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2010年8月24日火曜日

悲劇か喜劇か (歯科のこと )

当直明け。
予想より早く麻酔時間17時間で手術が終了したため少しばかり仮眠できた。
最終的な輸液、尿、出血の計測上の総水分バランスが+700mlちょっと。にも関わらず、SVV(stroke volume variation; 心拍出量変化率。およそ10-12%<で脱水の可能性が高いとされる指標)は手術中殆ど1桁を示し、昇圧剤も殆ど必要なく推移していた。これだから輸液は非常に難しい。たった1例からでも「~ml/kg/hrで」という輸液管理がいかに古いものかということがよくわかる一夜であった。
そして、漸く依頼原稿を出版社に送付することが出来た。

***
記憶の及ぶ範囲では6年ぶりとなる歯科受診である。
そもそもの受診の動機は練馬区が行っている「成人歯科健康診査」の対象になったから(30, 40, 50, 60, 70歳の区民は500円で、任意で受診できる制度)。
麻酔科医として毎日手術室で劣悪な動揺歯牙を見ていることから、自分の歯牙もチェックしてもらう必要性があると常々感じていたので、良い機会であった。

が。
結果は惨憺たるもので、全部で27本ある歯牙の内、未処置数(カルテに「C」と表現される歯 ― 即ち虫歯のことである)が…全部で10もあったのだ。
両上下奥歯の歯肉には浅いポケットが形成されており、そちらも治療が必要なようであった。何となく予想していた状況ではあったが、事実を突きつけられると矢張り愕然とする。歯科衛生士の方に数10分かけて歯石やステインを非常に丁寧にとっていただいた(きっと治療のやり甲斐のある患者であったに違いない)ため、見た目は見違えるように綺麗になったが、虫歯治療は長期戦になりそうな予感。既に手遅れ一歩手前感があったが、数十年後に麻酔科医に嫌われるような動揺歯の持ち主になることは避けたいので、治療に通うことにしよう。重症さに気づけたことは幸いなことであったし、人生においてやるべき暇潰しが1つ増えたのはいいことの筈。

研修医の先生方と麻酔をしていると、同じバイタルモニターを見ていても見えているものが違うことがよくある。その差に落胆するとともに、もっといろいろなものを読み取ってほしいと願っていろいろと教えたくなる。でも、きっと、自分にもまだまだ見えていないものがあるんだろうなぁ…と考えていたが、まさか自分の歯でそれと同じことが起こっていたとは。

でも、虫歯を抜歯されて痛かったら堪らない(奥方は智歯を抜かれて悶絶していた)ので、次回は田沢湖マラソンを完走したあと。