バンドは1985年にデビューして既に25周年になります。オリジナルアルバムとしては今作で13作目。ここ3作連続で「ハロウィン」の時期に発売されているのは、偶然でしょうか。私がリアルタイムで聴き始めたのは8作目の「Better than Raw」(1998年)からですから、そこから数えても既に干支を一周しているわけです。
んで、この新作ですが、#3の「Who is Mr. Madman?」の歌メロが素晴らしすぎて何もいうことがありません。これはミスチルのファンがミスチルらしい曲を、サザンのファンがサザンらしい曲をいつまでもバンドに提供してもらえることを望むように、Helloweenのファンが望む「Helloweenらしさを失わないが、そのスタイルから離れすぎない新しい名曲」と呼べる、彼らのお家芸とも言えるスタイルの曲です。過去の名曲と似て非なる曲を作るのは、大変難しいことなのではないかと素人的には思ってしまうのですが、この曲ではそれを見事にやり遂げています。
そしてどこかで聴いたことがあるこの曲のイントロは、1994年発表の「Master of the Rings」に収録されている「Perfect Gentleman」からのものです。歌詞の始めでも「Sixteen years have passed since...」と語っています。この辺りも往年のファンに楽しめるつくりといえるのかもしれません。
全体的にテンポの良いキャッチーな曲が並び、初心者にも昔からのジャーマンメタルファンにもとっつきやすい作りになっていますが、今のところ#5「World of Fantasy」や#9の「If a Mountain Could Talk」、#11「My Sacrifice」などがお気に入りです。
iTunesで見ると、このアルバムの曲は1曲あたり150円で買えます。
昔はレコードやCDというアルバム単位でしか買えなかったわけですが、今は曲単位で買えます。1曲しかお気に入りの曲がなかったとしても3000円位払っていた昔に比べたら、今はYoutubeなんかで視聴して、その中から気に入った曲だけ買うこともできるわけです。
曲単位で買えばハズレを掴まされる可能性は減るでしょうが、その分「買ったときには大していいと思わなかったけど、繰り返し聴いている内に好きになってきた」というような喜びに出会いにくくなってしまっているようで残念な気がします。曲単位で買える時代において、アーティストたちはアルバムを創り出す意欲が減退しないのだろうか、と他人事ながら心配してしまいます。