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2012年8月25日土曜日

(本) Work Shift (リンダ・グラットン著、池村千秋訳) 〜 多分僕は死ぬまでモラトリアムです〜



この本を読んで本当にそう思いました。ほぼ同時に読んだ森博嗣氏の「相田家のグッド・バイ」の影響もあるかもしれませんが。

この1週間、考えることが非常に多く、そしてそれは文字にすると陳腐すぎることばかりでブログに文字を入力する気も殆ど起こらず。まぁ、ブログとはそういうものといえばそういうものでしょう。書きたくない時に無理に書く必要なんか全くですし、誰かのレスポンスを期待するような方は他のSNSを使った情報交換の方が向いていると思います。

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Facebookでも本書を紹介してしまったので、諄(くど)いと思われる方が私のブログを読んでくださっている方の中に何人かいるかも知れませんが、それでも本書を読んだことをここに記録する価値があると思うので書いてみたいと思います。

世の中2030年の原発ゼロに向けての議論が活発なようですが、この本では2025年には世界中の人々がどんな働き方をしているだろうか。それについての悲観的な側面、楽観的な側面双方からシミューレーションされています。単なる想像妄想でのシミューレーションではなく、いろんな統計や著者らがフィールドワークで様々な人から調査したことなどを基にしているようですのでそれなりに信憑性がある話になっています。それは著者自身が研究者であるからでしょう。大した分析や理論的根拠もなく自分の経験談から「これからの世の中はこうなるからこうすべきだ」という仕事論の本は世の中に本当にたくさん出まわっています。私はそういう本を立ち読みするたびに、自分の身の程もわきまえずげんなりして辟易するのです。げんなりする理由は「なぜこの著者は、この私より遥かに賢いはずなのにこんなことしか書けないんだろう」ということです。
しかし、本書はそういう本とは一線を画していると思います。著者自身がお金にまったく困っていないはずなのに、お金に困っていくだろう階層の人の2025年もリアルに分析的に予測しているところは本当に脱帽します。きっと著者のこの女性は、大脳皮質が非常に発達している上に、自分と違う意見が星の数ほど存在することを心から認識し、そしてその相違を心から受け入れている―そういう人なんだろうと僕は思います。

これからは人と人との繋がりが大事で、皆の集合知で様々な困難な問題を解決していく…そうだと思います。大脳をあまり使わなくてもいい仕事はどんどん人間から機械に置換される…そうでしょう。というかもう既に世の中そうなってます。僕が20代を過ごした2000年代を、僕の眼から観察した日本ですらそうでしたから。僕はこの著者が言うところのY世代です。

遊ばなければ高度な専門技能を磨けない。自分のやっていることに胸躍らせ、学習と訓練につきものの苦労を楽しみ、手ごわい課題に挑むことにやりがいを感じてはじめて、私たちは本当に高度な専門技能を習得できる。(p270)

麻酔科医でありながら、自分の仕事のあり方に疑問を持っている人は世の中に少なからずいると想像します。麻酔科医でなくても他の科を専門とする医師でも。
医師として何を極めるのがいいのか、という疑問は多くの若い医師が考えていると思いますが、そういうこと以前に数十年後の自分の生き方を考える。そのために本書は、少なくと2100円の価値はあると思います。私は英語の勉強したくて、ついつい原著も注文してしまいました。早く届かないかなぁ。

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