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2010年9月25日土曜日

(麻)ペースメーカー(PM)メモ

@レントゲンでのデバイスの判別
 ・ICDやCRT-Dでは「除細動コイル」という「太い構造物」が二箇所あるはずなので、外科医の「ペースメーカーが入っています」を妄信せずに自分の目でレントゲンを確認する。(特に緊急手術の時には)
・CRTには「LVリード」がある筈なので左室内に行く導線の有無をチェックする。

@電気メスの影響
・極性 
1.Unipolar - 主に切開・凝固に使用 
2.bipolar - 主に止血・凝固に使用。生体内に電流が流れることは殆どない。電磁干渉は起こりにくい。凝固部位がジェネレータに近接していると、ジェネレータ損傷につながる恐れあり。
・影響
1.プログラムされる
(PMのプログラムがリセットされる可能性、バックアップモードに切り替わる可能性。)
2.ジェネレータに対する永久的な損傷が生じる
(直接電流が流れ込むことによる)
3.ジェネレータの抑制が起こる
(心臓が動いているものとPMが認識して、デマンド機能が働き、必要なペーシングを抑制してしまう可能性)
4.ノイズモード、初期設定に変更になる
(ノイズが連続した場合に、自己予防のための防御機能が働いて、VOOモードなどの固定モードに切替る)
5.心筋に影響を及ぼす
(リードを通して心臓内に電流が流れ、二次的に心筋が温熱刺激を受ける。これによって心筋梗塞やVFが生じる)
6.ICDが作働する

@安全対策
・術前
1.植え込み要因となった原因疾患の把握
2.PM依存度チェック。ECGやプログラマーによるペーシング率レポート等
3.術前の設定条件
4.抗不整脈薬の内服やその他の内服
5.ペーシング、センシング極性の確認
6.手術部位(頚部や胸部は影響が出やすい→電メスの使用は最低限に。連続使用を避ける。止血はbipolarを用いるほうが良い。対極板張る位置注意。腹部や下肢では、電メスと対極板がジェネレータと交わらなければ問題ないとされる。)
・術中
ユニポーラ使用時には・・・
1.対極板をしっかりはる
2.体外式除細動器のパッド装着(貼る部位はリード線を挟まないように心臓の腹側と背側に貼るのも一法)
3.モニタ(パルスオキシメータや動脈圧ラインなど)
4.設定変更:VOO or AOOモード、ICDの作働をoffにする
~設定のいろいろ~
・基礎疾患が房室ブロックでPM依存の場合:VOOモードが最も用いられる。VOOモードでは自己脈と競合し、spike on TからVFを招くことが懸念される。(実際は稀らしい。普段の脈が徐脈で殆どPMリズムならこの設定でよいと考える)
・SSSで房室伝導障害がない場合:AOOモードが推奨される。自己脈より20-30bpm高めの固定レートに設定する。
・自己心室脈が徐脈の場合:2倍程度の心拍数を目安にした固定レート
・自己心室脈が正常範囲内の場合:自己心室脈より20-30bpm程度高めの固定レート
5.ジェネレータから最低15cm離れた部分で電気メスを使用することが勧められている
6.術後にPMチェック

@ICDの設定:VF/VTの検出機能をoffにする。術中にVF/VTが起きた場合にマニュアル操作でICDが作働できるようにしておく(プログラマーに待機してもらう)。体外式パッドを準備しておく(パッドはジェネレータと10cm以上離して貼る。心臓を挟み込むように前後に貼ることが推奨されている)。

@緊急手術時の対策:プログラマーに可能な限り立ち会ってもらう。ジェネレータ植え込み部直上にマグネットを置くとVOOやDOOなどの非同期モード(比較的高い固定レート-マグネットモード)にすることができる。

@基本
ペースメーカーコード
・第1文字:ペーシング(刺激)位置
・第2文字:センシング(検出)位置
・第3文字:モード(制御様式)
・第4文字:心拍応答
・第5文字:multiple pacing

@過去問から 47C33-34
・右乳がん手術時に右前腕に対極板を貼る
・脱分極性筋弛緩薬投与で筋線維束攣縮→心室のオーバーセンシングをもたらし、PM抑制生じた報告あり。SCCは避けた方がよい。
・ECGモニターのフィルターは解除する(PMによる刺激の有無を判断するために)
・パルスオキシメーターがPMに電磁干渉を及ぼすことはない
・神経刺激装置はPMのオーバーセンシングを生じる可能性あり。避けた方が無難。

9月21日の勉強会に参加できなかったので、理解は未だに不十分な気がしてならない。