ということですぐ思い出せるように記す。
LVAD挿入時の経食道心エコーでのチェック項目
1. 装着前
・卵円孔開存:カラーレンジ30-40cm/sにおとして観察
LVADが機能し始めるとLA圧はほぼゼロに→R-L shuntになり奇異性塞栓の危険あり
・AR: LVAD機能後にLVに血液逆流、ポンプの回転数増やしても全身への拍出増えない
左心不全患者ではLVEDPの上昇と拡張期血圧の低下のため、ARを過小評価する可能性あり
・MS: LVADへの血流が制限される
・MR:離脱の可能性や十分な容量負荷が必要になる症例であれば、中等度以上なら修復必要。
・心腔内血栓:左心耳とLV心尖は血栓が生じやすい
・大動脈アテローム
・RV機能障害:RVが動いているかとTRの程度.術前にmoderate TR以上なら右心不全の増悪因子になるので修復術するべき
4CのRV面積駆出率が20%以下であれば心肺後に右心不全を起こす可能性が高い
2. 挿入時
・脱血カニューラのポジション:心尖部中央かつMVから離れていること(4Cか2Cで確認)
・空気除去:装置内やカニュラ内にも空気あることあり。大量空気で必ず下行大動脈に空気見えるのでチェック。
3. 装置の駆動
・ RV機能評価
・ PFO
・ ARの有無
4. バイパス後
・ 低ポンプ流量の鑑別診断
・低容量:左室が十分減圧され、かつ完全に虚脱してなければ前負荷は適当。
・タンポナーデの有無、胸水の貯留の有無
・RV不全:TRの評価。右室拡大の程度、心房心室中隔の偏位。右心機能が低下していればLVADの前負荷低下とoutput減少につながるためnRVASも必要
・脱血管と送血管の閉塞:脱血管(心尖部のインレットカニューレ)は僧房弁から直線的であることを確認。アウトレットカニューレが適切に開口していることも確認。
・肺塞栓
・mCVP 10-15mmhg, sPAP 15-30mmHgを目標に管理
・CPB離脱時にはドパミン5γ程度、ノルアドレナリン0.1-0.5γ程度で昇圧。容量負荷をゆっくり行う
・PHに対してはPDE3阻害薬やNO吸入
・離脱後の尿量低下にはANP使用
・術後抗凝固warfarin 2.5-4程度
LVAD離脱可能かの判定
・へパリン300u/kgを投与して施行
・DOA,DOB10γ以下でsBP90<, CI 2.0L/min/m2以上の維持が可能か
・ポンプ停止15分で臨床症状の変化なし、TTEでLVDd55mm以下、LVEF40%以上
・右心カテーテル挿入下に心肺運動負荷試験を行う方法も
参考文献
・補助循環マスターポイント102(改訂2版). MEDICAL VIEW. 2009
・実践周術期経食道心エコーマニュアル. エルゼビア・ジャパン. 2006
・慢性心不全患者の麻酔. LiSA 2009年3月号
・周術期における補助循環. 臨床麻酔 2010年4月号 p.701-707