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2013年3月14日木曜日

(雑) 終わりは始まり

この本「自分をいかして生きる」は651円です。ですが、自分探しの旅に出たり、怪しげな啓発セミナーに参加するより、または、居酒屋で友人と「オレってこのままこの仕事してていいのなぁ」と何時間もくだまいているより、よっぽど心が満たされると思います。勿論、それらの行為を否定したりする気は、私には全くありませんが。

一箇所だけ引用させていただきますと、

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 なにがイケてるか、これからなにが来るか、どう動くのが得か。運と頭のいい人は、その思考方法で結果を出せるだろう。
 でもそれは現状追認の先取りだ。
 どんな結果を得るにしても、優れたフォロワーであるより、つまり他の誰かみたいになるより、自分自身を社会に差し出してみる方が、少なくとも後味はいいんじゃないかと思う。こと<自分の仕事>については、誰もが世界代表であり最前線に立つパイオニアだ。取り組んでいる人が他にいないので。
 
 あらかじめ価値や意味のある仕事なんてない。あるように見えてもそれはたまたま時流にかなっているだけの話で、要はそれを誰が、どう、やるかだ。
(中略)
 やることがあらかじめ決まっている定型的な仕事でも、創造性は一人ひとりの手元にある。(p55-57)
***

「明日の麻酔はリスクもないし、適当でも大丈夫だろう」って、ちょっと慣れてきた麻酔科医なら思うことはあると思います。僕だけならいいんですが。
でもやっぱり一人一人患者さんは違うし、評価すればおんなじASA PS1になってしまうとしても、術中にアナフィラキシーショックを起こしたり急性冠症候群を起こしたり、ひょっとしたらcannot intubate, cannot ventilate (CICVもしくはCVCI)かもしれない。

そんなことを毎朝毎晩考えていたら麻酔科医としてはキリがないけれど、やっぱり時々考えないといけないんじゃないかと思います。自分の仕事が目の前の患者さんの人生のどこに位置するものなのか、自分が投与する薬が患者さんの今後の人生にどういう影響をあたえるかということを。

そういうことを考えなくなったら、または、そういうことを考えなくなったことにも気づかなくなったら、僕は麻酔を生活の糧の手段にすることをやめると思います。大学院で研究していて、そちらに使う時間が生活の大半を占めるため、週5-6日麻酔をしていた頃より臨床の知識・技術はどうしても遅れがちになりますが、せめて麻酔科医としての意識だけは保っていたいです。

年度末ということで、来月から別の病院に麻酔科医としてお世話になります。新しい出会い(人も麻酔もそれ以外のことも)があるといいなぁ。想像力・気力・体力の続く限り、何でも吸収したいと思います。口だけにならなきゃいいけど。

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