「生きがい」を持つための条件
・人生に希望を持っていること
・自らの役割の自覚があること
・明瞭な価値観に支えられていること
・アイデンティティを失わないこと
・根性を持って障害に立ち向かうこと
「死後の生命」や「生まれ変わり」についての客観的根拠を可能な限り科学的に検証した論文の数々をよりどころとして生きがいを論じた書である。
本書は生きる意味を、自分自身の現在の人生が「中間生」(この世の人生と次のこの世の人生の中間、あの世にいる状態)を経て次の人生を生きる中途にいるのを意識することで、より充実したものにできることを説いている。肉体の人生という枠の中だけで語る人生は生まれてから死ぬまでである。しかし本書では、肉体の死後も意識は残り、中間生を経て次の肉体を探し、また現世で生きていくという。その「意識」としての生命はずっと生きていく。いろんな地域、宗教、時代、性別の人の間を行き来しながら。そしてそれを科学的に検証した研究が数多くあり、「死後の生命がないことを立証することはできない」という。ないことを証明するのは確かに困難だろう。
日々麻酔をしているといろんな合併症をもった患者さんに出会う。閉塞性動脈硬化症、喘息、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、腎不全、こんなに全身の臓器に合併症を持っていて麻酔に耐えられるのかと思うような方にもよく出会う。そんな状態の人に可能な限り安全に麻酔をするのが麻酔科医としての私のアイデンティティと考え日々行動している。結果、どうしようもなく厳しい状態になっていってしまうこともある。臨床医として恥ずかしくないレベルの麻酔を提供し、知識技術を吸収し続けていくことは勿論大事。そういう理論的・現実的な対処法を学ぶことにプラスして、日々自分が接する患者さん、患者さんの家族、外科医、看護師、皆何らかの縁があって現世の同じ時期にお互いに関わりをもって生きているのだという偶然に感謝して仕事をするとまた充実度が変わってくるような気がした。相手のためにしている仕事は自分の成長のためにもしているのだ。