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2011年5月19日木曜日

(映) ブラック・スワン / Black Swan (2010年, USA) ☆☆☆☆

公開初日で1億円を突破したらしい。
それを聞いて驚いた。

この映画は観る人を選ぶ作品だと思うのだが。
Natalie Portmanが主演じゃなかったら間違いなくこれほど観客を動員していないだろう。
集客力のある女優とは素晴らしいものだ。
彼女は4歳の頃からダンスをしていたらしいが、この作品に向けて1年近くバレエのトレーニングをし、9kgも減量したという。彼女の演技は確かに感動する。white swanを踊るには完璧なバレエダンサーであるが、black swanを踊るには純粋で臆病な(劇中のトマス曰く-男が寝たいと思えるような演技ができない)ニナの脆弱な心身を見事に演じている。

私はたまたま「白鳥の湖」が聴きたくなったから、この映画を見たのだが、暗い。とにかく気味悪い。気持ち悪い(これは私的には褒め言葉である。恐らく表現者たちが表現したい世界を見事に描いている)。
暗いが、美しい。派手じゃなく、冷たく暗い美しさ。
バレリーナのニナは、母親やリリー、ベスらに投影される自分の醜悪な部分と戦う。
黒い白鳥を演ずるために。
ニナの葛藤を映し出すかのような冷たく暗い映像。
静かに進む物語の最後に得られるカタルシス。

今すぐもう1回みたい!という作品ではないが、見てよかったという作品。
誰にでもお勧めできる作品ではないが。