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2009年10月18日日曜日

New Orleans(ASA day 3)

14時間の時差をものともせず、今日も5時40分に起床。時差があるとは思えない程よく眠れた。

朝食もそこそこに今日は8:00からリフレッシャーコースを受ける予定だったので、徒歩で会場に向かう。今日も寒い。朝の予報では今日は19℃/11℃。陽は出ているが寒い。
ホテルを出てから7分歩くと会場の1番東端に着くのだが、東西にひたすら長いために、会場内をずんずんと直進する。目的の部屋は1番西の端なので結局ホテルから全部で15分くらいは歩いたのではないだろうか。やや体も温まってきた。

①New development in thoracic anesthesia – E.Cohen
貫禄充分のCohen先生の講演。昨日口演会場で聞いていた英語よりは理解できた気がした。
・Barotraumaの原因になるから12ml/kgはだめ。
6ml/kg + PEEPで高CO2血症を多少は容認する。
・DLT挿入必要患者の8-10%はdifficult airway
・側臥位中はTLVではQs/QT (肺内シャント率. 因みに正常値は<5%) = 10% だがOLVでは27.5%まで増加
・筋弛緩が効いた状態ではdependent lungの底側横隔膜の動きが悪くなり無気肺を作りやすい。
PEEPは大事だがそれだけではだめ。
・A&A 2008 106(2)379-383 DLTの適切なサイズ
・A&A 2009 108()1097-1101 DLT VS Blocker
・BJA 2009 102(4)551-560 OLV中の肺CT
・Anesthesiology 2009:110:1316-1326
OLV中の炎症反応はpropofol > sevofluraneとセボの方が小さい。
またOLV中にsevoを利用する一つの根拠が増えそうだ。

②TEE for the occasional cardiac anesthesiologist – Michael K. Cahalan
・JAMA 2009の論文では心外1200例ほどのうちPFOが17%にあった。PFOの閉鎖術をした例としなかった例でstrokeの頻度はむしろ閉鎖術をした方が高かった。これはいかに解釈すべき?
・基本的な断面は20のうち8つ①ME AO-SAX, ②ME-4C, ③-2C, ④ME LV-LAX, ⑤ME bicaval, ⑥ME IF-OF, ⑦TG LV-SAX  ⑧うーん、思い出せない。
をまずは描出できるように。
など基本に忠実な内容で復習になった。

③Anesthesic management of the morbidly obese parturient – B. Bucklin
・超肥満患者は絶飲食してても胃酸のpHが低下しておりLES(lower esophageal sphincter)の筋力が低下しているから誤嚥に要注意
・どんな麻酔法を取るかは術者とのコミュニケーションが重要
・気道確保困難グッズを手元にできる限り用意しておくこと
・硬膜外針は普通は9-10cm程度で大丈夫。あまり長いものは合併症が危険だから要注意
・硬膜外麻酔は坐位を考慮。Paramedianで行うと僅かな角度でも到達部位では相当角度がついている
・術後の低酸素血症にも要注意。モニターをチャットできるように。酸素か悪ければCPAPなどを考慮

昼食はRiverwarkまで歩く元気もあまりなかったので近くのfood courtで$3のFrench Friesのみで済ませてしまう。
余った時間は知識整理に充てる。

④Perioperative care of the patient with renal dysfunction: You can make a difference – R. Sladen
午後の最初。RIFLE criteriaの話から始まり、血圧・血管内容量が重要という結論はこれまでに学んだことの総復習といった内容だった。雑誌「Intensivist Vol.3」にも相当詳しく書いてあったので、その内容よりほほぉ!と思うような知見は得られなかった。少なくても自分の英語力では。

⑤Hematologic challenges in cardiothoracic and vascular surgery – L. Shore- Lesserson
新しい発見があることを期待して出てみたものの、HITの話が大半だったように感じた。他の部屋はどこも寒いのにも関らずこの部屋だけ暖房が効いており(しかも自分の席のすぐ近くから温まってきているようだった)、徐々に具合が悪くなってきたのもあり後半は集中できなかった。話の内容もやや高度で自分の理解を超えていた。やや傾眠傾向だったのを時差ボケのせいにしてみる。

⑥には行ったものの全身がだるくなってきたため直前で受講するのをやめる。空腹のせいか?と思ってハンバーガーとオレンジジュースを摂取してみたものの状況は著変なし。 むしろ悪化した。しばらく椅子に腰かけて休むもののだるさは一向に改善せず、Medically Challenging casesのブースに行ってN先生の発表を見に行く。

17時過ぎということもあるのか隣の機器展示場ではアルコールも配られ、演者の何人かはワインを片手におしゃべりに興じている。こんなラフな会はなかなか日本では見られない。アメリカでは普通なんだろうか?
Medically Challenging casesのブースの雰囲気はポスター発表会場と大して変わらなかった。発表者もアメリカからのものが殆どであった。この日の内容は神経ブロックと脳神経麻酔がメインだっただろうか。ロクロニウムのアナフィラキシー報告もあったし、propofol infusion syndromeの報告もあったから分類はよくわからない。もやもや病のSTA-MCA吻合術の麻酔管理の症例報告もあった。こっちでは稀なんだろう。他には「下肢の整形手術を全麻でやって、覚醒が悪く、実はPFOと心房中隔瘤を合併しており奇異性脳塞栓を発症してした」という自分なら遭遇したくない症例報告もあった。PFO。恐ろしい。先日受けたJB-POTでも似たような知識をあちこちで問われていたような気がしたのを思い出した。


ガスター、プリンペラン、ムコスタ、ロキソニンのpre-medicationを済ませ18時45分のHiltonからのバスに乗り込み15分程度行くと「The Elms」に到着。「Edewards Japan Night」に参加する。歴史を感じさせる味わい深い装いの洋館。ブッフェなので好きなだけ飲んだり食べたりできたのだが、肉と野菜を少々、ペンネ風のものとデザートのアイスをいただき、後はワイン2杯と珈琲という比較的軽めの内容で終了した。日本人麻酔科医が200人弱も集まっていると聞き驚き。
それにしても遠く異国の地で、こんなに近くでJazzの生演奏が聴けるというのは、とても幸せなことだ。Jazzの余韻に浸りながら21時半にはホテルに戻る。

明日の朝しかジャクソン広場に行く暇がない!24時に寝る。