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2011年7月17日日曜日

(音) CRUSH!-90’s V-Rock best hit cover songs-

タイトル通りに90年代ビジュアルロックのカヴァーを、現在活躍中のバンドたちが行ったもの。
すでにこれら「カバー曲」を「カバーしているバンド」よりも、カバーされている方(原曲の方)がよく知っているくらいに生きてきたのか、というごくごく平凡な考えがまず一に頭を擡(もた)げた。カバーバンドの中では、NoGoDとMERRYしか知りませんでした。

しかし、best hit cover songsと銘打っているが、このアルバムの収録曲自体、日本人1億2000万人ちょっとに対してアンケートを実施すると
category 1:「お、すっげ~なっつかし~あれもこれも入ってるじゃん!」と目頭を熱く熱くする5%以下の人
category 2:「は???、全然しらねーよ」という40%くらいの人
category 3:「Melty Loveと紅と、Winter, Againとロマンスくらいは知ってるけど、、、」という収録曲の1‐4曲くらい聴いたことがある、普通のJ-POP好きな55%くらいの人(妻はここに属する)
category 4:「『紅』は1989年だろ、90'に入んねーだろ」という1%以下の神経質な人
という風に大きく分かれるのではないかと妄想する。

カヴァー曲の真骨頂は「お、この曲かっこいー!原曲も聴いてみたい」と思わせて原曲に食指を向かせ、「あ、あれ?なんだこんな曲だったのか、カヴァーの方がかっこいーじゃん」と思わせることだと思う。

私的にはカヴァーするならこれくらいやってもらいたいな…というレベルはこれ。
・Sonata Arctica の Still Loving You(原曲はScorpions)
・Cradle of Filth の Hallowed Be Thy Name (原曲はIron Maiden)

カヴァーアルバムは、音楽でご飯を食べている自分たちのルーツの一部を、我儘なファンに対して「畏れ多いかもしれませぬが…」と提示して評価を仰いだり、カヴァー曲を入り口として「お、このバンド、今まで知らなかったけどいいじゃん!」と新しいファン層を開拓したり、バンド自身のちょっとした息抜きと遊びだったりと、結構いろんな役割を果たしていて忙しい。

そして聴いたみた。
意外に、というか、割と原曲に忠実なものが多い。企画としてはいいんだけどな…。
#13はうまく自分たちの曲にしていて流石の出来(このアルバムの中では選曲も1番マニアックだし)。#5はロックテイストが濃くなっているが、どうせならもっとゴリゴリのギターにして合間に意味なくアルペジオな早引きギターソロを入れてみたり、ヴォーカルにグロウルを入れてみたりして遊んでもらいたかったと思う。

()内はオリジナルアーティスト。 / カバー担当アーティスト
1. ピンクスパイダー(hide) / heidi.
2. 街(SOPHIA) / ドレミ團 
3. Melty Love(SHAZNA) / BugLug 
4. 1/3の純情な感情(SIAM SHADE) / NoGoD 
5. 月下の夜想曲(MALICE MIZER) / D
6. STORM(LUNA SEA) / 少女-ロリヰタ-23区
7. 紅(X JAPAN) / 摩天楼オペラ
8. With-you(La'cryma Christi) / DaizyStripper
9. Winter,again(GLAY) / 12012
10. ロマンス(PENICILLIN) / アンド
11. S.O.Sロマンティック(CASCADE) / Mix Speaker's,Inc.
12. ENDLESS LOVE(D-SHADE) / LOST ASH
13. Schweinの椅子(DIR EN GREY) / MERRY
14. JUPITER(BUCK-TICK) / DuelJewel
15. 夢より素敵な(Raphael) / DOG inTheパラレルワールドオーケストラ

アルバムのタイトルが「Best Hit」と銘打っている以上、仕方ないのかもしれないが、GLAYを入れる必要はあまりないと思う。彼らがビジュアル系とカテゴライズされていたのは結構初期の方だったような。
そして制作会社の意向が強いのかもしれないけれど、個性的なビジュアルで活動しているバンドたちの割には選曲が普通すぎるような。
どうせなら、割と知名度が高い上記の選曲より、もうちょっとマニアックな選曲の方が、このアルバムを手に取る人たちにとっては高評価だったように思うのは、私だけか。やや音楽的な毛色が異なるCASCADEをROUAGEに、BUCK-TICKをPIERROTにして、おんなじバンドの曲を歌ってもらうとしたら。

1. BACTERIA / hide
2. littele cloud / SOPHIA
3. すみれSeptember Love / SHAZNA
4. Don't tell lies / SIAM SHADE 
5. バロック / MALICE MIZER
6. LAMENTABLE / LUNA SEA 
7. SCARS / X JAPAN
8. Lhasa(unplugged) / La'cryma Christi 
9. 月に祈る / GLAY
10. 言葉にならない愛 / PENICILLIN
11. 食物連鎖 / ROUAGE
12. ALONE / D-SHADE
13. raison detre / DIR EN GREY
14. 脳内モルヒネ / PIERROT
15. 花咲く命ある限り / Raphael 

こんなカバーアルバムなら、iTunes Storeで見つけた途端に「アルバムを購入」ボタンをクリックしてしまうけど。あぁ、でも全然Best Hitじゃないな、これじゃ・・・。
次作があるのならば、是非Janne Da Arcの「Judgement -死神のkiss-」やLaputaの「freesia」やFANATIC CRISISの「火の鳥」やMASCHERAの「ekou」や雫…の「Manual of Sucide~夢を忘れた遺伝子達~」とかLareineの「冬東京」も取り上げてもらいたい。
まぁ、それはともかく、これらカヴァー曲を聴いて、原曲にあたって「こんないい曲があったんだ~」と感動する10‐20代前半の人が、1人でも多いといいなぁと思ってしまう三十路男なのであった。