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2011年7月25日月曜日

(麻) 術直後のシバリング

びっくりしたことに専門医試験の日程が4日間になっている。K先生、情報ありがとう。

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「今更?」的な内容ではあるかもしれないが、たまーに遭遇するので、記しておこうと思う。

自験例では今年遭遇した4症例中3症例でペチジンが著効(つまり投与後数分でシバリングが目の前で改善した)だったので、やはりペチジンの効果はあるのだろう。因みに35mg/1Aを全例で投与したが、過鎮静は経験しなかった。「シバリング発生時の対応」への理解が、外回り看護師さんや執刀医にあると、シバリングが起きちゃったときに、とても対応しやすいということを改めて感じた7月22日の手術室でした。合併症のない患者さんでよかった…。

術直後のシバリングを経験するたびに、ASA-PS 3で中~高度の心肺合併症をもっている患者さんのときには、硬膜外麻酔にレミフェンタニルを併用するのを控えた方がよいのかな…と思ってしまう…がそのような高リスクの患者さんこそ効果消失の早いレミフェンタニルの出番のような気もするし。結局case by caseで対応するしかないのだろうか。術後シバリングの予測スコアリングシステムなど、どなたか開発してくださらないだろうか。

☆麻酔覚醒時のシバリングの原因として,
・疼痛刺激をはじめとするストレスによってシバリング閾値上昇
・麻酔薬が体温調節中枢を抑制し,術中に体温が低下すると体温を正常化させようと覚醒時にシバリングが起きる。
・体温調節中枢のセットポイントが手術侵襲によるサイトカインの影響などで上昇するため,術後は低体温になっていなくともシバリングが生じる。
・レミフェンタニルを使用した麻酔では,投与終了後にμ受容体作用部位での急激な濃度低下が起こり,シバリング閾値が低下する。

☆有用性がありそうな対策と起こった場合の対応
・術中に体温を下げない、アミノ酸製剤輸液、マグネシウム投与
・温風式加温装置
・高用量レミフェンタニルを控える(?)
・酸素投与量を増やし、冠虚血や末梢酸素供給低下を避ける
・transitional opioidをしっかり投与しておく
・NSAIDs
・ペチジン(0.5-1.0mg/kg程度):他のオピオイド受容体(R)に作用する薬物に比較して抗シバリング効果が強く,抗シバリング効果に対するκ受容体の関与が推測。
・デクスメデトミジン(α2アドレナリンR作動薬)。疼痛にかかわるノルアドレナリン核(青斑核)が,α2アドレナリンRにより活性が調節されるため,抗シバリング作用を有する。
・落ち着くまで降圧薬とβR遮断薬を持続投与
・トラマドール
・ケタミン(?)

☆以下麻酔科専門医認定筆記試験より
・シバリングは酸素消費量を500%も増加する場合あり 48B22他
・全ての麻酔薬は用量依存性に…
 ・発汗閾値を僅かに上昇
 ・血管収縮閾値やシバリング閾値を著明に低下:両者の低下には平行関係あり。
  (発汗閾値との差は用量依存性に開大していく Miller 7th p1536 Fig48-3)
・シバリングは新生児では起こらない(おそらく幼児以降)
・体温低下で吸入麻酔薬の組織への溶解度↑
・体温低下でMACは約5%/℃の割合で↓
参考した論文やweb
・レミフェンタニル投与終了後に重篤なシバリングを認めた気管形成術の1症例. 麻酔 2010; 59:504-6.
・レミフェンタニル麻酔の効用と副作用対策. 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 29 (2009) , No. 4 455-466.
・AP通信 http://blog.conoco.jp/?p=711
・Effects of magnesium sulphate on intraoperative anaesthetic requirements and postoperative analgesia in gynaecology patients receiving total intravenous anaesthesia. Br J Anaesth. 2008 Mar;100(3):397-403.
・Optimum dose of ketamine for prevention of postanesthetic shivering; a randomized double-blind placebo-controlled clinical trial. Acta Anaesthesiol Belg. 2011;62(1):33-6. (abstructのみ)
→ Prophylactic 0.25 and 0.5 mg/kg ketamine was found to be effective in preventing postanesthetic shivering with a better response observed with 0.25 mg/kg dosage.
・Intraoperative high-dose remifentanil increases post-anaesthetic shivering. Br. J. Anaesth. (2010) 105 (2): 162-167.

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