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2010年2月12日金曜日

New TrollsのConcerto Grosso live

7曲目に収録されている"Andante(Most Dear Lady)"は初めて聴いたときから今日に至るまで、折々で聴き続けているバラードの名曲である。プログレッシブロックというジャンルに分類されているようだが、そんなジャンル分けが無意味と思えるほどの美しい旋律を持っている。オーケストラと協演していることもあり壮大な世界観ではあるが、しっとりと悲壮感漂う、しかし愛に溢れた曲である。
私がNew Trollsというバンドの存在を知ったのは大学時代に聞いていたラジオでの紹介だった。その後暫くバンドの名を忘れないようにずっと「いつか聞こう」と自分の心のうちで暖めていた。そしてこのアルバムを購入したのは研修医2年目のときであった。実に4年越しの邂逅である。アルバムに収録された曲はどの曲も美しい宝石のような輝きを放っていたが、一際輝いていたのがこの"Andante"である。右も左もよくわからず数カ月おきにいろいろな科をローテートしていく研修医時代に非常に慰めになったのを覚えている。特に初めての麻酔科やICU当直見習い。この曲を聴くとくさくさしている心が素直になっていく。なんて自分はいつもつまらないことに拘っているのか。狭量な人格を棚に上げて人を隙あらば批判してしまいがちな自分の小ささに恥じ入る。それはヴォーカルのハーモニーがあまりにも美しいからか、オーケストラに癒されるからなのか。こういう「いつ聴いてもいい曲」と思える曲があるのは大変幸せなことである。

下村湖人の「論語物語」を読みながら"Andante"を聴きながら1週間の終わりに思ったこと。