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2010年4月25日日曜日

Brugada症候群と麻酔

一般知識
・心電図でtype1-3に分類される。coved型とsaddle back型がある。coved型が危険.他にQTc延長、右脚ブロック波形、V1-3のST上昇
・ST上昇の程度は日内変動あり、副交感神経の緊張で増強。夜間に発作が起こりやすい。
・運動と発作は関係ない。
・男女比は9:1。男が多い。
・発症は40歳くらいに多い。
・18-30%程度の患者でSCN5Aという遺伝子異常がある(SCN5Aは心筋の細胞膜上のNaチャネルのαサブユニットをコードしている。3p21に存在)
・Naチャネルの異常で発症するといわれるが、原因はまだ不明である。

術前評価
◎問診チェック事項
・本人に関して:VTの既往、失神の有無、夜間の呼吸苦の有無、電気生理学的検査でVTやVFの誘発の有無
・家族に関して:45歳以下の突然死の有無、coved typeの心電図異常をもつ家族の有無
→いずれも無く、自然タイプ1でなければ経過観察。但し心事故が発生する可能性は常に念頭に置く

上記があれば・・・
・循環器内科医にコンサルト
・器質疾患除外のためにTTEとHolter ECGを行う

麻酔
・体外式除細動器を準備
・不整脈発生直前にはST上昇が著明になることがあるのでモニター
基本的なコンセプト―迷走神経優位にしない
・除脈や迷走神経反射を避ける
・過換気も避ける
・避けたほうがよい薬剤:1a, 1c群抗不整脈薬、βブロッカー、ネオスチグミン、エドロホニウム、Caチャネルブロッカー、アデノシン三リン酸、アセチルコリン
・ネオスチグミンは真のBrugadaには使用しないほうがよい。(過去の症例報告をみるとBrugada型心電図を呈するもの全てに禁忌ではないようだ)
・Ib(メキシレチンやリドカイン)は大丈夫
・セボフルランは大丈夫
・ブピバカインはリドカインに比べプルキンエ線維と心室筋の脱分極rapid phaseを著明に抑制する。持続投与でcoved型ST上昇を示した1例報告あり。(他の薬が使えるのなら使わないほうがよい?更なる研究が必要か?)

・過去の臨床研究(63人のBrugada症候群患者をfollowした研究)では
 ・βブロッカーやアミオダロン投与群ではsudden deathを防げなかった
 ・ICD挿入群には死亡例がなかった。
という点から、適応症例にICDを挿入するのがbetterではないかとされる。

参考文献
・Brugada症候群様心電図を呈する患者の術前評価と麻酔管理. 麻酔 2007; 56:1398-1403.
・Brugada Syndrome and Anesthetic Mangement. J Cardiothorac Vasc Anesth 2006 Jun;20(3):407-13.
・Brugada syndrome. UpToDate(2010年1月14日の抄読会Y先生の発表)
専門医から学ぶ不整脈の臨床 Brugada 症候群の最近の考え方(麻酔薬との関連を含めて). 日本臨床麻酔学会誌 31(5), 771-778, 2011-09-15 (2012年6月15日追記)                     

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