オランダのシンフォニック・ロック/メタルバンドのスタジオアルバム、5作目。
3/23の発売日を今か今かと待ち構えていたが、弓部置換や肝切の麻酔をやっているうちにいつの間にか発売日を通り過ぎていた。私のバンドへの愛情なんてそんなものかとちょっとがっかりする。
確かに先行シングル「Faster」の、メジャー路線のポップな作風に触れて以来、本作への不安感を募らせていたのだが。
歴史に残る名盤(と勝手に思っている)「The Heart of Everything」以来、4年ぶりの新作。現在第3子を妊娠中というSharon den Adel。9オクターブの歌声を持つといわれる彼女が歌えばどんな歌でもWithin Temptationなのだが、本作はこれまでの陰鬱気味だったヴォーカルラインが後退し、ヴォーカルも楽器もenergeticなつくり。シンフォニック一辺倒だった前作までの路線から、よりポップでメタルになって聴きやすくなったということもできそうだが、もともと聴きやすいサウンドを提供してくれていた彼らに対する評価としてはちょこっと違う気もする。一聴するだけでは、他の誰かが作った凡庸なロックを、上手いヴォーカルと楽器隊でメタルサウンドにアレンジしたかのような曲のオンパレード。彼らにとっていいことか悪いことか分からないが、これまでより大衆に受けるだろうとことは想像できる。
となると憂いを秘めたアップテンポな佳曲#3「In the middle of the Night」や、バンドの新たな代表作になるだろう、無限リピートに耐えうるこれまた切なメタルな名曲#6「Iron」や#11「A Demon's Fate」が収録されているだけでも大満足すべきなところかも。何よりこれらの曲がランニングのお供にもできるのが嬉しい。他の曲も聴けば聴くほど味が出てくるかもしれないし、Within Temptationの新しい魅力に溢れた1枚。日本でももっと売れて欲しいなぁ。