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2011年4月8日金曜日

(麻) AKI-CPB

研究室からの帰りの電車で「Cardiopulmonary Bypass–associated Acute Kidney Injury」(Anesthesiology 2011; 114: 964–70)を読む。論文を読むとき、私はどこの誰が書いたか気になるので、著者の所属をまず最初に確認するのだが、「Iowa」と書かれている。アイオワといえばマスク集団の「Slipknot」である。名曲「People = Shit」を大音量で聴きながら読んでみると、


・術前の血清Cr値上昇が今のところ1番重要なAKI-CPBの予測因子。Crが2.0-4.0mg/dlだと10-20%、Cr>4.0mg/dlだと25%が透析を必要とする。
・AKI-CPBの危険因子
 ・患者:高齢、女性、術前腎機能障害、EF<40%、緊急手術、糖尿病
 ・手術:CPB中の血液希釈(Hb 7g/dL, Ht21-24%は最低でも保つべき)、IABP使用、
      弁手術または弁+CABG、長時間CPB(何時間以上が危険かはまだはっきりしていない)
・CPB中の血圧は50-70mmHg程度の施設が多いだろうが、いくつなら腎機能に傷害が起こらないのかは分かっていない
・ANPやNesiritideは腎保護によいかもしれないが、まだデータ不十分。
・予防的RRT(renal replacement therapy)は将来的に有用な選択肢かも。大規模臨床試験によって得られたデータから施行を標準化できるようになれば。
・NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)はAKI-CPBの早期診断に有望かも。


まぁ知識として知っている内容も多いのだが、レジデントに聞かれたときに「むむ、それは分からん」と思ったことが文献的にも「まだデータが不足している」と書かれていると安心できる。ってことがよくある。そういうところから研究のテーマって生まれるんだろうけど。

***
再び麻酔の日当直である。

当直先で運よく当直室でまったりすることが出来たときに、音楽が聴きたくなる(夜中に呼ばれるときのために早く寝ろよという意見もある)。
しかし当直用PHSが鳴ったら迅速に対応しなきゃならないので、イヤホンで音楽は聴けない。ノイズキャンセリングヘッドフォンなどもってのほか(持ってないけど)。というわけで携帯できるスピーカを購入。購入したのはTDKのXa-3602。それなりの大音量でも音割れしない。当直室で聴くにはまぁ十分かも。それほど重くないし。学会のお供にも使えそうである。麻酔を5件担当した後に聴く「Silent Scream of Godless Elegy」の「Pramen, co vi」はまた味わい深いものがある。
1週間ぶりの麻酔。2回目の勤務。手術室の雰囲気に慣れた気がするという錯覚からか、アウェー感が大分減って楽しく麻酔をかけることが出来た。これまでの数年間では、「麻酔一週間ぶり」っていうのは夏休みのときくらいだった。これからは毎回夏休み明けのような緊張感で麻酔をするのか。その適度な緊張感が、わたしの麻酔手技や感を鈍らせずに、注意深く麻酔をする方向に働くのは間違いない。上達が見られるのかは不明だけれど、これは意識次第だろう。研究メインの生活が始まったからと言って、それを麻酔技術の低下の言い訳にはしたくない(といっても多分下がるだろうが、未来のことを心配しすぎても仕方ない)。