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2011年8月30日火曜日

(雑) 新聞を買わなくなって、早幾歳

一日中western blotと格闘。
考えうるあらゆるpitfallに落ちており、結果の解釈どころの話ではない。
でも、穴を一個ずつ埋めてやるしかない。

***
滅多に読まない毎日新聞の社説をウェブで読む。

「かいらい政権」という単語を発見。
新聞が国民の知的向上推進を放棄して久しいと私は感じていたが、漢字も読めなくていいらしい。
「傀儡政権」と書くことを、何時から新聞は放棄したのだろう。
難しい漢字を「ひらく」ような、低位の知的水準を標的とした新聞は、やがてなくなるだろう。

と主張するのは「私は、ちょっとばかし難しい漢字を読めるんだぜ」と高慢に振舞いたいからではない(傀儡、が読めても何の自慢にもならないし、そもそも調べれば分かるようなことを自慢げに語っても何の得もない。それに私はよく漢字変換を間違えるし)。

そうではなくて、新聞の主義・主張に目新しい視点がないことや、論理的破綻が数多あることには目を瞑るけれども(それらの主張に反論するトレーニングとして利用できる為)、漢字も読めないような国民を量産するおつもりなのか、ということをお伺いしたいのである。
漢字を「ひらく」ことが、新聞の購買層を広げるための商業的な戦略だとしたら、それは恐らく失敗だろう。
そもそも「漢字が難しいから新聞を読まない」という人は、最初から新聞を読まないだろう。「ニュースはYahoo!ニュースで十分じゃね?タダだし」と考える賢明な方々のうちの何%かはそのような方であろう。
だとすると、このような気の抜けた「かいらい政権」との表記は、誰の、如何なる要望に答えての対応なのか、または、誰に阿(おもね)っての事なのだろうか。
新聞を読む人は、読み書きのできる最低限の知的水準の持ち主であろうから、難しい漢字や意味のわからない単語を調べるくらいの知的好奇心を併せ持つと考えられる。少なくとも私は、意味の分からない単語に遭遇したら、それを調べる位のことはするだろう。新聞の主な読者は、私より一回りも二回りも上の世代の方々が中心であろうから、そのような方々に「かいらい」と書いて提示すれば、下手をすると「馬鹿にしてんのか」とお怒りを買う可能性すらあるだろう。

別の可能性を考えてみる。
もし、「難しい漢字があると小中学生が読めないから」という理由から、「かいらい」になったとすれば。
私は、余計に意気消沈してしまう。

「お父さん、この漢字なんて読むの?」
「それはね、傀儡(かいらい)と読むんだよ。操り人形ってことだよ」
「へぇ~」

という会話が繰り広げられる家庭はおそらく日本全国の家庭のうち、0.01%程度あればいい方だろうが、このような時に「かいらい」と書かれていれば

「お父さん、かいらいって何?」
「それはね、操り人形ってことだよ。○○が代表になっていたら、全部△△の言いなりになってたかもしれないってことだね」
「へぇ~、△△って人はすごいんだね!」

という会話は行われるかもしれないけれど、そこに

「傀儡」って何だかすげー漢字。こんな難しい漢字もあるんだ…。

というようなちょっとした驚きやわくわくした感情は生まれないだろう。
もしかしたらその小学生なりが「傀儡っていう漢字がなんだかカッコよくて、それで漢字ってすげーな、って子供心に思って、それで漢字ばっかり勉強して…今みたいな学者になりました」
という、知的再生産の葦の内の貴重な一本になる可能性を摘み取っている可能性がある。
まぁ、ただでさえ、親世代の新聞購読者が減少しているから、子供が新聞を読むなんて、相当稀なんだろうが。

書いていて改めて思ったが、新聞が発行部数を落としている1つの理由として、難しい漢字表記を「ひらく」ような知的水準の退廃に、嫌気が差してきている日本国民が増えてきていることがあるのではないだろうか。新聞社は、自らの知的向上の放棄による購買部数の低下を、「インターネットによって無料の情報を狩猟できるから売れなくてもしょうがないよね」という理論に甘えているのであろうか。

しかし、新聞社としての方針に従わざるをえない大人の事情があるとしても、新聞の紙面に文字を書くことを生業としている人にとって、難しい漢字を「ひらく」ことは面白いことではないだろうな…漢字が読めない首相、と時折、首相の白痴ぶりを新聞などのメディアは取り上げるけれども、逆に「漢字が書けない新聞」と言われたとしたら、それは恥ずかしいことではないのだろうか。

と、ぐだぐだと、これまでいろんな人が書いているだろうことを、ここで私が再掲してまで新聞を批判したのは、新聞には知的刺激装置としての機能を果たしていただきたいからである。
もしもそんな日が来たら、私はいずれかの新聞に、お金を払って、その活字を読み、紙の手触りを味わい、匂いすら嗅いでみたいと思う…が、生きているうちには恐らくそんな気分にはならないだろうな…。だってウェブ上で無料の情報が手に入ってしまうんだから。

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