奈良で買った本の1冊です。旅行に行っていなかったらこのタイミングで読んでいませんでした。
著者は私が物心つく前、恐らく二本足でようやく歩き始めるか否かの頃に亡くなっています。ということで、私にとって著者は歴史上の人物であり、遠い存在でした。本書を読むまでは。
本書の初版は1946年、昭和21年ということです。ノーベル物理学賞を受賞したのが1949年ですからその3年前。著者39歳の頃までに考えていたことが本書に表れています。
第一たいした業績もないのに、「苦心」などとはまことにおこがましいことである。(p75)
学問することの喜びがこの頃はことさら身にしみて感ぜられる。くる日もくる日も研究生活を続けていけるということは、「喜び」などというにはもったいない。(p85)
に代表されるように、本書は一貫して非常に謙虚な姿勢で書かれています。まさにこの点において、私は本書や著者を尊敬するに至りました。