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2011年7月9日土曜日

(音) DIR EN GREY - UROBOROS (2008年, 日本)

もうすぐ8作目が発売されるので、改めて全編通して聴いてみた。

まだ彼らが「ビジュアル系バンド」とカテゴライズされていた頃。
1997年発表のインディース時代のミニアルバム「MISSA」の「GARDEN」は大好きな曲だった(今聴くと結構恥ずかしい)。

その後メジャーデビューし、アルバムを発表するごとに、気になる存在ではあったが、熱心にアルバムを聴きこむこともなくなってきていた。
どちらかといえば「ファンというのもおこがましいような状態」が7-8年続いていただろうか。

そんな私の胡散霧消しかかっていた彼らへの興味を一気に引き戻してあまりあるパワーに満ち溢れていたのが、7作目となる「UROBOROS」だった。

1-2. SA BIR ~ VINUSHKA
3. RED SOIL
4. 慟哭と去りぬ
5. 蜷局
6. GLASS SKIN
7. STUCK MAN
8. 冷血なりせば
9. 我、闇とて…
10. BUGABOO
11. 凱歌、沈黙が眠る頃
12. DOZING GREEN
13. INCONVENIENT IDEAL

balladな#6, #9, #13が押し並べて凄まじい扇情力をもっているというだけでも全く奇跡なのだが、本作はメタル耳のリスナーを喜ばせるようなheavy sideの曲においても、叙情性を全く失っていないことが誠に奇跡なのである。

私ごとき凡夫の陳腐な言葉では到底語りつくせない音の数々。適当に曲をパッケージして、「はいアルバム1枚できました、10曲くらいあれば3000円くらい取ってもいいでしょ、買ってね!」というようなアルバム(があるのかないのかは知らないし、どんなアルバムだって製作者はすご~く苦労して生み出しているのだろうけれど)の対極に位置するのが、この作品である。曲順も完璧に練られており(少なくとも私程度のファンにでもそう思わせるくらいに)、どの曲もこの場所にしか嵌らないだろう、ってな具合。例えばiTunesのプレイリストに自分のお気に入りのアーティストたちにお気に入りの曲だけをパッケージングしようと試みたときに、「VINUSHKA大好きだから入れよ」としたら、その後には「RED SOIL」も「慟哭と去りぬ」も付いてきて・・・あらあら「INCOVENIENT IDEAL」まで並べて入れちゃったよ…と「UROBOLOS」収録曲以外のどんな曲も割り込んではいけないような気分にさせられる。

インスト曲「SA BIR」に導かれて始まる9分37秒の一大絵巻「VINUSHKA」を作品の頭に置くあたりに、「ついて来れるんならついてきな」と自分たちが構築した世界観への絶対的な自信を感じる。というのもとっても好印象である。

ということで竹林ジャケットな8作目「DUM SPIRO SPERO」への期待が否が応にも高まって仕方ないけれど、それが例え「UROBOLOS」を超える感動を私に齎(もたら)してくれなかったとしても、私はほんの壱厘も落胆しないだろう。なぜならもう地球のロック/メタル史上に燦然と輝く名盤を彼らが作ってしまったからである。