日曜夜の当直で久しぶりに大当たり(septic shockとStanford A。ともにASA-PS 4E症例)してからというもの、体調が思わしくない。
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本の内容を見ながらパソコンに打ち込もうとすると本が閉じてしまいイライラする。
「Reading Hacks!」という本の中で紹介されていたのだが、このイライラを解消するために「トモエそろばん」というお店からブックストッパーを購入した。
http://www.soroban.com/japanese/shopping/?ca2=5
これを2つ買い、本を両側から挟むと非常に快適である。
いろんな本で試してみたが、「心臓手術の周術期管理―MEDSi」の厚さは使用可能。「小児麻酔マニュアル―克誠堂出版」は不可能であった。「Miller麻酔科学」は挟む必要がないと思い試していない。ブックストッパーは私に欠かせなくなり、殆ど常に鞄の奥底に入れて持ち歩いてしまっている。
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久しぶりにTUR-Pの麻酔を担当した。
脊麻が効いていれば特にすることはない麻酔といえばそうなのだが、こんな症例報告を見るとやはり恐ろしい。
http://kansai.anesth.or.jp/kako/rinma18/hypnos.m.ehime-u.ac.jp/rinma18/absJSCA/abstruct/0607.html
ウロマチックS(3% D-ソルビトール、浸透圧170mOsm/kgH2O)は血管内に吸収されるとソルビトールによる浸透圧維持のため、実際の血漿浸透圧は血漿Na値などにより求めた計算上の浸透圧より高い(Osmolal gapというらしい。正常は5~10mOsm/L以下だが、TUR後には30-60mOsm/L以上に開大することも)。よってTUR術中には急速に起こる低Na血症にも関わらず、水分の細胞内(特にCNS)への移行は見かけより少なく、症状発現も制限される。(「周術期輸液の最前線」―真興交易 より)
・Na濃度と浸透圧は平行しないので、血漿浸透圧を実測したほうがよい
・低血圧や精神症状では低Na血症より出血多量を疑う
そうは言っても脊麻でTh4まで上がってしまっては膀胱穿孔時の腹膜刺激症状も分からないし、低血圧も脊麻のせいにしてしまいそうだし、患者さんが精神症状を発現すれば鎮静を強く希望していた術前の性格のせいにしてしまいそうな気がする。
幸いTUR症候群を発症することなく、無事に手術を終えて患者さんは病棟に帰っていったのだが、いろんなことを考えているうちに、起こっている現象に対し、波ひとつない穏やかな心で対応する重要さを学んだ症例であった。