どこかで見たことがある名前の著者だと思って本の背表紙のプロフィールを見たら、それもその筈でした。何と失礼な私。
本書は、全ての「思いが通じ合っていないなぁ」と考える医師、患者双方におすすめできる本。
・我が国の文化はコンシューマリズムが定着するほどには成熟していないことである。(p57)
に代表されるように、多くのコミュニケーション不全は、患者側が、「レストランやホテル等のサービス業と同列に医療が提供されるべき」と考えていることや、「正しい診断や検査がなされてしかるべき」とか「何かミスがあったら訴えてやろうかな」と心のどこかでちょぴっとでも思いながら医療を受けていることから始まる。そして、勿論患者側だけの問題ではない。医師側は「自分が医療知識をもたない患者だった頃の自分」をすっかり忘れて、噛み砕いて分かりやすいような言葉を使っているふりをしながら、インフォームドコンセント用紙に検査や治療への同意のサインを患者さんにもらうことを至上の目的としている。目の前の患者が何を求めて、どういう人生の物語の途中で、診察室の自分の目の前に座っているかを忘れてしまっているのだ。
お互いの想像力が極めて限定的であること、医療の進歩のため、相手の立ち位置がもはや想像不可能なところまで広がっている。laborとconsumerに成り下がった医師と患者が読むと、お互いの立ち位置が確認できて有用だろう。
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上記著作とは全く関係ないが、以下は自分への戒めとして心に刻んでおこう。誰の発言かは分かると思いますので。発言者が発言者だけにジョークとしか思えないけど。
人間、嘘をついてはいけません。私どもはお辞めになって頂きたいと、そのことでの確認事項としての要件を申し上げた。(菅総理は)それで結構だと。その後、執行部がまた嘘をつくようなことを平然と行うようなことであれば、また対応が変わってくる可能性はあります。 (テレ朝news 06/02 17:54より)