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2011年10月27日木曜日
(音) Pain Of Salvation の Road Salt One (2010年)とRoad Salt Two (Sweden, 2011年)
「Road Salt One」について書いた記事を。
私の人生の金字塔アルバムの「The Perfect Element Pt. 1」(2000年)と比べてはいけませんが、7作目のスタジオアルバムとなる本作「Road Salt One」は、過去の作品に比べたらプログレッシブ・メタルの要素は控え目で控え目で控え目で全然違うバンドなんじゃないか、という批判も飛んできそうです。そして本作は、多くのファンが離れて行ってしまうかも知れないほどの冒険となったに違いありません。バンドは自分たちの間口の広さやルーツをお披露目する意味でやっているのかも知れませんが。音像は、よりストレートなロックサウンド(70年代ロックへの憧憬と表現できそうな原始的なロック?)になっていますが、メタル耳の私にも十分楽しめる作品で安心しました。むしろ所謂70代ロックをロクに聴いたことが無い耳だからこそ楽しめるのかも知れませんが。
なんといっても1番のお気に入りは#3「Sisters」。暗く物悲しい鍵盤。無駄を排した曲構成。Daniel Gildenlöwの美声にうっとりできます。メタルバンドのバラードなんて…と思っている方には是非聴いていただきたいと思います。私的にはこの曲に出会えただけでも本作を手にとった甲斐がありました。
#6「Sleeping under the Stars」も非常に面白い曲。 1:15-1:30で奏でられるようなリリカルなギターの調べにグラっときます。
1. "No Way" 5:26
2. "She Likes to Hide" 2:57
3. "Sisters" 6:15
4. "Of Dust" 2:32
5. "Tell Me You Don't Know" 2:42
6. "Sleeping Under the Stars" 3:37
7. "Darkness of Mine" 4:15
8. "Linoleum" 4:55
9. "Curiosity" 3:33
10. "Where It Hurts" 4:51
11. "Road Salt" 3:02
12. "Innocence" 7:13
以上、2010年10月3日記載。
***
そして「Road Salt Two」です。
初期のプログレッシブ・メタルをなかったことにするかのようなロックサウンドへの方向転換があった前作「Road Salt One」(2010年)。音楽性が全くといっていい程変わってしまっても「Sisters」のような涙腺決壊バラードを作られてしまうと、私としてはフォローせざるを得ないのです。本作は8作目のスタジオアルバムです。
iTunes StoreにてLADY GAGAの「Born This Way」が1200円になっており、ちょっとだけ食指が動きました。けど、あちらさんを買う人は世の中に数百万人単位で存在するでしょうから、こちらさんを買うことにしました。
音楽の方向性は「Road Salt One」と一緒です。前情報通りでしたが、やっぱり何度聴いてもおんなじ方向です。プログレッシブメタルを聴きたい人はさぞかしがっかりするでしょう。
しかし、このアルバムからはヴォーリストでかつギタリストなDaniel Gildenlöwがやりたい様にやってる自由奔放さ、ある種恍惚的な世界を感じます。本作は最早メタルですらない。私にとってはDanielの極ウマなヴォーカルさえ聴ければいいのかも。
1回聴いただけでいいメロディとわかる、リスナーに優しい作りの#4、郷愁にかられる#8、曲後半の浮遊感が心地よい#13あたりが今のところのお気に入り。
1. "Road Salt Theme" 0:45
2. "Softly She Cries" 4:15
3. "Conditioned" 4:15
4. "Healing Now" 4:29
5. "To the Shoreline" 3:03
6. "Break Darling Break" (bonus track) 2:22
7. "Eleven" 6:55
8. "1979" 2:53
9. "Of Salt" (bonus track) 2:36
10. "The Deeper Cut" 6:10
11. "Mortar Grind" 5:46
12. "Through the Distance" 2:56
13. "The Physics of Gridlock" 8:43
14. "End Credits" 3:25
15. "Last Night"
16. "Thirty-Eight"
バンドメンバー
Daniel Gildenlöw - lead vocals, electric and acoustic and fretless guitars, bass guitar
Fredrik Hermansson - electric and acoustic pianos, organs, mellotron, other keyboards
Johan Hallgren - electric guitars → バンドから脱退が決まっているようです(10/21 official HPより)
Léo Margarit - drums
メタルのフィールドに、Daniel Gildenlöwはもう帰ってこないのでしょうか。個人的には帰ってこなくても彼自身が満足できるような、よいアルバムを作り続けてくれていればよいです。寂しいですが。それよりも心配なのが、誰をメインターゲットにこれからのアルバムを売るか、ということでしょうか。この路線のままでは、メタルリスナーはPain of Salvationのアルバムを購入しないでしょう。かといってロックファンが注目してくれるかというと・・・?商業的に困窮すれば作りたいものが作れなくなって、アルバイトで生計立てつつ音楽活動を…なんてことにもなりかねないのでは。それはそれで名盤を作る原動力になるのかもしれませんが。
時々「The Perfect Element part.1」や「Remedy Lane」みたいなオールドファンたちが喜ぶアルバムを作って、後は自分の趣味に走った実験的な作品をつくる…ってのが私としては嬉しいですが、まぁそんな簡単じゃないでしょう。
メタルファンからは酷評される、もしくは評価の対象外、もしくは買って聴かれることすらないアルバムになってしまったかもしれませんが、私としては、遠くから温かい目で見守っていきたいと思います。