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2010年11月4日木曜日

(麻) Tokushima (day 2), 口頭発表と「麻酔科エラーブック」

発表15分ほど前。「アスティとくしま」の会場にある書籍販売コーナーを物色していたら出会いました。
「麻酔科エラーブック」です。同シリーズ既刊の「ICUエラーブック」が面白かったので、中身もろくに吟味せずに購入してしまいました。
私はMEDSiの回し者ではありませんが、本書の内容は非常に秀逸です。700ページもあるので、とても一度には読みきれませんが、680-705頁の「ヒューマン・ファクター」の章だけでも7350円の価値はあります。

第174項目『先輩の話を聞こう:経験的エピソードは知識の宝庫』は先輩の話を聴かなくなってくる、私のような小生意気な「認定医以上専門医」の世代に有用な薬と言えます。(普段から先輩医師の言うことを素直に聴いて謙虚に学んでいる方には必要ないかも)
中でも、上記、第174項目内の692頁の表174-1「麻酔の臨床に関連する言い伝え」は白眉です。
・「自分の体に載せないようなものは、患者の上に載せない。」
・「術野の切迫を感じたときには立つこと」
なんて書いている教科書、私は今まで読んだことがありません。

この本をざっと読んだ印象ですと、対象は初期研修医というより、「周りにあまり麻酔の雑談をする相手がいない、市中病院の標榜医~専門医になりたて程度の麻酔科医」という気がします。本書の内容を知ることで「初期研修医が日ごろ思う、コレって何でこうやるの??、系」の質問に愛と勇気と自信をもって回答できるのではないでしょうか。
翻訳してくださった先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。当分は私の愛読書になりそうです。

***
そしてポスター発表をしました。6席の発表者のうちで私がトップバッターで皆さん元気だったからか、突っ込みどころ満載だったからなのかは不明ですが(恐らく後者)、3分の質疑応答時間内に5人も質問してくださいました。私の周りにはよく「誰からも質問されなきゃいいな~」とぼやく方がいらっしゃいますが、何も質問がない発表など、私には面白くもなんともありません(勿論回答を持ち合わせていない質問に直面したときの窮屈さはよくわかりますが)。それは発表する価値があるのでしょうか?
発表して質問がないときには、
・声が小さくて何を言っているかわからない
・内容が平凡すぎる
・内容が散漫で、どこに突っ込んでいいかわからない
・内容が聴衆の知識レベルに比して高尚すぎる
・内容に、聴衆の関心がない
などなどのうちのどれかが当てはまるのではないでしょうか。
会場の端っこでの発表だったので、ポスターへの日当たりは非常に悪かったですが、実りの多い時間になりました。聴衆の皆様のお陰で、発表内容を文章としてまとめるときのヒントをいっぱいいただきました。