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2010年5月17日月曜日

ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代 ― ダニエル・ピンク

世界的経営コンサルタントの大前研一氏が翻訳を行っている。
本書冒頭の「訳者解説」に大前氏はこう書いている。

21世紀にまともな給料をもらって、良い生活をしようと思った時に何が必要か、何をしなければならないか―本書は、この「100万ドルの価値がある質問」に初めて真正面から答えを示した、アメリカのベストセラーである。
3つのことを考えないといけない。
1.「よその国、特に発展途上国にできること」は避ける
2.「コンピュータやロボットにできること」は避ける
3.「反復性のあること」も避ける。

著者のピンク氏は前書きにこう書いている。
・未来をリードするのは、何かを創造できる人や他人と共感できる人、パターン認識に優れた人、そして物事に意義を見出せる人である。

本書はそのための6つの重要な資質(デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがい)について考察し、様々な例を挙げて書いている。書いている内容はどれも面白く、ものによっては日々の仕事に取り入れられるものもあるかもしれない。
上記の「3つの避けること」に麻酔科医としての自分の仕事が当てはまらないか、また、そこから脱却するにはどうすればよいのかを考えるきっかけになった。
ASA PS1-2の患者の麻酔管理をマシーンのようにするだけの「麻酔屋さん」はそのうちにくいっぱぐれることは必至。いや、ぎりぎり私が現役のうちは何とか大丈夫かもしれない。だからと言って具合の悪い患者の麻酔が上手にできればいいかっていうのとも違う気がする。そもそも手術麻酔だけできればいいのか?臨床医として患者と1対1で向き合う麻酔科医であればそれだけで十分かもしれないのだが、それを目標にするだけでは不十分ではないか。100点満点の試験で60点を目指した対策できっかり60点を取るのは容易ではないのだ。

本文中に引用されていた文が印象的であった。
「遊びの逆は仕事ではない。抑鬱だ。遊びとは、自分の見通しが確実であると信じているかのように行動で表現し、意思を強く持ち、それに打ち込むことである。」(275頁)

回答は日々の仕事で模索し続けることになろうが、自分の麻酔科医としての目標の設定をどこにおけばよいかを再考するトリガーとなった書には違いない。

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