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2011年2月25日金曜日

(雑) in Pacifico Yokohama (day 2)

これは絶対花粉症だ。みなとみらいの観覧車前で日光浴をしていたら、突然の漿液性鼻汁とくしゃみで発症。東京は19℃。異常な暖かさ。

雑誌の座談会に参加する機会をいただいていたので、そちらにお邪魔する。麻酔科医御歴々の先生方のディスカッションに小童が小一時間ほど混じってみる。
そこで改めて認識したのは、「麻酔の手技や方法は、研修の初期段階で刷り込まれたやり方が、否がおうにも体に染み付いている」という当然過ぎる事実である。例えば10人弱のその座談会の場において、硬膜外麻酔の「loss of resistance」を空気で確かめる方法に挙手したのは、(その場では)、私だけであった。

あ、あれ?

空気で何が悪い。
悪いんです。少なくとも医学的に良いことは1つも教科書にはかかれていない(強いて挙げるなら抵抗消失が生理食塩液より分かりやすいこと、準備が要らないのでラクチンということくらいだろうか)。
それは私も良く知っている。
だが、たかだか0.5mlにも満たない空気が、成人の体内に送り込まれて空気塞栓の原因になったり、まだら効きの原因になったりするだろうか。
こういうことを私が主張するのは、いかにも今議員資格停止処分を受けている議員の主張に通ずるところがあるような気もする。そしてこの論法で仕事をしていると、「いつか痛い目に自分で遭わないと、習慣から脱け出せない愚か者」となる可能性がある。

座談会の後で聴いたsurviving sepsis campaign guideline(SSCG)のauthorの一人、Mitchell M. Levy先生の講演(Reducing Mortality in Severe Sepsis and Septic Shock)が終わった後、座長の先生がフロアに質問していた。
「SSCGに則って治療している病院の先生方、どのくらいいらっしゃいますか?」
会場には数百人のオーディエンスが居たと思うが、手を挙げたのは恐らく2割程度。これは私の推測よりも大分少ない割合であった(まぁやっていても挙手しなかった方も多かったかもしれないし、英語での質問をよく理解していなかった方もいたかもしれないので、正確なところは分からないが)。
英語でのSSCGについての講演を、わざわざ聴きに来る方々の中でも、2割程度の実践。硬膜外腔の確認を空気で行うのと違い、患者の死亡率を下げると複数の大規模研究で証明されているのにも拘らず、である。
硬膜外の空気とSSCGは同列に比べる問題ではないが。

うーん。