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2013年5月2日木曜日

(麻) イソフルランがヒト神経前駆細胞に与える保護作用と傷害作用2つのはたらき - 麻酔科医31回目の抄読会が終了しました。

今回担当した論文はこれです。

Dual Effects of Isoflurane on Proliferation, Differentiation, and Survival in Human Neuroprogenitor Cells. Anesthesiology 2013; 118:537-49
不死化したヒト神経前駆細胞を使って、イソフルランの濃度および投与時間によって細胞保護作用と細胞傷害作用に変化が見られるか…を、(恐らく)中国人の研究者たちがアメリカのフィラデルフィアにあるペンシルバニア大学のラボに留学して得た成果として報告しています。
詳細は読んでいただきたいのですが、彼らは、低濃度(0.5MAC)・短時間のイソフルラン曝露ならば神経細胞増殖にプラスにはたらき(ただしこの条件のイソフルランが、正常な神経細胞の分化にプラスになっているかについてのデータは示されていないので、恐らくプラスになっていないと私は推測します)、高濃度・長時間(2MAC, 24時間)は細胞傷害を起こす、と報告しています。そしてその機序としては神経細胞にある小胞体のイノシトール3リン酸受容体やリアノジン受容体から、細胞質への過剰なカルシウム放出によるものであろう、と言っています。

イソフルランが論文に出てくるとはいえ、in vitroの実験をしてなかったらもっともっと理解するのに骨が折れただろう論文でした。まして抄読会で、in vitroの実験をしていない方々に、可能な限り正確な情報を伝えるなんて大変です。いや、大変でした。だって私は大学院に入るまで、培地のことを"地"っていうからには固体のものだと思ってましたし、「フラスコ」は中学校の実験で使うような丸いものだと思ってましたし、96well plateって言われてもどんな形をしてどんな大きさのものか全く想像つきませんでしたから。LDHアッセイもMTTアッセイにしても同じです。たった20分弱でそれら全てに簡潔に言及して聴衆にイメージをふくらませていただき、しかも実験結果のFigure7枚も伝えるなんて、大変な仕事です。なんとか発表できるような形にスライドを完成させたのは発表の前日です。

ということで、今回、喋りの練習をロクにしないで本番に突入してしまいました。仕方ありません、準備不足です。


結果として、発表の時間を幸いにも16分位いただけたので、何とか収集ついたのではないかと思います。質問がいくつか出たので、ある程度は伝わった、と思います。寝ている研修医さんはどうしようもありません。彼らを起きたままにするのは至難の業ですし、寝ている研修医さんは、話し手が誰であっても大抵寝ています。というかパワーポイント始めるために部屋の明かりを消した数秒後から寝てますし。スティーブ・ジョブズが喋ってれば寝ないのかもしれませんが、in vitroの研究の話をして、聴衆みんなが目をキラキラさせて聴いたりしたら、それはすごいことですね。
抄読会(ジャーナルクラブ)を臨床のおまけだと思ってはいけません。発表の場はいつでも戦場です。準備不足だと討ち死にを覚悟しなければなりません。

…幸か不幸か、準備不足の割には自己満足のいくプレゼンが出来たので、大学の近所に新しくできた「御茶ノ水ソラシティ」に新しい店舗を出店したカレー屋「エチオピア」の野菜カリーを食べました。




なんと朝7時から開店しているらしいので、今度は朝カレーを試しに行きたいと思います。

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