones' Headup outro)

Encore: The 2nd Law: Isolated System
Uprising(Extended outro)

Encore 2
Starlight
Survival

ということで全20曲以上、1時間50分弱のショーでした。

ライブで演奏されそうなセットリストを作成してiPod touchに入れ、ライブ1週間前は殆どそればかり聴いていたので「Liquid State」以外は何が演奏されたイントロでほぼ分かりました。「Uprising」もお約束(?)で演奏されたので大満足です。Youtubeで4643万回ダウンロードってちょっと想像出来ませんが。


これで仕事と実験の充電…になったつもりがライブが圧巻の出来だったので放心状態になってしまいました。

***
Facebookに積極的に投稿するようになると、ブログとどう住み分けようかという問題が自分の中に生じてきました。
ブログには大雑把に
・Facebookでつながっている方々にはあまり興味が無いだろう文章を書きたいとき
・Facebookに書いたことをもう少し詳しく書きたいとき
・「いいね!」しにくい文章を書きたいとき
・ちょっと長い文章を書きたいとき
・よい写真を貼りつけられないとき
・Facebookだとちょっとうっとうしいだろう記載をしたいとき
・思考を整理したいとき
・麻酔その他で学んだことを書きたいとき

という感じで、続けていこうかなと思います。

2013年1月12日土曜日

(麻) Surviving Sepsis Guidelineの2012年アップデート

2012年のSCCM meetingで提唱されたもののようです。
PulmCCM.org」というサイトの新着記事をemailで送ってもらうようにしていたため、知りました。昨年大晦日の紅白歌合戦の後に読んだ気がします。Facebookでも「PulmCCM central」というページがあります。Facebookはほんとうに便利だなぁ。


ということでそのサイトの
Surviving Sepsis Guidelines Updated: Preview from SCCM Meeting
をあとですぐ見直せるように日本語にしました。勿論、ただの推奨なので、どのように自分の臨床に取り込むかは各人の置かれる状況に依存すると思います。
以下の文章の(注)は私が追加したものです。

Surviving Sepsis: New Fluid Resuscitation Recommendations
・重症敗血症の初期治療(輸液)に生理食塩液などの晶質液を使用(1A)。投与量は1リットルかそれ以上。治療開始後4-6時間で最低30ml/kgの晶質液を投与すること(70kgの成人なら2.1L)
・血行動態が改善し続けるうちは、輸液の追加投与を継続。血行動態とは血圧やΔPP(注:ΔPPはPPVと同じで脈圧変動のこと)やその両方を示す(1C) (注:PPVと同じようにSVVも使用可能でしょう。)
・severe sepsisとseptic shockに対する初期輸液治療の晶質液に、アルブミンを加えるのは軽度の推奨(2B)
・分子量200kDaを超えるヘタスターチやハイドロキシエチルスターチを使用しないことを強く推奨(1B) 
これより小さい分子量のヘタスターチ、またゼラチン製剤については言及していない。これらの製剤を評価するための研究は進行中。
(注:ヘスパンダーとサリンヘスは70kDaで、もうじき日本でも使えるようになるスターチは130kDaですので、このガイドラインには当てはまりません)

Surviving Sepsis: New Recommendations for Vasopressors, Inotropes
・昇圧療法の第1選択はノルエピネフリン(商品名Levophed)を強く推奨(1B)。バソプレシン0.03単位/分をノルエピネフリンの代替品として使用するか併用する(2A)
・2つ目の昇圧剤を使う必要があれば、エピネフリンを軽く推奨(2B)
・ドパミンは極めて限られた患者群に対してのみ推奨。不整脈の危険性がとても少ない場合や、低心拍数and/or低心拍出量の患者である(2C)。
・ドブタミンは以下の患者に対して、単独、もしくは昇圧薬と併用して使用することを強く推奨する(1C)。心充満圧が高い、低心拍出量、十分な輸液療法を行なって血圧が上昇した後も低灌流状態が示唆される臨床症状がある、といった患者。

Surviving Sepsis: Corticosteroid Recommendations
輸液と昇圧薬で循環動態が改善する患者に対する副腎皮質ステロイドの経静脈投与を勧めない。昇圧薬に反応しない敗血症性ショック患者に対しては、静脈内ヒドロコルチゾンを200mg/24hの量で軽く推奨(2C)

Surviving Sepsis: Mechanical Ventilation for ARDS
重症敗血症に伴うARDSへは以下を軽く推奨。
・高めのPEEP(2C)
・高PEEPとFiO2でも重度の低酸素血症状態にある患者へのリクルートメント法(2C)
・それでもPaO2/FiO2比100未満が続く患者への腹臥位(2C)

Other New Surviving Sepsis Guidelines
以下を軽く推奨
・中心静脈酸素飽和度をモニターできないときは、EGDTのゴールとして乳酸値を正常化すること(2C)。
・重症敗血症の原因として真菌感染の危険性がある患者では、侵襲性カンジダ症に対する新しいアッセイ法(1,3-beta-D-グルカン、マンナン、抗マンナンELISA抗体試験など)を検査(2B/C)。(注:新しいアッセイ法のリンク先は状況によっては見られないかもしれません)
・経験的な抗菌療法中に感染症が見つけられなければ、抗菌療法中止の指標としてプロカルシトニン値低下を判断材料にすることを考慮(2C)。

最後に以下の記載がありました。
The Surviving Sepsis project was criticized in the mid 2000s when it was revealed that Eli Lilly (makers of since-discontinued Xigris) provided a reported ~90% of the funding, without disclosure by the committee. Others (including the committee itself) felt such criticism was unfounded and unfair. The Surviving Sepsis website does not clearly show their current sources of funding, but they have set up a page to address any concerns about industry involvement. The name “Surviving Sepsis Campaign” is copyrighted by the Society for Critical Care Medicine.

エビデンスの強さの復習を。
1 = strong recommendation;
2 = weak recommendation or suggestion;
A = good evidence from randomized trials;
B = moderate strength evidence from small randomized trial(s) or multiple good observational trials;
C = weak or absent evidence, mostly driven by consensus opinion

***
既にご存じの方も多いとは思いますが、論文はこちらです。「Intensive Care Medicine」にも掲載されてます(2013年2月5日追記)
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock: 2012. Crit Care Med. 2013 Feb;41(2):580-637. PMID: 23353941


2013年1月7日月曜日

(雑) 今日から本格的に実験開始です

それとともに書きかけの論文の指導をいただきました。自分が勘違いしていたことをI先生が朝から分かりやすく教えて下さいました。M先生にも非常な短時間で色々な指摘をいただきました。やっぱり長く麻酔科医を続けている先生には全くかないません。新年早々、本当にそう思いました。

昨年は頑張り過ぎて目標を幾つもたててしまいましたが、今年はひとつだけにしようと思います。

我武者羅です。

自分の情熱が続く限り、いや、続かなくても目の前のことに集中する。

これをあと今年の残り358日、愚直に続けていったら凄いことになるかもしれません。

今年の年末に、2013年を振り返った時に、今この時には思いも寄らないような素晴らしいことに出会えたらいいなぁ、と新年なので妄想してみます。全ての夢は妄想からはじまります。

ということで、皆様にとってもよい一年になりますようにm(__)m

2013年1月6日日曜日

(雑) 仕事はじめと実験はじめと

週末のうちに、麻酔の仕事はじめと実験はじめをしました。暦が2013年に変わっただけで、やることは特に変わりないです。後はもうすぐ締め切りの原稿の手直しと読書。はやる気持ちを抑えて、1つ1つ集中してやっていきたいものです。

2013年1月3日木曜日

(本) 昨年最後に読んだ本ーソクラテスの弁明 -プラトン, 納富信留訳(2012年、光文社古典新訳文庫)

『金銭から徳は生じないが、徳にもとづいて金銭や他のものはすべて、個人的にも公共的にも、人間にとって善きものとなるのだ』p63

このこと、つまり死から逃れることは、皆さん、難しいことではありません。ですが、劣悪さを免れることはずっと難しいのです。それは死より走るのが速い。そして今私は年をとっていて走るのも鈍いので、より鈍いものによって有罪にされましたが、私の告発者たちは手強くて鋭いので、より素早いもの、つまり悪徳によって捕らえられたのです。p96-7

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今年も余裕が少しでもあれば、このブログに学んだことを記していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今よりも、去年の自分よりも、自分の人間性が少しでも高まるように研究、麻酔、周りの暖かな人との交流を続けていければこれ以上に幸せなことはない気がします。今年も自分の役割をしっかりと果たしていきたいです。