◎人工弁の種類
○機械弁
AV位は19-23mm、MV位は27-31mmが多い。
・機械弁は二葉弁(SJM弁など)が主流。tilting valveやball cage valveは少ない
・耐久20年
・フローのうちの10%が生理的逆流。(逆流量Carbomedics弁 > SJM弁 )
①弁葉閉鎖のためのバックフローと、②閉鎖後のリーク
②は弁上流の血流鬱滞と血栓形成を防止する役割。
・二葉弁の装着方向
MV位…ディスクがnarativeの弁尖と
①直行するantianatomical configuration と
②平行なanatomical~ がある。
よくおこなわれるのは①。ディスクによるLVOTOが起きにくい。
AV位…2枚のディスクがMV前尖と
①平行するparallel configuration と
②直行するperpendicular configuration がある。
②がよく用いられる。なぜ??
○ステント付き生体弁
・SVD(structural valvular deterioration)による耐久性(12-15年)の問題あり。
・MV位では5年後から、AV位では8年後から。弁閉鎖時にMV位の方が高圧がかかるので早い。
・置換時の年齢が低いほどSVDのリスク高い。
・三尖弁は低圧のためSVDは問題にならない。むしろ血流遅く機械弁だと血栓できる。
○ステントレス生体弁
・大きな有効弁口面積が得られる。
・SVDの発生はステント付き生体弁とほぼ同様。
・ステント付き生体弁より縫着が難しい。
・nativeの冠動脈を残して大動脈基部内に挿入するsubcoronary法による
大動脈弁置換術が多くおこなわれている。
○ホモグラフト
・心臓死ドナーから。
・抗感染性と抗血栓性に優れる。
○その他
・透析患者ではカルシウム代謝異常のため生体弁は原則禁忌。
◎TEEによる人工弁評価
1.弁輪内逆流transvalvular leakage
・生理的逆流ジェットは①短く細く②持続時間が短く③対称(二葉機械弁)④層流で速度遅い
・機械弁で弁輪内逆流が見られる時は二葉弁の一方のスタックが原因であることが多い。
・ステント付き生体弁では通常は人工弁内の逆流は認められない。
25mm<の弁ではちょっとあるかも
・ステント付き生体弁の弁輪内逆流は基本的に再ポンプでの修復が必要
2.弁周囲逆流perivalvular leakage
・弁置換後の術中発見20%程度との報告あり
・リスクは①高齢 ②BSAが小さいこと ③弁変性疾患 ④生体弁による置換
・特に冠動脈開口部やRCCとNCCの間のHis束が走行する部位では、
石灰化病変の取り残しが起きやすく、縫合時に組織に深く糸をかけられないためリークの原因となることがある。
・CPB離脱時の小さな弁周囲逆流の多くはプロタミン投与後に消失する。
・ジェット幅が4mm以上の中等度以上の逆流や溶血の危険性が高い逆流の場合は、リスクを考慮してやり直す場合も。
◎血流速度、圧較差
・MV位では最大圧較差は10mmHg、AV位では20-30mmHg程度存在。
・最大血流速度はMV位で2m/sec以下、AV位で3.5m/sec以下であることを確認する。
・二葉機械弁では、中心血流は周辺より速いので注意。
特にAV位の二葉弁ではpressure recoveryが起こり、過大評価してしまう。
・連続の式を用いたEOAの計算はCOに依存しない。
・AV位ではLVOT血流と経人工弁血流の速度比(DVI;Doppler velocity index。正常値は0.35-0.5)を計算することも。
注:configuration;配置、形状、構造
こんなに真剣に勉強するのは大学受験以来かもしれないと今日この頃。