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2010年7月21日水曜日

猛暑続く、久しぶりの手術室

梅雨明け4日目、練馬の猛暑日2日目、海の日の翌日に久しぶりに出勤した。仕事始めは1回/月程度のアウェーの外勤先に行ったのだが、目的の駅(居宅から1時間10分)の改札を通過してある重要なことに気づいた。
財布が鞄に入っていないのだ。
これから先必要となる「駅から病院までのバス代」と「病院からの復路のバス代」、「復路の電車賃」・・・。それらを考えるとぞっとしたが、幸いにしてPasmoに残っていたいくらかの残金で何とかなった。そもそもチャージ残高がなかったら駅から病院まで歩いていかなければならなかったわけで、この炎天下に片道1時間歩くとなるとぞっとする。しかも首尾よく病院にたどり着いたとしても身銭が無いから当然昼ご飯は買えない。手術の予定時間は6時間といわれている。金を借りればよいじゃないかと言われればそれまでだが、次にいつ行くか分からない病院の職場の人に金を借りたとしてもいつ返せるか分かったものではないし、誰かに渡して代わりに返してもらうのも、つまらないプライドの持ち主の私にはよっぽどの理由が無ければお断りである。もし借りたとしても昼食のために手術室を抜けることもままならない(手術中に自分が抜けている間に心室細動など起こるくらいなら私は昼食をとらない)ので、どちらにせよ意味がない。というわけで長袖を着なくてはならないほど冷え切った手術室の快適な環境で働ける自分の厚遇と、ICカードの恩恵と、水のおいしさに改めて感謝した1日であった。
そして今日。我が練馬区が37.6℃を記録した猛暑日3日目。これまた久しぶりに外来で20人弱ほどの患者さんの術前診察を担当したのだが、あまりにも久しぶりの感覚で何もかもが不安であった。患者さんの合併症の評価にしても「このくらいの状態ならまぁ大丈夫だろう」という感覚がすっぽり抜け落ちてしまっているのである。夏休み以前にはまるで呼吸をするかのように当たり前のようにできていたことができない感覚。普段いかに主観的な評価を行っていたかが身に沁み、またその主観的評価が体に沁み込んでいなかったかが分かった一日だった。「正しい主観的評価」(そんなものはおそらくないが、動物的な感で患者さんのリスクを正しく評価する能力とでも定義するならば)が体に沁み込んでいれば、すぐに以前の状態に戻る筈。丁度自動車の運転をひとたびマスターすれば久しぶりの運転でもすぐに元のようにできるように。まだまだ研鑽が必要ということを痛感できたというだけでも今日働いた甲斐があった・・・かな。

◎局所麻酔下、頚部手術に立ち会う際のメモ
・単なる生検の予定でも出血や気道閉塞を常に念頭においてモニタリング
・気管支ファイバー、経鼻挿管用の物品を手元に準備しておく
・入室時に再度気道評価:開口、頚部可動域、歯牙動揺
・画像:耳鼻科医が予め施行したファイバー所見、MRI等
・酸素マスク装着。ETCO2モニタも。
・覆布がかかった後、苦しい場合の合図等の確認。声が出せればそれでよいが、痛かったら足を動かす等の意思表示手段を患者と確認
・手術進行を注意深く見守る
・患者の恐怖感を煽らないよう、私語を慎む。適切な声かけをする

◎疑問
・硬膜外麻酔は冠攣縮に本当に悪影響を与えるのか