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2011年9月28日水曜日

(音) 実は自分好みの神曲があるということに気づくまで6年も要したDream Theater の Octavarium (US, 2005年)

今年2度目の神戸入り。明日から麻酔科専門医試験です。
***

熱心なファンやマニアの方々が非常に多く、「メタル」というジャンルを遥かに超越したアメリカの、いや世界の貴重な音楽遺産の一翼を担っている(?)バンドです。ジャンルはプログレッシブメタルに分類されることが多いです。

傍目に見てわかる特徴としては以下の2点。
1. 超絶技巧(楽器素人の私には、どのくらい超絶なのか、がわかりませんが、今から麻酔科医やめて一生練習しても到底辿り着けないであろう境地なことはライブ映像見るだけでもなんとなくわかります)
2. 1曲1曲が長い(組曲形式のSix Degrees of ~は約40分。それ以外でも10分程度はざらで、中には複数枚のアルバムを跨いで続いている曲があります)。

11作目となる新譜「A Dramatic Turn of Events」が今月発売され、既に聴かれた方々の作品に対する評価は概ね良いようなので、私も早く聴きたいのですが、未だ未聴の状態です。
というのも、これまでの作品にきちんと、正面から向き合ってなかった自分を恥じておるからなのです。これまでのスタジアルバムは全て何らかの形で所有していて聴いている筈なのに、「あぁ、あのアルバムだと~がいいよね~」と語れる程に聴き込んでいないのです。
私がどの曲も詳細に思い出せるアルバムと言ったら、5th「Metropolic Part.2 - Scenes from a memory」(1999年)と7th「Train of Thought」(2003年)だけ。とてもじゃないけどDream Theater (以下DT)ファンとは言えない状態。
ファンの間では名盤とされる3rd「Awake」(1994年)や言わずと知れたプログレッシブメタルの金字塔の2nd「Images and Words」(1992年)ですら、その評価の高さから何度も再生ボタンを押し、数曲聴いては、「…う~ん、やっぱTrain of Thought聴こっと」となって3曲目「Take the Time」の1:30あたりのラブリエのハイトーンヴォイスあたりで停止ボタンを押してしまっていたのです。おそらくこのアルバムが身に染みてこないのは、アルバムの発表をリアルタイムに追いかけるようになったのが、5thアルバムからだったからなのだと考えています。
だからもしかすると数年、数十年後には「Images and Words最高!」とか「やっぱ3rd albumのAwakeが一番いいよね~」とか言ってる可能性もあるので、今こうして「なんかイマイチなんだよなぁ…」と思いながらも2ndや3rdアルバムの曲のメロディを、取り敢えず脳のどこかにしまい込んでおくことは全くナンセンスなことではないと思っているのですが、それにしてもやっぱりある程度の即効性があって聴神経や脳が喜ぶような音を聴きたいものではあるのです。(多分HelloweenにおいていつまでもMichael Kiske在籍時の「Keeper of the Seven Keys Part I & II」が最高傑作!と言い続けているようなものでしょう、おそらく)

そして自分にとって「即効性がない」という意味において、8曲入りの8thアルバム「Octavarium」(2005年)もそういう作品の中の1つだったのです。
2005年の発売時に購入していたものの、その魅力に長いこと気づきませんでした。恐らく買った当初は聴いたのだと思いますが、ヘヴィだけど……うーん……な#1と、曇り1つ無いバラード#2で完全に眠りの世界へ誘われ…ポップス過ぎる#4で完全に脱落。
「メロディはいいけど…別に、これってDTじゃなくてもいいじゃん」と不遜にも思ってしまって#5まで到達できていなかったのです。
おそらく購入した2005年あたりは、初期研修医として働き始めたこともあり、土日祝日関係なく毎日のように病院で仕事をして、音楽を楽しむ暇もそれほどなかったためではないでしょうか。だから「新しく中毒性を与えてくれる(かもしれない)この新しいOctavariumというアルバム」に少ない余暇の時間を割くよりも、確実に楽しめる「Train of Thought」を偏愛して聴いていたのだと思います。

1. Root Of All Evil (8:25)
2. Answer Lies Within (5:33) メタル色の一切ない非常に聴きやすいバラード。euphoric。
3. These Walls (7:36)
4. I Walk Beside You (4:29) これも聴きやすいけれど…。
5. Panic Attack (8:13)

6. Never Enough (6:46)
7. Sacrificed Sons
(10:42)
8. Octavarium (24:00)
 

#8「Octavarium」の4:33-で聴かれるような郷愁を誘うメロディは好きなのですが、1曲で24:00はやっぱり長い…。これが楽しめるようになるには、もう少し年月が必要なようです。
兎に角、#5と#7は「This Dying Soul」や「Endless Sacrifice」並に今後聴き続けるであろうことが決定しただけでも、麻酔科専門試験の勉強をした甲斐がありました。
特に911の米国での同時多発テロを題材とした#7は、deep & darkな鳥肌モノのバラードに仕上がっていると思います。あー生きててよかった。

…しかし、こんな名盤が459円(+送料)程度でAmazonで買えるってどういうことなんだろう。DTくらい世界的に売れていれば安くても良いのかも知れないけど、大して売れてないバンドでこの価格だったら生計立てていくのきついだろうな…、と思わずにはいられません。11作目はもう少しだけ過去の曲を咀嚼してから聴くことにしよ。