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2010年11月27日土曜日

(本) イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」 ― 安宅和人

著者はヤフーのCOO(Chief Operating Officer)室室長を勤める方です。

題名を読むなり私は「隗より始めよ」という故事を思い出しますが、本書の内容は全くそれとは関係ありません。(因みに・・・中国の戦国時代に郭隗が燕の昭王に対して、賢者を招くためには、まず自分のようにさほど優秀でないものを優遇せよ、と進言した故事から・・・遠大な事をなす時は、まず卑近な事から始めよ。転じて、物事は、まず言い出した者が着手すべき・・・の意です)

友人に「メニューのないバー」というアダルトな場所に連れて行ってもらった帰りに、ほろ酔いのところで手にとったのですが、本書の白と黒のシンプルな装丁が気にいり購入。今着手している仕事で書きたいことが上手く書けないという苦しみにいます。その状態から開放されるための、何らかの手助けにならないかと手にとったというわけです。

本書のメッセージは「何に答えを出すべきなのか、についてブレることなく活動に取り組むことがカギなのだ」です。
本書におけるissueの定義(p25)は以下の2つです。
1) a matter that is in dispute between two or more parties
  (2つ以上の集団の間で決着のついていない問題)
2) a vital or unsettled matter
    (根本に関わる、もしくは白黒はっきりしていない問題)

そのissueを意識し、そこにいたる道筋(ストーリー)、問題を徹底的に考えてから、仕事や論文、プレゼンテーションをまとめることを開始する~という手法について、事細かに解説しています。問題が与えられたときにいきなり動き始めるのではなく、「何がissueなのか、ゴールはどこなのか」を逃げることなくしっかり意識してから、物事を進めることの重要性を説いています。プロフェッショナルと呼ばれる仕事をしたい人に対して。

本書では、限界まで働くことや、頑張ってるんだからいいじゃないか、というような甘ったるい考えは徹底的に排除されています。それは「労働者(laborer)」の思想だと断言しています。一読しただけでは本書の内容を十分理解することはできませんでしたが、仕事に対する何らかのパラダイムシフトが起こることは間違いないと思いました。(できる人達はとっくに実践している手法なのかもしれませんが)