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2011年10月18日火曜日

(音) 太平洋上で嬉しい誤算だったAS I LAY DYINGのThe Powerless Rise (US, 2010年)

アメリカのバンドが奏でるメタルがメロディアスじゃなかったのは、もう遠い昔…という逆説的な懐古主義に浸ることのできる1作。2001年から活動、本作はスタジオアルバム5作目。このバンドの作品は初めて聴きます。

ASAに向かう上空で、思いがけずその良さにハマってしまった一作です。

このバンドの音はメタルコア、というジャンル(メタル+ハードコア)に分類されるようです。ハードコアどころかメタルコアというジャンルの音を聴いたことが殆ど無いので、そのジャンルの中での本作の位置づけは私にはよく分かりません。なので、欧州のバンドの奏でるメロディックデスメタルに鍛えられた耳として本作を聴くしかありませんが、そんな私でも、殆ど努力することなく楽しめます。というか、かなり良い。破壊力抜群のヴォーカルと時折垣間見られるクリーンヴォイス(#4とか#8とか#9のサビとか)、随所でスリリングに聴かせるギターソロやわかりやすいリフの数々、ブラストビートから想像するに、メロディックデスメタル好きな人にも十分アピールする作品です。北欧バンドを凌駕するかの如き哭きフレーズを小出しに連発してくるのでぐいぐい惹きつけられます。もっともデスメタルやブラックメタルファンにとってはメロディアスすぎて、お子様向けな音に聴こえるかもしれませんが。
私的には、近年のChildren of BodomやSoilworkの作品より楽しめました。本作は、より聴きやすくなった「The Crown」という印象です。1曲1曲がコンパクトな長さなのもよい。即効性が高い分、時間の流れに耐えられるかどうか、が気になります(つまり百回単位のリスニングに耐えられるか、何年経っても飽きないかどうか)。
本作は専門誌でもバンドの最高作と評されているようです。これ以上のメロディはこのバンドには不要だと思います(この作品しか聴いていないくせに大変おこがましいですが)が、次作以降でもっともっとパワフルに我が道を突き進んで、メタルシーンの一角を牽引して欲しいと願います。

近々発表されるカヴァーアルバムにJudas PriestのThe Hellion ~ Electric Eyeが収録されているようなので、そちらもどんなアレンジになっているか楽しみ。

1. "Beyond Our Suffering" 2:50
2. "Anodyne Sea" 4:35
3. "Without Conclusion" 3:15
4. "Parallels" 4:57
5. "The Plague" 3:42
6. "Anger and Apathy" 4:26
7. "Condemned" 2:50
8. "Upside Down Kingdom" 4:00
9. "Vacancy" 4:27
10. "The Only Constant Is Change" 4:08
11. "The Blinding of False Light" 5:05               Total length: 44:15

色付けはあくまでも相対的に、ですが。