リスクがある患者さんの麻酔の前日に眠れないことなど今まで殆どなかったが(むしろいつも熟眠でき過ぎていて困っていたくらい)、日曜日の夜は寝つきが悪かった。そして寝ても何度か目が覚めてしまった。
それというのも僧帽弁形成術の麻酔の担当になっていたためである。TEEで逆流の機序や部位を外科医に正確に示すことで術式の最終決定に大きな役割を果たす。その責任は大きい。そして人工心肺離脱後の逆流の評価、逆流があった場合のsecond runの提案、各種カニューレ抜去後の新たな心臓・大動脈の異常の有無、LVOTO出現の有無の評価等非常に重要な任務が麻酔担当医に課せられる。
手術室で珍しく循環器内科の先生たちと話をすることができたが、ともにTEEを見ながら「ロイを広げてみてください」と言われ「???」理解不能で固まる私。ロイってなんですか?と聞くとなんてことはない「region of interest: 関心領域」のことであった。
普段私の周りで使われない略語だったが、循環器内科ではよく使われているのだろう。自分が何気なく使う言葉―研修医や患者さんに―も相手の立場にたって用いる必要性を感じる一日であった。