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2012年4月29日日曜日

(雑) 結婚式披露宴と(走) Trainingの其の百四十七 (麻) less invasive anesthesia in the near future

大学時代の友人、かつ今は彼女も麻酔科医なので、ちょくちょくと付き合いをさせてもらっているS先生の結婚式に行って参りました。本当におめでとうございます。そしてとってもビューティホでした。

その場で、大学卒業以来なんじゃないかと思われるような女性の同期の先生たちと再開した時の対応。

「(わたしのこと)覚えてる~?」
と数人に聞かれて

「もちろん、学生の頃と変わってないね~」
と答えるのがよいのか、(もしかしたら大学卒業後、とんでもなく美にお金と時間をつぎこんでいたとしたらそう言われたらおそらくがっかりするだろう、ましてドレスアップしているわけだし)

「勿論!以前にもまして美しくなられて…」(と答えると、彼女本人の自己評価と私の評価に差がありすぎたら、それはそれでおそらくとてもがっかりするだろう)

と答えるのが良いのか、0.5秒くらい逡巡したけど、どっちもそれなりに不正解で正解な気がしたので、「もちろん分かるよ~」とだけ笑顔で答えておきました。
まぁ、皆さん、元気いっぱいで生気にあふれていたので、お世辞抜きに美しくうつったのですが。

***
今日は久しぶりに外を走りました。いつの間にか躑躅(つつじ)なんかが咲いてました。
12.4km、75分40秒 (平均9.84km/h)

後半、大失速して歩いたためにこんなタイムです。恐らく右膝の腸脛靭帯炎ですね。ちょっと気をつけないと再発しそうな予感です。外を走るときはiPod shuffleを聴きながらです。いつもならLADY GAGAの「Paper Gangsta」とかいきものがかりの「月とあたしと冷蔵庫」なんかは、曲自体は結構好みなのですが、私のランニングペースに全く合わずに問答無用でスキップしていたのですが、そんな曲にお構いなしのいい気分で走ってしまっていたので、普段より若干ハイペースだったようです。膝が故障するとジョグの趣味ができなくなります。そしたら…まぁその時考えよう。

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これ面白いです。A-line、近い将来、いらなくなりそうな気さえします。
Noninvasive Continuous Arterial Blood Pressure Monitoring with Nexfin®. Anesthesiology. 116(5):1092-1103, May 2012.
こっちのブログにも関連記事あります。
http://page2anesthesiology.org/2012/in-the-lab-dr-beren-westerhof-and-the-development-of-a-noninvasive-continuous-arterial-blood-pressure-monitor/

患者さんの体に刺すものが1本でも少なく、かつ、安全に麻酔ができるならそれが理想だといつも思ってます。硬膜外だって刺さないで済むなら刺したくない。挿管だってしなくていいならしたくない。CVCだってPACだって・・・と言っても最後にいつ刺したかもう忘れそうなくらい刺してませんが。

ちょっと前に抄読会で紹介してもらったこの論文だって無侵襲にHbを測ってくれます。
Evaluation of Pulse Cooximetry in Patients Undergoing Abdominal or Pelvic Surgery. Anesthesiology:  January 2012 - Volume 116 - Issue 1 - p 65–72

まだまだ精度には問題がありますが、こういうのはこれからどんどん良くなって行く筈です。刺しものをしなくなっていった時の麻酔科医の自分。それにどんな価値があるのか。その時にまだ麻酔科は勿論必要でしょうけど、今と同じような程度に社会に病院に必要とされるのか。毎日ぼんやりと考えます。

2012年4月28日土曜日

(雑) 新人さんたちの歓迎会

東京は快晴。
今年度も多くの新入局員の皆さんを迎えることができてとても嬉しい、ということが実感できる会でした。みなさん、本当におめでとうございます、そしてよろしくお願いします。

歓迎会に先立って、教室会(大学と関連病院の先生方が一堂に会する会)が行われたのですが、その中で専門医試験の合格祝い(とお祝いの品)もしていただきました。
自分としては試験からすでに半年たっており、その間にASAに行ったり、お世話になっていた研究室を辞めて新しい研究を始めたり、私生活での色々なことがあり(そしてそれらは自分がストイックに努力したとしてもどうにも身動きが取れないことばかりだったりしたのですが)、新しい病気も発症したり、昨日の夕方に立て続けに来た3件の緊急手術のこととかをぼんやりと思い出したりと、沢山のことが胸を去来していったので、試験が遥か昔のようなことに感じられるのですが、こうして祝っていただけたことは素直にとても嬉しいことでした。自分が担当していた会計の仕事も皆さんのお力をお借りしながらつつがなく終えられたこと、これについても大感謝したいと思います。

私のさし当たっての目標は学位取得なのですが、とにかく倒れずに最後まで打席に立ち続けること。それが大事だと数年前に学位を取られた先生に伺いました。その他に学位をとられた先生何人かともお話しましたが、皆さんそれぞれにとても苦労されています。それでも何かをやり遂げた感、が感じられて、私にはとっても眩しくてたまりません。日々目の前のことを大事にしてやること、忘れないようにしないと。
久しぶりに会って、久しぶりに沢山喋ったりした先生方も多く、実りの多い日でした。喋ることの効用は、それまでも自分の中でもやもや混沌としていた思考が、会話によって何となく形になって、何となく共感し合う事になって(錯覚かもしれませんが、その錯覚が自分の脳をきちんと騙してくれる程度の錯覚なら歓迎します)、そして「あぁ、やっぱりこれでいいんだよな」と合点することがままあることです。勿論、それがどんな場合でもいいわけじゃないんですが。
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iPadについての進展がここ数日、あまりありませんでしたが、取り敢えずAnesthesiologyとA&AとEJAがここ数カ月分無料で読めるので嬉しいです。こんな綺麗な画面で読めるなら勉強も楽しいですね。

2012年4月24日火曜日

(雑) 突然iPadderになりました

今更の感はありますが、思いがけないところからiPad3が手元にやって来たので使うことになりました。取り敢えず、家の本棚の片隅で眠っていたこの本を引っ張りだしてきて、アプリをダウンロードしまくっています。
何ができるのかよく分かっていませんが、まぁ誰か(それが自分でも勿論良い)が幸せになるような使い方を模索してみようと思います。

2012年4月23日月曜日

(雑) 暗中模索の日々

ブログが1週間ぶりになってしまいました。「あるがまま」という言葉の意味を考えて、自分なりに咀嚼しようともがいていたら、いつの間にか日がどんどん過ぎていました。どうやら囚われの身になっていたようです。このあたりのことは後で総括して書くことにしたいと思います。

そして気がついたら桜はとうの昔に散っており葉桜です。今年は桜を愛でる余裕もなく、神田川を流れる大量の花びらをぼぉっと眺めて、あぁ春になったんだな、と気づくという有様でした。自宅の近所には夜桜が綺麗な通りがあるのですが、それすらいつの間にか全て葉桜化していました。

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全く関係ないのですが、写真整理していたら出てきました。絶壁に立つ小便小僧です。徳島です。ここに到達するまで道路が凄まじい隘路だったことを思い出します。

ちょっと古い上に、後で読まないかもしれませんが貼っておきます。

Practice Advisory for Perioperative Visual Loss Associated with Spine Surgery: An Updated Report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Perioperative Visual Loss. Anesthesiology. 116(2):274-285, February 2012.

Risk Factors Associated with Ischemic Optic Neuropathy after Spinal Fusion Surgery. Anesthesiology. January 2012 - Volume 116 - Issue 1 - p 15–24




日本で腹臥位失明の報告ってあんまり聞きません。この論文では発生率は0.017-0.1%らしいですが。ちなみにこのスタディには頚椎の手術は含まれてません。単回帰分析では男、肥満、麻酔時間、出血量過多で有意にION(ischemic optic neuropathy)が多いらしいです。日本では腹臥位の手術前の説明で失明する可能性まで話している施設ってどれくらいあるんでしょう。数万人に1人しか発症しない悪性高熱症の話は結構な頻度で術前になされている筈ですから、その文脈で言うと、きちんと患者さんに情報提供したほうがいいような気もしますがどうなんでしょうね。

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最近の走行記録
8日:14.3km、90min、 傾斜なしで
15日:5.0km、28m56s、10-13km/h徐々に加速、3kmまで傾斜3、500mだけ傾斜6、以後傾斜0
22日:5.0km、28m35s、9-13km/h徐々に加速、3kmまで傾斜3、500mだけ傾斜6、以後傾斜0

今年は大会に出ようと思います。だから練習でも走行距離を伸ばします。もしくは上り坂使用のトレーニングをしていきます。禁酒になってしまったのでいい機会です。弛んだ脇腹も引き締めます。

それはそれとして仕事もきちんとやります。漸く仕事にも集中できそうです。これからも闇の中をしばしば彷徨うのでしょうが、取り敢えず光がどちらの方向に有りそうなのか、それは分かりかけてきました。
いろんなところで支えて下さった方々には感謝したいと思います。



2012年4月16日月曜日

(雑)

前を向いても後ろを向いてもうんざりしてしまう時は、今日出来たことをひたすら思い出そう。
今日予定していた実験手技、全部滞り無く完遂したじゃないか、とか、ちゃんと朝起きて電車乗れたじゃないか、燃えるゴミも出せたじゃないか、とか、ミーティングでプレゼンテーションできたじゃないか、とか、ご飯の味もちゃんと分かるじゃないか、とか。
あぁ、もう無理だよ、って思うのは簡単だし、そうでもしないと耐えられないこともあるけれど、ほんの少し余裕がある時には、その隙間を負の感情で埋めるのではなく、何か。ポジティブとまでいかなくても、ぼや~っとした欠伸ででも埋められればいいんじゃないだろうか。きっとそんな小さな負の感情でも、積み重ね続ければ返しきれない借金になってしまう。
だからまぁ、反省は程々にして、今日は頑張った、と。それでいいじゃないか。

2012年4月14日土曜日

(音) Arch Enemy 「Wages of Sin」完全再現ライブ

久しぶりにメタルについて長々と書きます。「Wages of Sin」について書いてみたいと思います。They released this marvelous album eleven years ago.

音楽アルバムについての文章なんて、1つとして満足のいくものを書けた試しがないです。恐らくその根本的理由は、音を文章にすること自体に無理があるためです。自分の想像力と文章力の欠如に甘えて何をか言わん、ですが。
このバンド4作目のスタジオアルバムを購入した頃はまだ「BURRN!」(日本で1番売れてる?というか唯一の?メタル専門誌)を購入していました。今はもう買ってませんし、立ち読みすらしてません。
んでその何年の何月号だかの見開き2頁にバンドメンバーの写真がどどーんと載っていたことを昨日のことのように覚えています。何故かヴォーカルのJohan Reevaがいる筈のセンターポジションにみたことない女性がいました。あれ、Arch Enemy…じゃなくてアモット兄弟の新しいプロジェクトか?でもベーシストの彼もいるし…マヂですか????
私は3rd albumの「Burning Bridges」と1st album収録の「Fields of Desolation」の悶絶アウトロギターソロによってArch Enemyのファンに成ったクチです。これも今思うと、本当に「BURRN!」的だと思います。音楽って自分の感性でよいか悪いか判断する筈のものなのに、「これが最高!」という雑誌の記事を読んだり、レヴューで90点以上の高得点がついたアルバムを聴くと本当に良いかのように感じてしまう。まぁそれから十数年たって未だにこれらのアルバムや曲を良いと思って聴けるのだから、本当に良かったのでしょうが、自分の感性の他者からの影響のされやすさ・脆弱さにおよよ…と涙ぐんだりしてしまいます。

話が右往左往してますが、その写真のセンターにいたのがAngela Gossowであり、この4th album「Wages of Sin」から現時点での最新作の「Khaos Legions」(不評ですけど)までずっと歌い続けています。
ライブバンドとしての強さやバンドの知名度は彼女が入ってからパワーアップしたようですが、ヴォーカリストとしての彼女の評価は一向に上がっていないような気がします。私は以前は気になりませんでしたが、「Khaos Legions」のパフォーマンスにちょっと残念な気分になってしまったのです。曲自体にも過去の名曲群に比べてそれほどフックのあるものもなく。そんなわけでArch Enemyのアルバム、最近聴いてませんでした。

そして話は「Wages of Sin」が何故こんなに好きじゃないのか。それは多分キレイすぎるからです。1st-3rdまでのちょっと荒い感じの地下臭が一掃されてしまっているからです。#5の「Savage Messiagh」なんかはいい雰囲気ですが、#2の「Buring Angel」でMegadethオマージュなイントロを聴いた時点でもう心底がっかりしてしまいました。キレイすぎるんです、ギターソロが、ドラムスの音が。ヴォーカルこそデス声ですが、デスメタルらしい破壊力は殆ど無くなってます。ギターやベースやドラムスの楽器隊と、Angelaのデスヴォーカルが分離しているような印象しか受けることができない。何度聴いても。もうこのアルバムは何十回、恐らく百回以上聴いているはずなんですが。

今回ライブ会場までやってきた理由は、「本当にこのアルバムの楽曲を好きになれないかどうかを確かめるため」です。そうすることで私の「Wages of Sin」への11年来のもやもやもやもやした気分は晴れるだろう、と。そのためにやって参りました。4日間の日本公演の内、この日しか見にこれなかった、っていう世知辛い事情でもあるのですが。それとともに、スタジオアルバムを家で、電車内で、当直先で聴いている自分と、ライブ会場でなま音に触れる自分との融合を試みたかったのです。これまでも何度か、スタジオアルバムではぱっとしなかったけど、ライブでは異様に映える曲、というものに触れてきたという経験からも思うのですが、「Wages of Sin」でもそれが起こるだろうか。そういう行動原理です。

一応これこれで予習と復習しました。いつの間にかどっちも廃盤になって再販なんですね。

***
いつの間にか、Christopher Amott、また脱退しているし・・・。
そして26歳のアメリカンギタリスト、Nick Cordleが入ってたんですね。

公式ホームページを今さらながら見てみると、
Nick Cordle was raised in a musical family in Virginia by parents who teach classical piano and was immersed in 19th century piano music as a child. Rachmaninoff, Brahms, and Liszt are his early memories. There were piano and violin lessons from a very early age but a rebellious streak led to the guitar at the age of 10, and within a few years he discovered the classic thrash metal albums by Megadeth, Metallica, and Slayer. This was his first real musical passion and gateway into extreme music.
Nick studied jazz and music theory at the University of Virginia from 2003 to 2007 but remains self taught in the ways of ”shred” and metal. Shortly thereafter, he joined American death metal band ARSIS playing bass and guitar over a three year period performing with them on various European tours and countless gigs across the US, Canada, and Mexico as well as performing and writing on their most recent album ”Starve For The Devil” (2010).  

とあるようにラフマニノフやブラームス、リストを聴いていた幼少期から、何故かデスメタルバンドに行ってしまった好人物のようです。

まぁこれはこれでとても楽しみです。

***
とここまでを踏まえた上で、今日のライブのセットリストです。ちょっと後半間違えてるかもしれませんが。

1. Enemy Within
2. Burning Angel
3. Heart Of Darkness
4. Ravenous
5. Savage Messiah
6. Dead Bury Their Dead
7. Web Of Lies
8. The First Deadly Sin
9. Behind The Smile
10. Snow Bound
11. Shadows And Dust  ~ Bridges of destinyのギターソロ
~~~
12. Khaos overture
13. Yesterday Is Dead And Gone ~ Drum solo
14. My Apocalypse
15. We Will Rise
16.Silverwing
17.Intermezzo Liberté
18.Nemesis ~ Fields of Desolationのギターアウトロ

いやぁ、もう汗だくでした。自分の汗より周りの人の汗でダクダクになってしまいました。皆さん野獣化してました。僕は前から8列目くらい?相当前の方で参加してたんですが、もうホントにすごかったですよ。RavenousとかNemesisとかThe First Deadly Sinとか。鉄板曲が無数にあるバンドってこうも凄いエネルギーを発散するのか。本当に感動的な体験でした。

そして歌えるギターソロ・ギターリフのなんと多いことか。Buring Angelは言わずもがな、Silverwing(個人的にはそんなに好きじゃないですけど)とかYesterday is dead and Gone(サビはアンジェラに任せて、オーディエンスは皆サビのギターリフを歌ってました)とかBridges of DestinyとかFields of Desolationとか。結果的にこれまでのスタジオアルバム8枚の曲、全てどこかしらで演奏してたんじゃないでしょうか。「Snow Bound」のイントロでMichaelがギター間違えちゃってましたけど会場み~んな笑ってました。Michaelでも間違えることがあるんだ。間違っても絵になっちゃうギタリストって本当に偉大。

参加する前はこのライブに本当に行こうか、少し迷ってましたが、結果として人生の思い出の大きな1つになるであろう場に遭遇させてもらいました。当直明けで実験した後でくたくたでしたけど。
個人的には新盤から「Through The Eyes Of A Raven」、前作から「The Last Enemy」とか「Vultures」とか「The Day You Died」、昔のアルバムから「Dead Inside」「The Immortal」とか「Dark Insanity」とか色々色々聴きたい曲は山ほどありましたけど。まぁそんなことはどうでもいいです。本当にありがとうArch Enemy!!「Wages of Sin」はやっぱ名盤でした。降参です。

神曲「Nemesis」。

2012年4月11日水曜日

(本) 知識の整理にとっても役立ちました…集中治療医学文献レビュー―総括・文献紹介・展望と課題(秀潤社,2012年)

既に読んでいる方も多いんでしょうが・・・この本です。
一度書店でスルーしたんですが、結局数日後に購入してしまいました。
単なる文献紹介ではなく、著者らの思想なり気合なりが伝わってくる本です。おそらく、著者らが各章に挙げている参考文献を自分なりに吟味しながら読み解き、実際の臨床に還元するのが正しい作法なのでしょうが、私のような麻酔をするより実験をしている時間が長い者にとっては、このようなまとめが大変助かります。ここで紹介されている新しい論文ですら、次々と新知見で塗り替えられていっているんでしょうが・・・。などと、落胆してる暇があったら、せめて知識だけでも仕入れ続けていこうと思います。

2012年4月9日月曜日

(本) 僕は29点でした― 手術室のマエストロ!麻酔科医の行く先(へるす出版新書、2012年)

この本です。
読みやすい文章と、麻酔科医にとって身近すぎる内容なので楽しんですいすい読めました。

巻末に「麻酔科医自己診断チェックリスト」があります。54項目で54点満点。
29点は「麻酔科認定医や専門医クラス」。
・・・更に精進したいと思います。それには目の前のことを一生懸命やること、でしょうか。今はクリーンベンチに向かっているのだから、そこで一生懸命やります。ここで学ぶことを臨床医としての自分に還元したいです。

2012年4月7日土曜日

(音) セゼン・アクスと (本) マルクス・アウレリウス

ちょっと平和な当直。久しぶりです。こういう日はこれまで遅々として進まなかったことをやります。いつPHSがなるかわからないけれど、イヤフォンで「Sezen Aksu」を低音量で聴きながら論文をちろちろと読んだりします。トルコ語がわからなくたって全然構わないのです。


こっちの方が好きな人が多いかもしれません。



どちらもアルバム「Bahane」に収録されています。この情感。21世紀の音楽とは思えません。

***
迷った時には、「自省録」に立ち返ります。どんなときでも、この本を開くときには、何故か心に引っかかる言葉に出会えます。しかも神谷美恵子氏の訳なんて。贅沢極まりないことです。


ランプの光は、それが消えるまでは輝き、その明るさを失わない。それなのに君の内なる真理と正義と節制とは、君よりも先に消えてしまうのであろうか。(p235 第12巻十五)


いろんな言葉を咀嚼して、認知の歪みを矯正したいと思います。

2012年4月6日金曜日

(本) 普通のダンナがなぜ見つからない?, (走) Training 其の百四十二と三

という本を読みました。これです。少し前ですが、書店で待ち合わせをしている最中に、面白そうな表紙が目についたので立ち読みで読了してしまいました。15分くらいで読めます。すみません、立ち読みで。

婚活ジャンルの本は殆ど読んだことがないのですが、本書は所謂「既婚者による上から目線」的な記載は少なく、好印象を受けました。婚活について、既婚者の私が何かを書くだけで「どうせお前は結婚してんだろ」とのご批判を受けかねませんが、まぁ感想を書いてみたいと思います。

私が妻と一致した見解は、結婚生活を行う上で肝となるのは
・共同生活を営める程度のマナー
・相手を思うことのできる最低限レベルの想像力
・似た食習慣、もしくは似てないが変化しうる程度に可塑性のある食習慣
・生理的に受け付けなくはない外見
・パートナーの金を使い込まない

このくらいあれば(といいつつ5項目も出してしまいましたが)、あとは何とかなるのではないか、否、なんとかするのが結婚生活だろう、と。あくまで私見ですけど。結婚という行為が商品を買うのでない以上、後のことは結婚後になんとかしましょうということです。本書では普通のファッション、普通の清潔感、普通の年収、普通の学歴、普通の趣味、普通の・・・と普通オンパレードで吐き気を催しますが、勿論、全部が普通の人なんて男だろうが女だろうがいないわけです。

結婚を決めるにあたって趣味なんか一緒じゃなくていいですし(一緒に生活しているとちょっとずつ共通に好きなことが出てくる可能性もある)、私のことわかってくれなくていいですし(そもそも自分ですら自分のことをよくわからない)、独身の自由な生活スタイルは完膚なきまでに崩れます。寧ろそんなに違いがいろいろあっても一緒に生活することができるんだ私!って思えるのが、結婚生活の醍醐味でしょう。

受験勉強して東大に入学するのがゴールではない、就活して就職するのがゴールではない、不妊治療して妊娠するのがゴールではない、などなどと一緒で結婚自体もゴールではない以上、なんとかそのスタート地点に行きたい。それが本書のような本を読む人の希望ではないかと思います。だとすれば「そもそも普通のダンナ」って何だ、そして、普通のダンナでなければ何がどうしてダメなのか、そもそも何で結婚したいんだ、そこから問いを始めたほうが良い気がします。私はもう今更ですが・・・。

ともあれ、いろいろと考えさせられた一冊でした。
***

3/18 12km, 67min
4/1 10km, 55min

計: 1020.3km, 6422min (107h02m)

2012年 96.0km, 521min
2011年 285.3km, 1901min
2010年 649.0km, 4029min

遂に合計1000km突破しました。2年と2ヶ月かかりましたが。
***

最近「The Mars Volta」に夢中です。今更なんですが、最近初めてこのバンドの音に触れました。
この曲は「The Widow」です。なんとも言えない憂いのこもった音がたまりません。
取り敢えずスタジオアルバム全て聴くことにします。

2012年4月1日日曜日

(雑) 1泊2日の小旅行、と新年度にあたりまして

駅から徒歩5分
冷暖房完備
スタッフは皆笑顔で対応
宿泊料無料、素泊まり
最上階からは豊かな自然が一望できます!!






ってただの当直です。

年度最後の麻酔は7カ月ぶりの緊急帝王切開術。お陰様で超早起きができました。帝王切開は緊急手術の中では比較的好きです。本当に緊急だし(そうじゃないこともある)、患者さんは若くて元気な人が多いし(そうじゃないことも時々ある)、準備する薬は少なくて済むし(そうじゃないことも稀にある)、手術は数十分で終わるし(そうじゃないこともある)、脊麻の麻酔域完成から児娩出後の出血が落ち着くまでの短時間の集中で済むし(そうじゃないこともある)、輸血の手配はしなくていいし(そうじゃないこともある)、赤ちゃんが元気に産まれれば、そりゃあまぁ喜ばしいことです。
毎度のことながらブピバカインを何ml入れようか悩みます。1.6mlにしようか1.7mlにしようか、1.8mlにしようか、1.9mlにしようか、2.0mlにしようか。fentanylも入れるし、head downにして麻酔高あげるし、多分何ml入れても麻酔域としては大した問題にならないのでしょうが、こういうことを考えるのをサボり始めたら仕事人としてダメになってしまう気がします。

***
今日から新年度ですね。
丁度いい言葉を見つけたので引用させてもらいます。

つまり、乳児としてこの世界に生まれ出て、親をはじめとする他の人間たちとのつきあいを始めた時と同じことが繰り返される。ぼくは人生のこの時期に特有の、周囲に対する積極的な受動性ともいうべき姿勢のことを言っているのだ。幼児は与えられるものすべてを受け入れる。感覚が捕らえるものを貪欲に吸収する。知ったことはすぐに試してみる。上手になれば誉めてもらえる。少々の間違いが混じるのはしかたがない。そんなものは後になって修正すればいいし、たぶんその時間はたっぷりあるだろう。まずは速やかにたくさんのものを身につけることが大事。言葉や習慣を喜々として覚え、使って、身につける。周囲から笑われながらも先へ進む。何年かして気がついてみるともう一人前になっている。
(須賀敦子全集 第1巻P439-440 池澤夏樹)


何かを新しくはじめるときには須らくこれが当てはまると思います。取り敢えずの一人前なので真夜中に叩き起こされても、緊急帝王切開術の麻酔を、問題を起こさずに完遂できるようになったのでしょう。5年前の自分ではできませんでした。これは大きな進歩だと言えます。だから、というわけではないですが、これから麻酔の研修をはじめる人には是非とも貪欲にいろんなものを吸収していただきたいと思います。何度か(何度も?)辞めたくなるかもしれませんが、続けるだけで見えてくるものがきっとありますので。

私はまだ大学院での研究生活2年目に入ったばかりです。もう丸1年経ってしまいました。もっと貪欲に吸収しよう。

***
ずっと待っていたものが来そうな気配がしてきました。やはり待つのが必要なときってのがあるんですね。