1.Inherited risk factors
@Enhancement of Procoagulant Effects(凝固亢進の増強)
最も一般的な先天性危険因子(日本人では極めて稀)
・第V因子ライデン変異(白色人種の5%)
・アミノ酸置換を引き起こし、活性化第V因子が活性化プロテインSによって分解されなくなるため凝固亢進。
・ヘテロ接合体で3倍、ホモ接合体で18倍、全体で9倍、静脈血栓症の危険性が増加する。
・プロトロンビンG20120A変異症(同2%)
・血漿中のPT濃度が高くなり凝固亢進。
・VTのリスクが3倍上昇。
・VTと診断された患者の7%がこのPTの遺伝子異常を持つ
⇒これら2疾患と動脈血栓症の関係は明らかでない
@その他の血栓症の危険性
・血流うっ滞には、麻痺による寝たきり状態、心不全による低心拍出状態など多くの状態が関与する。
・メタボリックシンドロームでは、内皮障害と血小板凝集の亢進が関与する。
・心不全患者では血管内皮からの一酸化窒素の放出が減少しており、血小板凝集が促進される。
・癌細胞は微小粒子を放出し、フィブリン沈着を促進する。
・健康な高齢者でも、フィブリノゲンや第VII因子増加、線維素溶解の障害、血小板凝集能の亢進など、凝固促進状態が見られる。
@後天性アンチトロンビン(AT)欠損症はヘパリン治療に伴って起こる。
4.HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)
・血小板減少 ≦15万/μL(オッズ比37)、ヘパリン開始後5日の血小板数 ≦開始前の50%(オッズ比12) で血栓症の危険性が増す。
・動静脈血栓症と強い関係(オッズ比12-37)がある。
・原因は免疫学的機序によると考えられている。
・HITで出血は稀である。
・ウシヘパリンはブタヘパリンより危険性が高いかもしれない。
(補:ヘパリン・血小板因子4(PF4)複合体に対する抗体が血小板表面に結合し、血小板活性を引き起こす。活性化された血小板はPF4を放出し、更なる複合体がつくられ、トロンビンの産生が増加する。それによってさらに血小板が活性化する。このサイクルで血小板が減少し、血栓が作り出される。抗体による血管内皮障害によってさらに凝固亢進状態になる。)
@HITの診断
・ヘパリン投与開始5-14日に血小板の50%以上の低下が見られれば疑うべき。(その時、既に投与されてなくても)
・過去100日以内にヘパリン投与されていれば、ヘパリン投与24時間以内に血小板減少が起こる可能性がある。
・ヘパリン注射部位の出血様皮膚斑や低血圧、全身性紅斑も疑う契機に。
・38-76%が最初の数日以内に血栓症を起こす。
・HIT患者の10%近くで四肢を失い、死亡率は20-30%である。
・HITを疑った場合、血液検査が推奨される。ヘパリン・PF4抗体に対する抗原性免疫試験はよく行われ、感度90%を超えるが、特異度は高くない。
・セロトニン放出試験は感度・特異度とも95%で免疫試験より高いが、通常はスクリーニングではなく確定診断のために行われる。
・検査は万能ではなく、診断には臨床医の疑いと判断が最も重要となる。
@HITの治療
・血栓症の有無に関わらずHITが強く疑われたら確定診断を待たず、直ちにヘパリン投与を中止し、別の抗凝固療法を開始する。
・凝固亢進状態が少なくとも1ヶ月は続くためヘパリンを中止するだけでは不十分である。
・ワルファリンは効果発現に時間がかかり、X、IX因子やプロトロンビン濃度に比べて、プロテインC・S濃度を相対的に早く低下させる(これが血栓化を促進する)ので、HIT急性期には避けるべきである。
・直接トロンビン阻害薬の効果はAPTTやACTでモニタリング可能である。
・過去の研究によるとLepirudinとargatroban(ノバスタン®)はHIT患者の合併症を有意に減らす(特に新しい血栓の形成を抑える)。
・argatrobanは肝代謝のため、肝障害時は投与量を減らす。PT-INR値を延長させるため、ワルファリンでの治療へ移行する際は引き続きモニタリング可能。
・代替の抗凝固薬を投与し、血小板数が15万/μlになった後に徐々にワルファリンに移行するのはよいかもしれない。
・ヘパリン-PF4抗体が検出されなくなるまで、ヘパリンの使用を避けるべきである。
・第V因子ライデン変異(白色人種の5%)
・アミノ酸置換を引き起こし、活性化第V因子が活性化プロテインSによって分解されなくなるため凝固亢進。
・ヘテロ接合体で3倍、ホモ接合体で18倍、全体で9倍、静脈血栓症の危険性が増加する。
・プロトロンビンG20120A変異症(同2%)
・血漿中のPT濃度が高くなり凝固亢進。
・VTのリスクが3倍上昇。
・VTと診断された患者の7%がこのPTの遺伝子異常を持つ
⇒これら2疾患と動脈血栓症の関係は明らかでない
*フィブリノゲンの異常も凝固亢進の原因となる
・脳卒中発症時のフィブリノゲン値≧450mg/dlの患者は、機能的予後が悪い。
・産生されたフィブリン分子がトロンビンを抑制できなかったり、プラスミンで分解されにくいと、凝固亢進状態を引き起こす。⇒急性肺塞栓後の慢性期の血栓による肺高血圧状態の患者にしばしば見られる。
・脳卒中発症時のフィブリノゲン値≧450mg/dlの患者は、機能的予後が悪い。
・産生されたフィブリン分子がトロンビンを抑制できなかったり、プラスミンで分解されにくいと、凝固亢進状態を引き起こす。⇒急性肺塞栓後の慢性期の血栓による肺高血圧状態の患者にしばしば見られる。
@Reduction of Natural Anticoagulation 生理的な抗凝固能の減弱
・プロテインC・プロテインSの欠損
・凝固を促進する活性型第V・第VIII因子を抑制する。
・先天性欠損で静脈血栓の危険性が5-10倍上昇する。
・ホモ接合のプロテインC欠損症は新生児期の致死性血栓症の原因となる。
・アンチトロンビンの欠損
・ヘパリン存在下でトロンビンと強力に結合するセリンプロテアーゼ阻害タンパクである。
・ヘテロの欠損患者はトロンビン阻害作用が正常の50%しかないため、血栓症の危険性が高まる。ホモでは早期に死亡。
これら生理的凝固因子の先天的欠損は0.2%以下と稀だが、後天性に発生することもある
・先天性欠損で静脈血栓の危険性が5-10倍上昇する。
・ホモ接合のプロテインC欠損症は新生児期の致死性血栓症の原因となる。
・アンチトロンビンの欠損
・ヘパリン存在下でトロンビンと強力に結合するセリンプロテアーゼ阻害タンパクである。
・ヘテロの欠損患者はトロンビン阻害作用が正常の50%しかないため、血栓症の危険性が高まる。ホモでは早期に死亡。
これら生理的凝固因子の先天的欠損は0.2%以下と稀だが、後天性に発生することもある
@Reduction of Fibrinolysis 線維素溶解の障害
2.Acquired risk factors for hypercoagulability
・後天性のものは一過性のことが多い。
2.Acquired risk factors for hypercoagulability
・後天性のものは一過性のことが多い。
・先天的因子より、血栓症を発生する危険性が高い。
・殆どの場合、複数の条件が重なって血栓が発生するため、治療のためには原因を明らかにする必要がある。
・殆どの場合、複数の条件が重なって血栓が発生するため、治療のためには原因を明らかにする必要がある。
@抗リン脂質抗体は、動静脈血栓の危険因子である (ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2糖タンパクI抗体)
・ループスアンチコアグラントの各血栓症でのオッズ比
動脈血栓:8.6-10.8 静脈血栓:4.1-16.2
全体:5.7-7.3 習慣性流産や胎児死亡:3.0-4.8
・抗リン脂質抗体は、急性感染・炎症で誘導され、短期間(2-3ヶ月)見られるが、ある患者群ではより長期間持続することもある。
・血栓症・習慣性流産の患者で12週以上間隔をあけて最低2回抗リン脂質抗体が陽性ならば、APSの診断基準を満たす。
・持続的な抗凝固療法が一般的に推奨されている。
・ループスアンチコアグラントの各血栓症でのオッズ比
動脈血栓:8.6-10.8 静脈血栓:4.1-16.2
全体:5.7-7.3 習慣性流産や胎児死亡:3.0-4.8
・抗リン脂質抗体は、急性感染・炎症で誘導され、短期間(2-3ヶ月)見られるが、ある患者群ではより長期間持続することもある。
・血栓症・習慣性流産の患者で12週以上間隔をあけて最低2回抗リン脂質抗体が陽性ならば、APSの診断基準を満たす。
・持続的な抗凝固療法が一般的に推奨されている。
@肝・腎疾患は出血のリスクだが、凝固亢進にも関与する
・肝硬変では、プロテインC・S、AT、プラスミノゲン濃度は全て低下
・凝固促進因子は合成障害によっても低下しているが、PTは相対的に高くなる傾向があり、凝固亢進の素地となる可能性がある。
・肺動脈や門脈の内皮障害によって血小板凝集が亢進し、凝固活性が促進される。
・ネフローゼ症候群ではフィブリノゲン合成が増し、AT濃度が正常以下になることが知られている。肝疾患同様、腎血管でも内皮障害が起こり、腎静脈血栓症の原因の35%を占める。
・肝硬変では、プロテインC・S、AT、プラスミノゲン濃度は全て低下
・凝固促進因子は合成障害によっても低下しているが、PTは相対的に高くなる傾向があり、凝固亢進の素地となる可能性がある。
・肺動脈や門脈の内皮障害によって血小板凝集が亢進し、凝固活性が促進される。
・ネフローゼ症候群ではフィブリノゲン合成が増し、AT濃度が正常以下になることが知られている。肝疾患同様、腎血管でも内皮障害が起こり、腎静脈血栓症の原因の35%を占める。
@その他の血栓症の危険性
・血流うっ滞には、麻痺による寝たきり状態、心不全による低心拍出状態など多くの状態が関与する。
・メタボリックシンドロームでは、内皮障害と血小板凝集の亢進が関与する。
・心不全患者では血管内皮からの一酸化窒素の放出が減少しており、血小板凝集が促進される。
・癌細胞は微小粒子を放出し、フィブリン沈着を促進する。
・健康な高齢者でも、フィブリノゲンや第VII因子増加、線維素溶解の障害、血小板凝集能の亢進など、凝固促進状態が見られる。
@妊娠や薬剤によるもの
・通常の妊娠は高エストロゲン状態だが、free プロテインS抗原が妊娠中期で正常の39%程度 、後期で正常の31%程度まで低下するため、血栓が起こりやすくなる。
・トラネキサム酸、アミノカプロン酸は競合的にプラスミノゲンアクチベータを抑制したり非競合的プラスミン抑制作用のために心臓外科手術時に使用される抗線維素溶解薬である。
・トラネキサム酸による治療後に動・静脈閉塞やアミノカプロン酸による糸球体血管の血栓症が報告されているが、血栓塞栓症の既往のある患者で発症率が高くなる。
・通常の妊娠は高エストロゲン状態だが、free プロテインS抗原が妊娠中期で正常の39%程度 、後期で正常の31%程度まで低下するため、血栓が起こりやすくなる。
・トラネキサム酸、アミノカプロン酸は競合的にプラスミノゲンアクチベータを抑制したり非競合的プラスミン抑制作用のために心臓外科手術時に使用される抗線維素溶解薬である。
・トラネキサム酸による治療後に動・静脈閉塞やアミノカプロン酸による糸球体血管の血栓症が報告されているが、血栓塞栓症の既往のある患者で発症率が高くなる。
@デスモプレッシンは凝固促進因子(第VIII因子、vW因子)や組織プラスミノーゲンアクチベータ(抗血栓作用)や血管内皮からのプロスタサイクリン(血管拡張作用)の放出を促す。
・vW病等に使われるが、血栓症の報告もある。
・他の危険因子を有す患者への使用は注意(FDA勧告)
・vW病等に使われるが、血栓症の報告もある。
・他の危険因子を有す患者への使用は注意(FDA勧告)
@rFVIIa(ノボセブン®)は血栓症リスクは相対的に低い。
・危機的出血に対して使われている(FDA適応外)。
・抗凝固療法・肝硬変・重症外傷に対するrFVIIa療法を検討した13の研究では血栓は投与群で6.0%(45人/748人)、プラセボ群で5.3%(23人/430人)と、有意差はなかった。いずれにせよ密なモニタリングが必要である。
・抗凝固療法・肝硬変・重症外傷に対するrFVIIa療法を検討した13の研究では血栓は投与群で6.0%(45人/748人)、プラセボ群で5.3%(23人/430人)と、有意差はなかった。いずれにせよ密なモニタリングが必要である。
@後天性アンチトロンビン(AT)欠損症はヘパリン治療に伴って起こる。
・PCI治療時にヘパリン投与を受けた250人の患者―PCI中にAT活性が7.5%低下、手技終了・翌日はさらに4%低下した。⇒20時間以上のヘパリン中止で基準値に回復。
・ヘパリン治療は未分画ヘパリン投与患者の1-5%、低分子ヘパリン投与患者の1%以下をHITの凝固亢進状態にする。
・ヘパリン治療患者の8%が非免疫的機序による無症候性・一過性血小板減少症を起こす。(HIT type1として知られる)
・ヘパリン治療は未分画ヘパリン投与患者の1-5%、低分子ヘパリン投与患者の1%以下をHITの凝固亢進状態にする。
・ヘパリン治療患者の8%が非免疫的機序による無症候性・一過性血小板減少症を起こす。(HIT type1として知られる)
3.凝固亢進状態の評価
・まず疑うことが重要である。
・まず疑うことが重要である。
・先天性因子をもつ患者が後天性危険因子となるような環境におかれると予後は悪い。
例:無症状の第V因子ライデン患者が抗線維素溶解薬を投与され、長時間CPB下管理になると破滅的な血栓症が起こる。
・一般的には若年者で原因不明に血栓塞栓症を繰りかえしたり、動脈硬化性病変がないのに動脈血栓症を起こすような患者には、先天的危険因子を調べる検査が推奨される。
・凝固亢進状態の持続を示すマーカーの中では、D-dimerが1番研究されており、VTE患者の治療期間を判断するために有用である。
・最も使われているPT、APTTは整形外科、外傷、一般外科手術患者の血栓症発症との因果関係が見出されなかった。
・トロンボエラストグラフィ(TEG)は凝固・線溶を見ることができる検査だが、個人差が大きく、血栓症予測はできなかった。
例:無症状の第V因子ライデン患者が抗線維素溶解薬を投与され、長時間CPB下管理になると破滅的な血栓症が起こる。
・一般的には若年者で原因不明に血栓塞栓症を繰りかえしたり、動脈硬化性病変がないのに動脈血栓症を起こすような患者には、先天的危険因子を調べる検査が推奨される。
・凝固亢進状態の持続を示すマーカーの中では、D-dimerが1番研究されており、VTE患者の治療期間を判断するために有用である。
・最も使われているPT、APTTは整形外科、外傷、一般外科手術患者の血栓症発症との因果関係が見出されなかった。
・トロンボエラストグラフィ(TEG)は凝固・線溶を見ることができる検査だが、個人差が大きく、血栓症予測はできなかった。
4.HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)
・血小板減少 ≦15万/μL(オッズ比37)、ヘパリン開始後5日の血小板数 ≦開始前の50%(オッズ比12) で血栓症の危険性が増す。
・動静脈血栓症と強い関係(オッズ比12-37)がある。
・原因は免疫学的機序によると考えられている。
・HITで出血は稀である。
・ウシヘパリンはブタヘパリンより危険性が高いかもしれない。
(補:ヘパリン・血小板因子4(PF4)複合体に対する抗体が血小板表面に結合し、血小板活性を引き起こす。活性化された血小板はPF4を放出し、更なる複合体がつくられ、トロンビンの産生が増加する。それによってさらに血小板が活性化する。このサイクルで血小板が減少し、血栓が作り出される。抗体による血管内皮障害によってさらに凝固亢進状態になる。)
@HITの診断
・ヘパリン投与開始5-14日に血小板の50%以上の低下が見られれば疑うべき。(その時、既に投与されてなくても)
・過去100日以内にヘパリン投与されていれば、ヘパリン投与24時間以内に血小板減少が起こる可能性がある。
・ヘパリン注射部位の出血様皮膚斑や低血圧、全身性紅斑も疑う契機に。
・38-76%が最初の数日以内に血栓症を起こす。
・HIT患者の10%近くで四肢を失い、死亡率は20-30%である。
・HITを疑った場合、血液検査が推奨される。ヘパリン・PF4抗体に対する抗原性免疫試験はよく行われ、感度90%を超えるが、特異度は高くない。
・セロトニン放出試験は感度・特異度とも95%で免疫試験より高いが、通常はスクリーニングではなく確定診断のために行われる。
・検査は万能ではなく、診断には臨床医の疑いと判断が最も重要となる。
@HITの治療
・血栓症の有無に関わらずHITが強く疑われたら確定診断を待たず、直ちにヘパリン投与を中止し、別の抗凝固療法を開始する。
・凝固亢進状態が少なくとも1ヶ月は続くためヘパリンを中止するだけでは不十分である。
・ワルファリンは効果発現に時間がかかり、X、IX因子やプロトロンビン濃度に比べて、プロテインC・S濃度を相対的に早く低下させる(これが血栓化を促進する)ので、HIT急性期には避けるべきである。
・直接トロンビン阻害薬の効果はAPTTやACTでモニタリング可能である。
・過去の研究によるとLepirudinとargatroban(ノバスタン®)はHIT患者の合併症を有意に減らす(特に新しい血栓の形成を抑える)。
・argatrobanは肝代謝のため、肝障害時は投与量を減らす。PT-INR値を延長させるため、ワルファリンでの治療へ移行する際は引き続きモニタリング可能。
・最適な治療期間はまだ確立されていない。
・血栓症がないHITならば1ヶ月、血栓症を合併すると3-6ヶ月治療が行われている。・代替の抗凝固薬を投与し、血小板数が15万/μlになった後に徐々にワルファリンに移行するのはよいかもしれない。
・ヘパリン-PF4抗体が検出されなくなるまで、ヘパリンの使用を避けるべきである。
@心臓手術の場合
・心臓手術例での報告は少ない。
・待機手術なら、ヘパリン-PF4抗体試験が陰性になる発症3ヶ月後まで延期する。
・この場合、手術中のみのヘパリン投与とプロタミン拮抗は可能だが、術前・術後は他剤による抗凝固が推奨される。
・もし延期できない心臓手術なら、他剤による抗凝固が推奨される。
•Lepirudinとargatrobanを使ってCPB下に手術した少数の症例報告がある。
・心臓手術例での報告は少ない。
・待機手術なら、ヘパリン-PF4抗体試験が陰性になる発症3ヶ月後まで延期する。
・この場合、手術中のみのヘパリン投与とプロタミン拮抗は可能だが、術前・術後は他剤による抗凝固が推奨される。
・もし延期できない心臓手術なら、他剤による抗凝固が推奨される。
•Lepirudinとargatrobanを使ってCPB下に手術した少数の症例報告がある。
***
だいぶ端折ったが活字にすると結構な分量になった。15分弱でプレゼンテーションするには無理がある(そして聴く方にも大分負担がかかる)。
***
ASO患者さんの末梢血管バイパス術の麻酔を担当することになった。
HIT type2と診断されたのは2年ほど前。現在は抗体価は陰性になっているはずだが未検査。だが、血小板数が低めを推移している。こういう場合、術中に血小板を入れてもいいんだろうか?
血小板輸血に関しては― UpToDateによれば
Platelet transfusions — Platelet transfusions are generally considered as being relatively contraindicated for the prevention of bleeding in patients with HIT, largely due to the possibility that they might precipitate thrombotic events (ie, "add fuel to the fire").
In two reports of a total of 41 patients with HIT, platelet transfusions resulted in appropriate 24-hour post-transfusion platelet count increments in the majority, with cessation of bleeding in two-thirds of the bleeding patients [169,170]. No thrombotic complications were noted in either report. A review of the literature revealed no case of a complication clearly attributable to platelet transfusion [169].
These authors, as well as the 2008 ACCP Guidelines, concluded that platelet transfusions can be considered in patients with HIT and overt bleeding or who are deemed to be at high bleeding risk, particularly if heparin has been stopped for at least several hours.
1. American College of Chest Physicians. Treatment and prevention of heparin-induced thrombocytopenia: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines (8th Edition). Chest 2008; 133:340S.
169. Platelet transfusions in heparin-induced thrombocytopenia: a report of four cases and review of the literature. Transfusion 2008; 48:2128.
170. Outcomes after platelet transfusion in patients with heparin-induced thrombocytopenia. J Thromb Haemost 2010; 8:1419.
overt: 明らかな
deem: 思う、みなす
・A-lineの加圧バッグはアルガトロバン5mg/生食500ml程度
・術中は2-5γでACT200-300秒程度になる
・抗凝固:APTT1.5-2.0倍には0.7γで開始
・アルガトロバンの拮抗薬は存在しない。生物学的半減期は39-51分
***
ASO患者さんの末梢血管バイパス術の麻酔を担当することになった。
HIT type2と診断されたのは2年ほど前。現在は抗体価は陰性になっているはずだが未検査。だが、血小板数が低めを推移している。こういう場合、術中に血小板を入れてもいいんだろうか?
血小板輸血に関しては― UpToDateによれば
Platelet transfusions — Platelet transfusions are generally considered as being relatively contraindicated for the prevention of bleeding in patients with HIT, largely due to the possibility that they might precipitate thrombotic events (ie, "add fuel to the fire").
In two reports of a total of 41 patients with HIT, platelet transfusions resulted in appropriate 24-hour post-transfusion platelet count increments in the majority, with cessation of bleeding in two-thirds of the bleeding patients [169,170]. No thrombotic complications were noted in either report. A review of the literature revealed no case of a complication clearly attributable to platelet transfusion [169].
These authors, as well as the 2008 ACCP Guidelines, concluded that platelet transfusions can be considered in patients with HIT and overt bleeding or who are deemed to be at high bleeding risk, particularly if heparin has been stopped for at least several hours.
1. American College of Chest Physicians. Treatment and prevention of heparin-induced thrombocytopenia: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines (8th Edition). Chest 2008; 133:340S.
169. Platelet transfusions in heparin-induced thrombocytopenia: a report of four cases and review of the literature. Transfusion 2008; 48:2128.
170. Outcomes after platelet transfusion in patients with heparin-induced thrombocytopenia. J Thromb Haemost 2010; 8:1419.
overt: 明らかな
deem: 思う、みなす
・A-lineの加圧バッグはアルガトロバン5mg/生食500ml程度
・術中は2-5γでACT200-300秒程度になる
・抗凝固:APTT1.5-2.0倍には0.7γで開始
・アルガトロバンの拮抗薬は存在しない。生物学的半減期は39-51分