風邪がようやく峠を越えてきたような気がする。気合いを入れて朝4時半に起きたものの、担当だった朝一の予定手術は延期になってしまった・・・。
***
2010年発表。デンマーク。
guitar, bass, keyboards, mandolinを演奏する(と書いてあるが、メインはギター)Erik Ravn率いるバンドの5作目。気がつけばこの4日間、このアルバムばかり聴いている。
漆黒の海に全壊寸前の帆船が沈みがちに横たわる美麗なアートワークの中に包まれている楽曲群は、情熱的な北欧民族音楽(アイリッシュ&ケルティックと表現するのが正しいのか?)が疾走するメロディにのせ、Nils Patrik Johanssonが変幻自在に熱唱するというWuthering Heightsにはお馴染みの世界。彼がvocalをつとめるようになった3,4作目から基本的な路線は変更されておらず、本作でもメタルでしか描き得ない大仰な世界が広がっている。今作の特徴として感じたのは”陽気なバイキング色”が強まっているところ。KolpiklaaniやFinntrollといったバンドの音楽性にも若干通ずるものがあるような印象である。
典型的なWuthering Heights節のスピードメタル曲#1~#2に始まり、アコーディオンがツボをついて乱舞し大海原に向かって船出せんかの勢いがある気持ちいい名曲#3、穏やかな前半から後半にギターソロが疾走しまくるコーラス部が印象的なこれまた名曲な#4。比較的スローな#5, 6を挟んで、スローと思いきや2:50~あたりから徐々に疾走しまくる#7と牧歌的な佳曲#8を挟んで、バンド史上一番長い16分38秒の長尺#9は一大叙事詩のような作品に仕上がっている。バンドのプログレッシブメタルサイドを前面に押し出してみたのかもしれないが、16分長と言う時間を感じさせない曲調になっている。そんな中でも長い暗闇から抜けるかのように9:07~10:09で一気にメロディアスになるところはこの曲の、いやアルバム全体を通してのハイライト。ということで全9曲それぞれに利き所満載。非常に暑苦しくも繊細にも歌い上げる稀代のvocalistがいればこその名盤。
日本版ボーナストラックはUriah Heepの10作目"Firefly"から"Sympathey"という叙情的な旋律を持った曲。原曲を聴きたくなる魅力に溢れたアレンジ。
最近は欲しいと思ったアルバムがあってもしばらく買わずに粘ることが多い。中には数年来買おうか未だに迷っているものさえある。そんな中にあってこのWuthering Heightsというバンドの作り出す音楽は、新譜が出たら聴かずにいられないほどの特別な魅力を放ち続けている。