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2010年12月17日金曜日

(本) 書いて生きていくプロ文章論 ― 上阪徹

書く、発表する、伝える。そんなさまざまなアウトプットのヒントが書かれている本です。ライターがどのようなことに気を遣って書いているのか、その一端を垣間見ることができます。

・文章を書く前に、誰に向けての文章なのか、できるだけ具体的にイメージしてみてください。その瞬間に、使う言葉やトーンがすぐに浮かんでくるはずです。そうすれば、文章はずっと書きやすくなります。ターゲットは、自分で作ればいいのです。(p.33)
・数字をうまく使って程度を理解してもらう。(51)
・形容詞は使わない。数字や事実を意識する。それだけで文章は変わっていきます(51)
・走ることは人生に似ている、と書いた作家の方がおられましたが、私は走ることは仕事に似ている、と思ったのです。 別に3周走ることは義務ではないのです。2周でやめてもいいし、途中で歩いてもいい。簡単です。でも、最後まで苦しいけれどあきらめず、止まらず、走り抜いたとき、なんともいえない達成感と心地よさが広がるのでした。これはまさに仕事と同じだと思いました。途中で「これでいいかな」「もういいんじゃないか」と思いつつ、やっぱりもうちょっと粘ってみようと考えてみる。(315-6)

***
敬意や信頼感を得るためには「相手が感謝すること」を相手にも見える形で誤解がないように働きかけることが必要です。意図してごまをすったり演技をするということではありません。私はあなたを気にきにかけているのですよ、ということを、自分が心の中で思っているレベルまで、言動で相手に伝えることが大事ということです。
心の中で思いやることはできるでしょう。ただし、その思いやることを相手に積極的に伝えることは人との生活や仕事において、とても大切なことではないでしょうか。それが感謝でもお小言でも。
文字は一人歩きするので、話し言葉以上に思いやりの心が必要だということを、本書で再確認しました。