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2010年5月15日土曜日

甲状腺機能亢進症の麻酔

未だクリーゼに遭遇したことはないが。以下メモ書き。

・治療が不十分な状態にある患者が手術を受けた場合には、稀だが甲状腺クリーゼが起こる可能性あり
・術前診察では症状と、甲状腺ホルモン値を必ず測定
・予定手術では原則的に値が正常化してから行う。余裕がなければ専門医にコンサルトし無機ヨード、βブロッカー投与下に手術も検討。ただしリスクを患者と家族に十分説明。

@症状
・甲状腺腫大、眼球突出、発汗過多、体温上昇、やせ、体重減少、動悸、Af、振戦、いらいら、易疲労感、下痢
・クリーゼの症状は・・・頻脈、高体温、うっ血性心不全、脱水、ショック、高血糖
※悪性高熱症(MH)の症状に非常に似ている
※クリーゼ発症で死亡率20-30%

@甲状腺クリーゼの治療
・まず疑うことから。特に未治療の甲状腺機能亢進症の既往や緊急手術時には注意。
・管理目標:心拍出量増加と末梢血管抵抗の減少→高心拍出量性心不全で心血管系予備能が小さい→交感神経を賦活しないようにする(アトロピンは頻脈を起こすので投与しない、エフェドリンやドパミンも。使うならフェニレフリン)
・ルゴール液(ヨードとして5-50mgを胃管から)=甲状腺ホルモンの放出抑制
・コルチゾール(300mgを静注)=T4からT3への変換を抑制、ステロイドカバーとしても機能(クリーゼのときは副腎機能が相対的に低下するようだ)
・プロプラノロール:1mgの静注を繰り返す。血圧に影響与えたくなければランジオロール持続でも。
(甲状腺ホルモンの心血管系への影響を遮断。心筋のβ受容体感受性が亢進しているので。)
・ジギタリス:心不全を改善し徐脈に
・輸液:体温上昇と脱水に対処 
・術中よりも術後6-18時間に起こりやすい。術後鎮痛十分に。
・NSAIDsは甲状腺ホルモン結合蛋白(TBP)から甲状腺ホルモンを遊離させ、FT3とFT4を増加させる
・麻酔は効きにくくなる。
・吸入麻酔はMAC上昇、propfolも必要量増加。BIS貼って対応。

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