「周術期の輸液」(克誠堂出版)は、私が麻酔科医になってからの3.5年の間に読んだ中で、非常に感銘を受けた麻酔科専門書の1つです。その本の分担執筆をされている先生の講演を受けられたのは、非常に幸運なことでした。
@PACに関連して
・PAPの立ち上がりはRA圧の立ち上がりより50ms程先行する
・PAWPのa波(左房収縮)は心電図R波の後に現れる
・PA楔入まで通常は深くて55cm
・PA破裂は0.02-0.2%
・左房拡張障害でa波増高
・Severe MR時はカテの進めすぎ注意。圧波形だけみているとPA ruptureするかも。
・過剰楔入時アーチファクトに注意。、心筋虚血アーチファクト
・VO2:安静時250mlO2/min
・酸素摂取率O2ER:22~30%
@fluid strategy
<1つの投与例>
・Crystalloid: 6ml/kg/h程度
・Urine 1ml/hr切ったらcolloid 250ml/15minをbolus
<tips>
・安易に晶質液を入れない
・漫然と輸液を入れない
・組織内浮腫を最小限にするように意識する
・必要時に膠質液を。
・3rd spaceは晶質液投与によって作られる面がある
・必要な輸液は、量も大事だが、必要となる「タイミング」に投与すべき
玉石混交のいろいろな情報がwebで無料で得られるような時代ですが、「その道のプロ」の英知や労力、情熱の詰まった講習を受けられることは、非常にありがたいことです。このような講習会に価値があると思う点は、「しかるべきフィルターを通して、信頼できる(可能性が高い)情報が無駄なく、提示してもらえること」です。
以前私は、講習を受ける際には、スライドで提示される表やグラフそれ自体に「ふふ~ん、なるほど~」と思って感銘を受けて聴いていましたが、曲がりなりにも自分の手で書くようになってくると、「表の出所となる論文は何なのか」とか、「こういうフロー(発表の流れ)にすれば説得力のあるプレゼンテーションができるのか」とか、色々考えてしまいます。ともあれ、自分が興味がある分野ですら、知らないことが多すぎるという現実に直面すると、謙虚にならざるを得ません。(況や自分のよく知らない分野をや、です。)
経験の浅い臨床家である私は、粛々と勉強するに限ります。
今日は非常に勉強になりました。
・スライドはフローが大事(個々に素晴らしくても、つながりが希薄なら理解しにくくなる)
・スライドに必ずしも文字情報は多くいらない
・Miller's anesthesiaを読もう