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2011年7月13日水曜日

(音) X JAPANの2曲


今年になって発売されたバラードな「Scarlet Love Song」とロック/メタルな「JADE」を聴く。
まるでSymphony Xのようなイントロの「JADE」にゾクゾクするけれど、歌が始まると高揚感が徐々にフェードアウトし、サビに至る頃には意気消沈。

上手いのである。Toshiの歌声は、とてもきれいに録音されているし、演奏だって申し分ない(あくまで私のような素人耳には、であるけど)。
普通、作品によって何の感動も得られない場合には、わざわざここに記載しないことにしている。まして楽曲に対する不平不満を書こうとは思わない。

何が足りないのだろう。なぜのめりこめないのだろう。iTunes storeで数百人の人たちが☆☆☆☆☆(星五つ)を付けているのにも拘らず、私にはまるで響かなかった。

曲から渇望が感じられないのである。または、自分の精神が、これら楽曲から渇望が感じられない程度に澱んでいるか、どちらかである。

「Alive」や「Rose of Pain」や「Unfinished」や「I’ll kill you」や「Vanishing Love」を好む程度にはX JAPANのファンなのであるが。恐らく「Forever Love」だって、かの元総理よりは好きな筈である。

ざらざらとした衝動に満ちた10分超の大曲「Rose of Pain」 の後に聴くと、2曲とも、尚更、気の抜けたコーラのように感じてしまう。
しかし、100回以上は聴いている「Rose of Pain」と、まだ10数回しかこの耳を通過していない新曲を比べるのは公平でない。

どだい、同じバンドの楽曲間でも、新旧の楽曲を公平に比較するなんて不可能である。時間が経つに従って私自身の音楽的嗜好もちょびっとずつ変わっていく。また、過去に好きになった曲には、それぞれ、「その最もよく聴いていたとき」に体験した生活の色々や、大変だったあれやこれやの汗や涙があり、それらが「この曲はいいよね~」という感情を増幅させているのである。だから、新しく聴く曲というのは、その様な自分の汗や涙にまだそれほど塗(まみ)れていない分、評価はどうしたって低くなってしまう。新しい曲は、過去の名曲に対して、分が悪いのである。
だからもし、これらの「JADE」なり「Scarlet Love Song」なりを5年、10年後のふとした折に聴いて、「あぁ~麻酔科専門医試験の勉強のときによく聴いてたな~」とか「大学院1年目の訳がよく分からないときに聴いてたな~」としみじみ思い出せるトリガーになるようなら、恐らくその時にこそ、この2曲を語り評価するべき時なのかもしれない。ここにこうやって記録することすら、今は低いこれら2曲の私の評価を将来的に押し上げるかもしれない、ということを期待しつつ、しばらくはiPodの片隅に眠らせておこうと思う。