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2008年9月27日土曜日

ポッターメモ10

心臓腫瘍のまとめ

・続発性腫瘍(心筋・心外膜への遠隔転移または近接臓器からの直接浸潤)が原発性の6-40倍多い。
・原発性腫瘍の75%は良性。

◎良性腫瘍
1.粘液腫myxoma
・心臓腫瘍の約30%。成人の原発性良性腫瘍の50%。
・男女比は1:2で女性に多い。
・30-60歳に多く、平均50歳。
・発生部位は左房(75%)、右房(15%)、左室、右室。まれにAVやMVからも。
・平均5-6cm
・5%は多発性
・エコー輝度は一定しない。出血は低エコー、石灰化は高エコー。
・LA粘液腫は通常有茎性で心房中隔に付着しているが、左房後壁のことも。
・LA粘液腫の臨床上の特徴は
  ①全身症状(発熱筋肉痛関節痛)②心内腔閉塞(MS様)③全身塞栓症(30%)
・術後の再発率は1―3%
<<家族性粘液腫>>
・粘液腫の10%。平均20歳発症。多発性が多い。術後再発率10-20%と高い。
・皮膚色素沈着や内分泌異常があるとCarney complexと呼ばれる。

2.乳頭状線維弾性腫papillary fibroelastoma
・成人原発性良性腫瘍で2番目に多い。
・心臓腫瘍のうち10%。
・弁組織から発生する腫瘍では最も一般的。
・比較的高齢者に多い。
・男女差はない。
・AVが最多。次はMV。
・腫瘍の付着部位は弁および弁近傍の心内膜。 TVや乳頭筋、腱索、心房にも発生。 ・有茎性のことが多い。羊歯状またはsea anemone(イソギンチャク様)と言われる。
・通常1cm程度と小さい。
・可動性を有することが多い。血栓がついて塞栓症を起こすことも。
・可動性があれば手術が勧められる。 術後の予後は良好。
・ランブル疣贅やストランドと組織学的には同様の所見を示す。

3.脂肪腫lipoma
・心臓腫瘍の10%
・好発年齢や男女差はない。
・好発部位は左室、右房、心房中隔だがどこにでもできる。
・心内膜下(50%)、心外膜下(25%)、心筋内(25%)
・ほとんど無茎性でポリープ状。
・大きさは1-15cm、最大4.8kg
・エコー輝度は高く、均一。
・増大傾向があれば手術も。
 *lipomatous hypertrophy は脂肪浸潤により心房中隔が肥厚する過誤腫である。肥満高齢女性に比較的多い。

4.横紋筋腫rhabdomyoma
・小児原発性良性腫瘍で最多。
・1歳未満の診断が多く、成人発症は非常にまれ。
・80%の患者は結節性硬化症を合併。
・好発部位は左室、右室、心室中隔。
・ほとんど多発性。1/3の症例では心房にも腫瘍あり。
・エコー輝度は高く、比較的均一。
・大きさは0.2cm-2cm
・場所により症状異なる。
・半分以上では成長に伴い縮小していく。症状なければ手術適応なし。

5.線維腫fibroma
・小児原発性腫瘍で2番目に多い。
・男女差なし。1/3は1歳以下で発見される。
・典型的には左室壁や心室中隔にエコー輝度の均一な円形の塊として描出される。
・大きさは3cm-10cm
・25%で石灰化。
・14%で突然死 → 致死性不整脈の危険性があるので手術が勧められる。

6.血管腫hemangioma
・非常にまれ
・心筋内や中隔内または房室結節に発生し、房室ブロックや突然死の原因となる
・大きさは2cm-4cm

7.血液嚢腫
・きわめてまれ
・50%は新生児期、生後6カ月には消失することが多い
・好発部位はMV.TV。まれに右房壁
・予後良好

◎悪性心臓腫瘍
・原発性悪性心臓腫瘍は0.007%。そのうち95%は肉腫。5%はリンパ腫。

・横紋筋腫と線維肉腫はどこでもできる。血管肉腫は右房内が多い。