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2011年11月25日金曜日

(音) メタルの1つの到達点~Royal HuntのParadox (Denmark, 1997年)

バンド4作目の本作を最後に脱退していたD.C. Cooperがいつの間にかバンドに復帰していることに気づいたのは数ヶ月前(しかも来日までしてたなんて…)。もうすぐ11作目のスタジオアルバム「Show Me How to Live」が発売されるということで、復習しています。

新譜の方も…↓を聴いてしまうと期待するしかありません。iTunes storeで購入できる先行シングル「Hard Rain's Coming」も昔からのファン(私)には涙モノです。まさかRoyal HuntにD.C.Cooperが戻ってくる日が来るなんて!!


そしてParadox。
一般的には、うるさくて下品な存在のヘヴィメタルですが、そんな一般論自体はどうでも良く、そしてメタルが好きか嫌いかは別として、本作が普遍性を持った優れた作品であることは間違いないと思います。根拠?うーん、聴いて判断してもらうしかないのですが。
本作はアルバム全体で、宗教と神をコンセプトとした1つの物語になっています。物語だけなら小説や詩を書けばいいのですが、あくまで音楽ですからメロディが最重要です。本作は、メロディそのものがシンフォニックに神懸かっています。全編、ちょっと陰鬱かつ秀逸なメロディに支配されています。宗教や神、といえば小難しく深刻なテーマですが、そんな難しいことを考える必要は全然なく、ただただ聴いて音に身を委ねればいいのです。伸びやかなD.C.Cooperのヴォーカル、荘厳で美しいAndreのキーボード、女性コーラス、叙情的なJacob Kjaerのギター。ただもう聴くしかない。

1. "The Awakening" – 1:39
2. "River of Pain" – 7:14
3. "Tearing Down the World" – 5:32
4. "Message to God" – 6:41
5. "Long Way Home" – 5:54
6. "Time Will Tell" – 9:31
7. "Silent Scream" – 6:13
8. "It's Over" – 6:20

キャッチーな神曲「Tearing Down the World」。映像は流石に古臭くて安っぽいですが。長いことこの曲がフェイバリットでしたが、アルバム全編凄いことになってるじゃないか…と気づくまで大して時間は必要ありませんでした。


#3に負けず劣らず気に入っているのが、アルバム1番の大作#6「Time will Tell」です。序盤はヘヴィですが、めまぐるしくメロディが変化し続け、いつの間にかその世界に引きこまれます。中盤から後半に登場する荘厳な女性コーラスのハーモニーがこの曲の唯一無二性を引き出しています。この曲が本作1番のハイライト。(曲間なしで続く#7「Silent Scream」もドラマティックこの上ない名曲です。)


その「Paradox」の続編とされた11年後発表の「Collision Course: Paradox II」(2008年)収録の「Tears of the Sun」です。こちらのアルバム自体の出来は……でしたが、この曲はロイヤルハント以外には作り得ないだろう名曲です。バンドの音楽性には紆余曲折色々あったのでしょうが、ドラマティックなヘヴィメタルを演奏し続けているという点においては一点の曇りもありません。


あぁ、末永く頑張って欲しいなぁ。死ぬまで聴き続けます。