・他部位の外傷や病態をチェック
・挿管に関する項目:頭蓋底骨折(経鼻挿管・胃管は禁忌)、頚椎損傷、舌や口腔内の損傷(喉頭展開時に視野が不十分になるかも)
・循環に関する項目:骨盤、四肢骨折、不整脈
・呼吸に関する項目:血気胸、神経原生肺水腫(肺静脈圧上昇、肺毛細管の膜透過性増加、交感神経作用物質の大量流出が関与)
・二次性脳損傷(受傷後に進展する脳の損傷)を最小限にするため以下を避ける
・低酸素血症、低血圧(脳灌流圧は60-70mmHg以上を維持)、貧血、高または低CO2血症(目標はPaCO2でおよそ35mmHg)、高熱
・頭部外傷にステロイドの使用はエビデンス不十分、殆ど行わない
・バルビツレートとプロポフォールはCMRO2(脳酸素代謝率)を低下、脳血液量(CBV)を減少、ICPは低下。
・ケタミンは血圧上昇、ICP上昇するので使わない
・亜酸化窒素はCBF増加。過換気でも低下しないので使わない
麻酔
・導入:propofol+fentanyl or remifentanil and rocuronium
・誤嚥に要注意。換気するとしても頭高位にしてcricoid pressure下に低圧で。
・術前の胃のCTがあればチェックしておく。
・維持:propofol+remifentanil, 適宜fentanyl
・ICPが高いことを考えると術中のMAPは90mmHg以上程度を目標に
・開頭前に輸血が手元に来ていることを確認。開頭後の著明な低血圧に要注意
・循環血液量は低下しているので、術野をよく観察し輸血のタイミングを逸しない
・退室:抜管は術者と相談。
・挿管のままの場合は過度の血圧上昇に備えpropofolとnicardipineをシリンジポンプでお持ち帰り
参考文献:脳保護・脳蘇生(坂部武史編集、克誠堂出版)