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2010年7月31日土曜日

FD(faculty development)研修

実は一週間前から非常に憂鬱だった。今は無事に終わってほっとしている。ずっと続いていた咽頭部の圧迫感が漸くとれた。

というのも大学の教員研修があったからである。
研修内容は学生の教育体制のこの10年ほどの変遷、今後のカリキュラム内容の変更点、研究倫理やスキルスラボの説明などなど、多岐に渡っての座学がメイン。はっきり言って寝てようが内職してようがお構いなしに話は進んでいく。参加されていた他のDrたちの様子をちらちらと伺っていたのだが、論文を読む人、居眠りする人、まぁ推して知るべしと言った所。学生はよくもまぁ1日座って講義を受けられるものだ。講義内容に魅力や関心がなければ寝るのは教員であるDrも一緒なのだから、学生にあんまり強くいろいろ求めてはいけないのである。私は折角の休日の土曜日を潰して参加して悔しかったので、面白い話がないかと思い「聞く」のではなく「聴い」てみた(飽くまで集中力の続く限り)。
そんな中で唯一、参加者が能動的に参加するのが「micro teaching」。5人の小グループに分かれて1人5分のミニ講義をする→録画した講義の様子を自己評価する→評価者4人からのフィードバックを受ける、といういかにも欧米人が考えそうでかつ日本人が、否、私が苦手な演習である。これまで何度か看護師さんや研修医にレクチャーする機会はあったし、学会発表もしている。人前で話すのは慣れているといわないまでも経験を積んできたのだが、直接「評価される」のを目的としたプレゼンは初めて。だからこの1週間憂鬱だったのだ。あ〜仮病使って休めばよかった〜と講義を受けている間何度も思ったがお腹も痛くならないし鼻水も出てこないのである。
終わってみると、1番ためになったのがmicro teachingだった。自分の声のトーン、話すスピード、身振り手振り、聴衆へのアイコンタクトなど自分のプレゼンに対して勉強になった。それ以上に上手にフィードバックをするトレーニングをすることの難しさやトレーニングの必要性を実感できた。


・講義の形態は1000年変わっていない
・生き残るのは「環境に適応した動物」である
・明日の医療を創りたい!
・臨床実習前のCBTは320問を6時間。12000問のプールから出題。
・学生の指導は回診時の余談でもよい、学生は無視されることを忌み嫌う
・答えられない場合は答えを誘導する。答えられるレベルまで問題のレベルを落とす
・学生は時間延長した部分の講義は聞いていない
・講義はフローがはっきりしていることが大事
・パワーポイント:白の背景、1枚8行まで、色は3色程度まで
・問題:想起レベル、問題解釈、問題解決能力
・管子「ある男に魚を与えれば、その男は魚を一回だけ食べることができる。その男に魚の取り方を教えれば、残りの一生の間、魚を食べることができる」
・臨床実習の原則:最初にルール決める。現場ですぐに言わないと大変なことになることから教える。原則、基本を教える
・指導の禁止事項:プライドを傷つける、比較する、範囲を広げない、メンタルヘルスへの過剰介入
・成人学習理論(Andragogy)
 ・目標と必要性の開示を求める
 ・目の前に解決すべき問題があると意欲が高まる
 ・自分のペースを守ろうとする
 ・自己の経験に基づいて理解しようとする

<自分のプレゼンから学ぶこと>
・時間に対して分量が多い、もっと絞れば話すスピードがゆっくりにできる。Less is More
・イントロで「この話を聴こう」という動機付けはできていた
・身振り手振りは効果的であった(これは自分としては体をゆらゆら揺らしているように見えて気になったところだったので、意外だった)

<micro teachingから>
・フィードバック内容は要点を絞って伝える。よいところ→改善点の順に
・相手に受け入れてもらえるような環境をつくりだす
・身近な例え話を話の頭に持ってくるのはテクニックとして有用
・声のトーンで強弱つけて、強調できたらよさそう
・大事な点はスライドで書いてあっても、スピーチでも繰り返す。特に何度も繰り返して話すとよい
・情報に序列をしっかりつけると理解が進む